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全日本モトクロス第6戦決勝レポート

2024年の全日本モトクロス選手権シリーズは、年間8戦(レディースクラスとIBオープンクラスは7戦)のスケジュール。3ヵ月近くに及んだ長い夏休みが終わり、第6戦近畿大会が9月14日(土)~15日(日)に奈良県の名阪スポーツランドで開催された。

三重との県境に近い山中に設けられたコースは、サンド質の路面が特徴。山の斜面を利用したレイアウトのアウトラインは昨年から踏襲しつつ、細部の仕様が見直され、IAクラスのラップタイムは5秒程度の短縮となった。

各クラスの予選などが実施された土曜日は晴れで、一時的に雲が多くなったが降雨はなく、路面はドライコンディション。翌決勝日は朝から曇天で、朝の公式練習中には一時的に強めの雨が降ったものの、その後は曇りで午後は時々晴れに回復し、大きなコースコンディション悪化は免れた。
日曜日の最高気温は31℃。湿度がかなり高めで、ライダーにとっては気温以上に過酷な天候となった。

IA1ヒート1

 

全日本最高峰となるIA1クラスの決勝は、30分+1周の2ヒート制で実施された。
そのヒート1では、ヤマハファクトリーチームから参戦する昨年度王者のジェイ·ウィルソン(#1)がホールショット。
今季からヤマハを駆る大城魁之輔(#5)、今季はガスガスに乗る昨年度IA2王者のビクトル·アロンソ(#33)らが続いたが、すぐにカワサキファクトリーチームの能塚智寛(#7)が2番手浮上。
ウィルソンを僅差で能塚が追い、4秒ほど間隔を開けて大城が3番手、さらにホンダサポートライダーの乗る横山遥希(#41)と大倉由揮(#2)が続いた。

 

2周目、横山が大城をパス。この周、トップのウィルソンはリードを約4秒に拡大した。3周目には、ウィルソンに離された能塚に横山が近づき、4周目に逆転。
同じ周、大城と大倉の4番手争いもスタートした。7周目、大倉が大城の攻略に成功。この段階で、3番手の能塚は前を走る横山に10秒近いリードを許しており、大倉と大城が迫った。
そして8周目には大倉、翌周には大城が能塚をパス。さらに、能塚の背後にはアロンソも近づき、10周目に順位を入れ替えた。

 

10周目の段階で、2番手の横山と3番手の大倉は約17秒差。一方で横山は、ウィルソンを依然として約4秒差で追っており、優勝争いは2台に絞られた。レース後半、ウィルソンにミスが目立ちはじめたことや、周回遅れの影響などから、ウィルソンと横山のギャップが徐々に縮まり、14周目には接近戦に。
そして翌周、横山がパッシングに成功した。ところがその直後、横山がワダチに弾かれてバランスを崩して失速。真後ろにいたウィルソンが接触し、両者が転倒した。

先に復帰したのはウィルソン。一方、横山はマシンを起こすのに時間を要してかなり遅れ、3番手を守る大倉の直前でレースに戻った。転倒時に横山はゴーグルを捨てていたが、それでも大倉よりも少しペースが速く、すぐに数秒のアドバンテージを確保。
レースは20周でチェッカーとなり、ウィルソンが優勝、4秒ほど大倉を離した横山が2位、大倉が3位となった。最後は大倉に約2.5秒差まで迫ったアロンソが4位。レース終盤にアロンソから大きく遅れた大城が5位、能塚が6位となった。

●優勝 ジェイ·ウィルソン(#1)

 

(日本語で)ヤバいね。今日は暑いですね。疲れた。日本語、ちょっとゴメンね。(以下英語で)このコースは本当に攻略が難しくて、ヒート2に向けて改善すべきところが多くあると感じています。
名阪はスモールトラックだけど、観客も多くて、素晴らしい大会だと思います。

●2位 横山遥希(#41)

 

スタート出遅れてしまい、追い上げのレースでしたが、意外とうまく追い上げられました。パッシングポイントは決めており、そこでウィルソン選手を抜くことができたのですが、ちょっと強引にいきすぎ、ワダチにリヤが跳ね返されてしまいました。
次のレースでは、彼と楽しいバトルをしたいです。

●3位 大倉由揮(#2)

