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全日本モトクロス選手権 第5戦決勝レポート

2023年の全日本モトクロス選手権シリーズは、年間9戦のスケジュール。その第5戦北海道大会が、新千歳モーターランドで7月30日(日)に開催されました。
今大会で実施された全日本格式のクラスは、IA1とIA2のみ。日曜日のみのワンデー開催で、タイムアタック予選およびIA2のラストチャンス予選レースを経て、決勝は両クラスともヒート1が25分+1周、ヒート2が15分+1周に設定されました。

全日本モトクロス選手権が北海道で開催されるのは10年ぶり。会場となった新千歳モーターランドのダート・モトクロスコースは、北海道の空の玄関口として知られる新千歳空港の至近距離に位置しています。
起伏が少なめで広大な敷地に、ダイナミックなレイアウトが施されたハイスピードコース。路面は、火山灰に由来するサンドに近い土質です。

大会当日は曇りで、午前中は時々雨。これにより前日までの暑さが少し和らぎ最高気温は28℃でしたが、湿度が高めだったこともあり汗ばむ陽気でした。
降雨の影響はほとんどなく、路面はドライコンディション。懸命な散水作業の効果もあり、土ボコリの発生はほぼ完璧に抑えられました。

IA1 ヒート1

 

全日本最高峰のIA1クラスは、昨年度ランキング上位勢のうちヤマハファクトリーチームの渡辺祐介(#3)が、開幕戦でのケガにより今大会も欠場。一方、第2戦で負傷して欠場が続いていたカワサキファクトリーチームの能塚智寛(#2)とホンダを駆る小方誠(#5)は、いずれも今大会から戦列に復帰しました。またファクトリーチームでは、ヤマハの町田旺郷(#16)も前戦でのケガによる影響で今大会の出場をキャンセルしています。
3分間のスタート練習を含む20分間のタイムアタック予選には25台が出走し、ヤマハファクトリーチームに所属する今季ここまで無敗のジェイ・ウィルソン(#27)を抑えて、能塚がトップタイムをマークしました。

25分+1周で競われた決勝ヒート1は、ウィルソンがホールショット。これに能塚が続くと、1周目中盤でパッシングに成功しました。
しかしすぐにウィルソンが抜き返し、1周目はウィルソン、能塚、ホンダを駆る道脇右京(#12)、ヤマハファクトリーチームの富田俊樹(#1)、ホンダに乗る大塚豪太(#7)、カワサキのマシンを駆る内田篤基(#8)、小方のオーダー。
予選3番手だったホンダサポートライダーの大倉由揮(#6)は、3~4番手を走行中に転倒して17番手と大きく出遅れ、前戦で鎖骨などを負傷したものの欠場を回避できた大倉と同じチームの大城魁之輔(#4)も、1周目11番手と後方からのレースとなりました。
2周目、トップ走行中のウィルソンが転倒。これで能塚が再び先頭に立ち、ウィルソンは5番手に後退しました。

3周目には、能塚がリードを約3秒に拡大する一方で、道脇を富田、ウィルソン、内田が僅差で追う2番手争いがスタート。しかし4周目にはウィルソンが集団の先頭に立ち、道脇はこの周以降に順位を落としていきました。
5周目、ウィルソンは能塚を再び抜いてあっさりとトップ再浮上。翌周には、富田も能塚をパスしました。この段階で、ウィルソンと富田のギャップは約4秒。その後、レース終盤まで両者の差は5秒前後で推移しました。
一方、3番手に後退した能塚は7周目に転倒してリタイア。これで富田と約2秒差の3番手には内田、そして内田から大きく遅れた4番手には大塚、その約2秒後方を走る5番手にはこの周に小方をパスした大城が浮上しました。レース終盤、2番手の富田に内田が約1秒差まで接近。しかしラスト2周で内田はタイムを落とし、富田が突き放しました。
そして15周のレースは、ウィルソンが優勝、富田が2位、内田が3位、大塚が4位、大城が5位、小方が6位、4周目にも転倒を喫した大倉が7位となりました。

●ヒート1 優勝 ジェイ・ウィルソン(#27)

レース序盤にちょっとクラッシュしてしまいましたが、しっかりリカバリーできたのでよかったです。
今回、アルパインスターズから桜の模様が入ったスペシャルなジャージ&パンツが届きました。日本らしい柄のウエアで勝利できて、とてもハッピーです。

●ヒート1 2位 富田俊樹(#1)