ここ2戦は表彰台から離れていて、悔しいレースを続けてきました。地元の近畿大会で、応援に駆けつけてくれた友人やファンの前で優勝したいという気持ちが強く、この夏は海外でトレーニングもしてきましたが、トップ2との実力差を痛感させられました。でも、まだまだ諦めていません。

IA1ヒート2

 

ビクトル·アロンソ(#33)とカワサキのマシンを駆る内田篤基(#4)がホールショットを争い、3コーナーでアロンソが先行。
これに横山遥希(#41)が続いた。ジェイ・ウィルソン(#1)はスタート直後に7~8番手とやや出遅れたが、すぐにポジションアップ。1周目はアロンソ、内田、横山、ウィルソン、ホンダに乗る小方誠(#9)、能塚智寛(#7)、大倉由揮(#2)の順となった。
2周目には、ウィルソンが横山と内田をパスし、小方は大倉の後ろまで順位後退。3周目以降、小方は上位勢から大きく遅れた。4周目には、横山が内田、大倉が能塚をパス。アロンソとウィルソンも僅差のトップ争いとなった。

5周目、トップのアロンソは少しウィルソンを離したが、翌周にミスして再びウィルソンが肉迫。この周、内田はミスでトップグループから大きく離された6番手に下がった。
これにより、2番手のウィルソンと3番手の横山と4番手の大倉と5番手の能塚は、それぞれ5秒ほどの間隔となった。7周目以降、3番手の横山はウィルソンとのギャップをほぼキープ。
一方、大倉は横山に大きく引き離され、能塚も大倉から徐々に遅れた。

トップ争いは、7周目に再びアロンソが少しリードしたが、9周目からまたしてもウィルソンが背後に迫り、その後は接近戦が続いた。そして12周目、粘っていたアロンソがタイトターンでミスしてマシンがストップ。この間にウィルソンと横山が先行し、アロンソは横山から9秒ほど遅れた3番手でレースに復帰した。
横山は、その4周前あたりからトップ2との距離を詰めはじめており、アロンソが後退した周にはウィルソンと約2.5秒差。その後もじわじわとウィルソンのリードを削り、15周目には完全に接近戦となった。

 

そして16周目、コーナーでウィルソンがインを開けたところで横山が飛び込んで先行。立ち上がりでは、横山のマシンの後輪とウィルソンのマシンの前輪が接触したが、今度は両者ともに転倒を免れた。
これでトップに立った横山は、その後にリードを拡大。レースは20周でチェッカーとなり、ウィルソンを引き離した横山が今季2勝目、ウィルソンが2位、アロンソが3位となった。
レース中盤から単独走行を続けた大倉が4位、能塚は5位。内田は、小方らに抜かれてレース中盤に一度は8番手まで後退したが、その後に巻き返して6位となった。

●優勝 横山遥希(#41)

ゴール後は、アドレナリンが出すぎていてはしゃぎすぎてしまいました。今季から450にステップアップし、勝つことを目標にやってきました。
第3戦は棚ボタの勝利で満足できない状況でしたが、このレースではしっかりパスして前に出られました。2025年型のニューマシン、最高です。

●2位 ジェイ·ウィルソン(#1)

(日本語で)私の日本語はまだまだですが、頑張ります。名阪のレースはとても大変です。でも頑張ってトレーニングしてきました。名阪スポーツランドが大好きです。チームやスポンサー、妻や娘に感謝しています。
ファンのみんな、いつも応援ありがとう。おおきに~!

●3位 ビクトル·アロンソ(#33)

アリガトウゴザイマシタ。この週末は、とてもタフなレースになりました。このヒート2ではホールショットを決めることができ、15分くらいまでトップを走れていましたが、ウィルソン選手のプレッシャーで死にました。
次戦に向け、しっかりトレーニングしていきます。

IA2ヒート1

若手と中堅が中心のIA2クラスも、IA1と同じく30分+1周の決勝2ヒート制。そのヒート1では、スポット参戦した田中雅己(#48)がホールショットを奪った。しかし田中は、トップで1周目をクリアする直前に転倒。
これで順位を落とし、代わりに鈴村英喜(#8)が先頭に立った。これを阿久根芳仁(#13)やランキング2番手の中島漱也(#3)、浅井亮太(#7)、西條悠人(#9)、柳瀬大河(#6)らが猛追。
一方、ポイントリーダーの横澤拓夢(#2)はスタート直後の3コーナーで他車と絡むように転倒し、1周目22番手と完全に出遅れた。