また2位でしたが、10年ぶりに北海道で全日本のレースを戦えたことをうれしく思っています。
2週間前から北海道で乗り込みしていたのですが、北海道のいろんな方々に協力いただいた結果、2位になれたと思います。ただし、ジェイさんに勝つまでは満足できません。

●ヒート1 3位 内田篤基(#8)

コースが非常にタフで、疲れました。富田選手と同じく自分も、10日間ほど前から北海道で練習していました。
北海道は人が温かいですし、食べ物は美味しいので最高です。協力してくれた方々のためにも、次はなんとかジェイ選手を倒して表彰台の真ん中に立ちたいです。

IA1 ヒート2

 

決勝ヒート2は、15分+1周の超スプリントレース。ジェイ・ウィルソン(#27)がホールショットを奪い、これに小方誠(#5)、大倉由揮(#6)、能塚智寛(#2)、富田俊樹(#1)らが続きました。

ヒート1で4位となった大塚豪太(#7)は、スタート直後のクラッシュでほぼ最後尾。2周目、内田篤基(#8)がホンダに乗る池本凌汰(#15)をパスして6番手に浮上しました。
4周目、トップのウィルソンはリードを約4秒まで拡大。2番手の小方には大倉、そこから約6秒離された4番手の能塚には富田が、僅差で迫りました。
そして翌周、大倉が小方、富田が能塚をパス。2番手に浮上した大倉は、約4秒前を走るトップのウィルソンを追い、距離を縮めはじめました。

そして6周目にはウィルソン、大倉、小方、富田、能塚までのトップ5台が、それぞれ3~4秒間隔に。また、能塚の2秒ほど後方には内田が続きました。
7周目、ウィルソンと大倉は約2.5秒差まで接近。しかしウィルソンは、翌周に1秒ほどペースを上げました。一方の大倉は、9~10周目にややペースダウンし、これで両者のギャップが拡大。
レースは10周でチェッカーとなり、ウィルソンが開幕から無傷の13連勝をマークし、大倉が今季2度目の2位となりました。
7周目には内田が能塚の攻略に成功し、8周目には富田が小方をパス。これにより3位に富田、4位に小方、5位に内田、6位に能塚となりました。

●ヒート2 優勝 ジェイ・ウィルソン(#27)

 

(以下日本語で)北海道の皆さん……は……。チョット待って、ごめんなさい。今日はとてもうれしいです。ありがとうございます。
これは新しいアルパインスターズのウエアです。どうですか?

●ヒート2 2位 大倉由揮(#8)

 

事前にこのコースで、横澤選手と一緒に練習させてもらい、その横澤選手がIA2のヒート2で優勝。スタート直前にカッコいいところを見せつけられたので、自分も続きたかったのですが、勝利には届きませんでした。
でも、2度転倒したヒート1よりはいい走りができたと思います。

●ヒート2 3位 富田俊樹(#1)

北海道のファン、ヤバいね(ウィルソン選手のモノマネで)。今日、ホコリ対策などをしてくださったスタッフの方々、ありがとうございました。
ライダー全員、気持ちよくレースできたと思います。また来年も、ここでレースを走りたいと願っています。シーズン後半、なんとかして勝ちたいです。

IA2 ヒート1

若手と中堅が中心ながら、今大会には大ベテランの勝谷武史(#26)がスポット参戦したIA2クラス。ランキング4番手だった中島漱也(#4)は、練習中のケガで今大会を欠場しました。
25分+1周で競われた決勝ヒート1では、スタート直後に池田凌(#18)や福村鎌(#13)、柳瀬大河(#3)、鴨田翔(#9)らが激しい先頭争い。
まずは柳瀬がトップに立ちましたが、コース終盤でポイントリーダーのビクトル・アロンソ(#58)があっさりと逆転に成功しました。
一方、活躍が期待された浅井亮太(#2)や田中淳也(#17)、西條悠人(#8)は序盤の転倒で完全に出遅れました。
2周目、勝谷が鴨田を抜いて4番手に浮上。トップに立ったアロンソは3周目の段階で早くも6~7秒のリードを奪い、独走状態を築いていきました。