 

2周目、阿久根を抜いて中島が2番手、西條をパスして柳瀬が5番手にポジションアップ。翌周、中島はトップの鈴村に肉迫し、柳瀬は浅井と阿久根を次々に攻略して3番手に順位を上げた。
4周目、中島がトップに浮上。続いて柳瀬も鈴村をパスし、これで鈴村は3番手に。翌周には阿久根も鈴村を逆転し、鈴村はその後に少しずつ順位を落として上位勢から脱落した。
5周目以降、トップ争いは中島を柳瀬が1秒程度後方でマークする展開。3番手の阿久根は、この2台から徐々に離されていった。またこの阿久根を、2秒前後の差で浅井が追った。

 

8周目、トップ争いでに動きがあり、柳瀬が中島に接近すると一度は先行。しかしすぐに中島が抜き返し、再び中島を1秒差で柳瀬がマークする展開に戻った。
この段階で、3番手の阿久根はトップ2から7~8秒差。その背後には、浅井に加えて西條も近づいていった。
レースが後半に入ると、それまで中島をマークしていた柳瀬が若干遅れはじめ、これで中島がじわじわとリードを拡大。一方、3番手争いでは阿久根に浅井が肉迫した。
そして14周目、浅井が3番手に浮上。続いて西條も阿久根を抜いた。トップの中島は、この段階で6秒程度のリード。柳瀬は単独走行の2番手となった。

レース終盤、3番手の浅井には西條が接近。ラスト3周となった18周目に、西條が逆転に成功した。さらに、この終盤で一気に追い上げてきたのは、1周目16番手と出遅れていたIAルーキーの吉田琉雲(#43)。
18周目は6番手だったが、19周目に吉田、20周目に浅井を抜き、さらに西條へと迫った。
しかしここは、西條がポジションを死守。レースは中島が勝利し、柳瀬が2位、西條が3位、吉田が4位、浅井が5位、阿久根が6位となった。
横澤は追い上げが効かず13位。この結果、33点差あった横澤と中島のポイント差は、11点まで一気に縮まった。

●優勝 中島漱也(#3)

応援ありがとうございます。湿度のせいなのかもしれませんが、想像以上にキツいレースになりました。
それでも、たくさんの応援に支えられて、とりあえず優勝することができました。ヒート2もこの調子で頑張ります。

●2位 柳瀬大河(#6)

 

地元から一番近い大会ということで、多くの人に現地で応援していただき、レース後半の疲れてきたときに力をもらうことができました。
このレースは負けちゃったんですが、ヒート2も引き続き応援よろしくお願いします。

●3位 西條悠人(#9)

 

応援してくださった皆さんのおかげで、最後まで走り切ることができました。
まだヒート2が残っているので、次こそしっかりスタートを決めて、優勝を狙っていきたいです。ありがとうございました。

IA2ヒート2

 

ホールショットを奪ったのは阿久根芳仁(#13)。スタート直後の3コーナーでは、2番手で続いた西條悠人(#9)がストップしかけ、これをきっかけに後続で大混乱が発生し、中島漱也(#3)が大きく遅れ、柳瀬大河(#6)や浅井亮太(#7)らもこれに巻き込まれた。

オープニングラップは阿久根がトップでクリア。これに鈴村英喜(#8)と横澤拓夢(#2)、さらに西條や佐々木麗(#15)らが続いた。
2周目、トップの阿久根を鈴村が猛追。しかし攻略できずにいると、翌周にはこの鈴村を横澤が抜いて2番手に順位を上げた。

これにより、鈴村は前後に2秒程度の間隔がある3番手となり、佐々木と西條と田中淳也(#10)が僅差の4番手争い。この3台から約5秒後方には、1周目を12番手でクリアした中島が浮上してきた。
4周目、横澤は阿久根を抜いてトップに浮上。5周目には、阿久根を先頭に鈴村、佐々木、田中、中島、西條が僅差で続く2番手争いの集団が形成され、阿久根が蓋をする間にトップの横澤はじわじわとリードを拡大していった。

 

8周目、混戦の2番手争いでは中島がその先頭に。この段階で、トップの横澤は約8秒のリードを築いていた。9周目には、田中も阿久根の攻略に成功。
レース前半が終わる10周目の段階では、2番手の中島から田中、阿久根、佐々木、西條まではそれぞれ4秒前後の間隔となり、西條の背後には追い上げてきた柳瀬が近づいた。
レース後半、トップを走る横澤と2番手の中島は、約8秒差のほぼキープする膠着状態。一方、3番手の田中は中島から徐々に遅れたが、後続の阿久根からはリードを奪った。

阿久根の背後には佐々木、さらには柳瀬が接近。13周目には、この中で柳瀬が先頭に立ち、佐々木が続いた。
これにより柳瀬が4番手、佐々木が5番手、阿久根が6番手。その後、この3台の間隔は開いた。レースは、最後まで危なげなく逃げ切った横澤が勝利。
中島が2位、田中が3位、柳瀬が4位、佐々木が5位、阿久根が6位となった。この結果、今度は横澤がリードを5点拡大。横澤と中島によるチャンピオン争いは16点差で、ラスト2戦を迎えることになった。

●優勝 横澤拓夢(#2)

ヒート1は1周目に転倒。その後はテクニカルな名阪のコースを攻略できずに終わってしまいました。漱也君に勝たれて、貯めていたポイントもなくなりドキドキしましたが、ヒート2はこれまでやってきたことと、今回投入したニューマシンを信じて臨み、勝つことができました。

●2位 中島漱也(#3)

 

スタート直後のクラッシュに巻き込まれてしまいました。それでもうまく追い上げることはできたのですが、トップまでは届かず悔しいです。
とはいえシーズンはまだ残り2戦あるので、そう考えたら今日はうまく締められたと思います。シーズン最後まで、応援よろしくお願いします。

●3位 田中淳也(#10)

 

近畿大会は地元での開催ですが、このコースでの全日本で表彰台に立ったことがなかったので、まずは3位に入れたことに少し安心しています。
シーズンは残り2戦ですが、トップ2には抜かされてばかりなので、次こそ打ち負かすことができるよう頑張ります。

レディース 決勝

15分+1周のレースは、楠本菜月(#10)のホールショットで幕を開けた。これに川上真花(#4)と瀬尾柚姫(#5)がまずは続くと、1周目後半で本田七海(#2)が瀬尾をパス。
その後ろには箕浦未夢(#3)と川井麻央(#1)が続いた。2周目、楠本と川上がトップ争いを繰り広げ、川上が先行。瀬尾は6番手まで順位を下げ、これで上位勢は川上、楠本、本田、箕浦、川上、瀬尾、穂苅愛香(#11)のオーダーとなった。

 

3周目には瀬尾が大きく遅れ、これで川上から川井までの5台が縦に長いトップ集団に。
4周目には本田が楠本に迫り、翌周に逆転した。レースが後半に入ると、2番手の本田がトップを走る川上に少しずつ接近。3番手の楠本は本田に引き離されたが、後続に対してはややリードを奪った。
5番手の川井は、箕浦をマークするも攻略できず、依然として5番手のまま。7周目には、川上と本田が僅差のトップ争い、箕浦と川井が同じく接近戦の4番手争いを開始した。

そしてラスト2周となる9周目に入るところで、勝負を仕掛けた本田と、コーナーのアウト側にいた川上が接触。
両者ともにコースアウトし、川上はエンストして遅れ、本田が単独トップに立った。
同じ周、4番手争いでは抜かれた箕浦が転倒。これで川井が4番手となり、箕浦は6番手を守る瀬尾の直前で復帰した。レースは10周でチェッカー。
本田が優勝、川上が2位、楠本が3位で表彰台に立ち、川井が4位、箕浦が5位、瀬尾が6位となった。

今大会の結果、ポイントランキングでは本田が逆転トップに浮上した。ランキング2番手に後退した川井とのポイント差は9点で、さらに川井と1点差のランキング3番手で川上が追う状況。
三つ巴のチャンピオン争いが、いずれも決勝は1レースが実施されるラスト2戦で繰り広げられることになった。

●優勝 本田七海(#2)

 

日曜日の公式練習で激しいクラッシュをしてしまい、カラダを痛めました。正直なところ、ちゃんと走れるのか不安でしたが、ファンの声援がとても力になりました。
この地元大会で必ず優勝すると誓って、夏休みはアメリカでトレーニングしてきました。調子は上向き。残り2戦も勝ち、チャンピオンを獲得してみんなに恩返ししたいです。

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