一方、2番手争いはなおも混戦。4周目には池田が転倒で大きく順位を落としましたが、柳瀬と勝谷と鴨田と福村、さらに転倒で1周目11番手と出遅れていた横澤拓夢(#5)が続きました。そして6周目から、柳瀬と勝谷が僅差の2番手争いを開始。
8周目には、鴨田と福村を攻略した横澤が4番手に順位を上げ、柳瀬と勝谷に迫りました。一方、5番手を走行していた福村は、12周目に転倒を喫して完全に脱落。
これで鴨田が5番手、池田が6番手に順位を回復しました。

レースが残り3周となった13周目、柳瀬を僅差でマークする勝谷に横澤が肉迫し、翌周に逆転。
勢いに乗る横澤は、柳瀬に近づきました。しかし最後は柳瀬が振り切り、アロンソが優勝、柳瀬が2位、横澤が3位、勝谷が4位、鴨田が5位、池田が6位となりました。

●ヒート1 優勝 ビクトル・アロンソ(#58)

かなり難しいコースで、タフなレースになりましたが、序盤からトップに立つことができたので、ライバルたちに追いつかれないようプッシュしました。
ヒート2も優勝できるように頑張りたいと思います。

●ヒート1 2位 柳瀬大河(#3)

とりあえず、久しぶりの表彰台ですが、アロンソ選手にはオープニングラップであっさり抜かれてしまい、途中までは勝谷選手、ラストは横澤選手にプッシュされ、まだまだ実力不足だと感じています。ヒート2こそ勝って、総合優勝を獲りたいです。

●ヒート1 3位 横澤拓夢(#5)

 

アロンソ選手が最初からトップに立ったので、早く追わないと……と焦ったら1周目に転んじゃいました。
今回、ヘルメットとマシンのデカールを、サッポロ黒ラベルのような仕様にしています。ヒート2で勝って、表彰台の真ん中で大好きな黒ラベルを飲みたいです!

IA2 ヒート2

 

ホールショットの鴨田翔(#9)を、1周目中盤で横澤拓夢(#5)がパス。池田凌(#18)は転倒で最後尾からのレースとなりました。
1周目は横澤、鴨田、上岡聖志朗(#31)、阿久根芳仁(#11)、ビクトル・アロンソ(#58)、西條悠人(#8)のオーダー。
2周目、横澤は鴨田を5秒ほど離し、その4秒ほど後方にはアロンソが浮上してきました。3周目、3番手のアロンソから9秒ほど離された4番手争いは、上岡を先頭に6~7台が僅差で続く大集団。
4周目に上岡はミスで大きく順位を落とし、代わりに柳瀬大河(#3)をパスした浅井亮太(#2)が4番手に浮上しました。
またこの周、アロンソは鴨田の攻略に成功して2番手。この段階で、トップの横澤は約10秒先行していました。

 

5周目以降、3番手の鴨田はアロンソに引き離され、後続とも10秒ほどのギャップがある単独走行に。一方、アロンソは1周につき1秒前後のペースで、横澤との距離を詰めていきました。レース後半、トップ3から大きく遅れた4番手争いでは、8周目に柳瀬を抜いて5番手に順位を上げた西條が、4番手を守る浅井に急接近。
ところがラスト2周となった9周目、西條は転倒により大きく後退しました。レースは、序盤に築いたリードを有効に使った横澤が逃げ切り、2018年の第8戦近畿大会以来となる全日本IAクラス2度目の優勝。
アロンソが2位、鴨田が昨年第2戦以来2度目のIA表彰台登壇となる3位、浅井が4位、柳瀬が5位、田中淳也(#17)を抑え続けた勝谷武史(#26)が6位となりました。

●ヒート2 優勝 横澤拓夢(#5)

アロンソ選手が速いことはわかっているので、レース時間が短かったこともあり、何も考えず全開で走りました。自分は岩手県出身で、北海道と同じく冬は雪。他の地域と比べてオフシーズンに乗り込みできず大変ですが、頑張ればこういう風に勝てると、北海道のキッズたちにも伝えたいです。

●ヒート2 2位 ビクトル・アロンソ(#58)

 

スタートで出遅れてしまい、序盤に追い上げるのが難しく、横澤選手に逃げられてしまいました。次戦は、より頑張っていい走りをします。

●ヒート2 3位 鴨田翔(#9)

 

昨年の第2戦で2位に入賞して初表彰台に立って以降、歯車がかみ合わないレースが続いていて、悔しい時間を過ごしてきました。
しかし今回の3位をきっかけに、調子を上げていきたいと思います。北海道は、本州よりは涼しいしコースも最高。来年もぜひ全日本を開催してください

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