2019年のみどころ
選手層が厚くなったIA1、新時代を迎えるIA2&レディス!
2019年の全日本モトクロス選手権は、例年より1週遅い4月第2週末に熊本県・HSR九州で開幕します。シーズンは全8戦で、大会が開催されるコースはこれまで同様の6会場。タイムスケジュールの見直しやエキシビジョンレースの開催などで、より魅力的な大会が目指されています。そして参戦するライダーは今季も、レース巧者なベテランから元気いっぱいのニューフェイスまで、多彩なタレント揃い。ここでは、注目のライダーをお教えします!
~ IA1 ~
IA2からのステップアップ組にも注目を!
全日本モトクロス選手権の最高峰クラスとなるIA1。昨年のこのクラスは、シーズン中盤の4連勝で成田亮選手を逆転したディフェンディングチャンピオンの山本鯨選手が、最終戦のヒート2でまさかの負傷リタイア。これにより成田選手が逆転でシリーズタイトルを獲得し、山本選手がランキング2位、ケガにより最終戦を欠場した小方誠選手を逆転した新井宏彰選手がランキング3位となりました。
そして今シーズン、成田亮選手(#114)と山本鯨選手(#400)は昨年と同じくホンダファクトリーチームの「Team HRC」からフル参戦。2台体制で、チームとしては4年連続となるシリーズタイトル獲得を狙います。ただし開幕戦には、今季もAMAモトクロス選手権450MXに参戦することが発表されている富田俊樹選手(#718)がスポット参戦。ホンダは、国内における二輪車生産の拠点である熊本製作所に隣接したHSR九州での大会に、3台必勝態勢で挑みます。
一方、カワサキのトップチームとなる「Kawasaki Team GREEN」も、新井宏彰選手(#331)と小方誠選手(#4)の2台体制に変更なし。ヤマハ勢は、昨年と同じく岡野聖選手(#8)が筆頭となりますが、チームは「TEAM YAMALUBE YAMAHA RACING」に代わり、これに加えて「bLU cRUレーシングチーム鷹」から昨年度ランキング5位となった星野優位選手(#166)が参戦します。スズキ勢では、昨年は序盤戦をケガで欠場した「SRF Team SBE」の深谷広一選手(#51)が、実質的なトップとなります。
また、2015年度王者で昨年からマシンをホンダにスイッチした小島庸平選手(#44)は、「Bells Racing/SoCalMXTF」の名称で今季も自身のチームからフル参戦。年間成績ではその小島選手をひとつ上回ってランキング6位となった星野裕選手(#6)は、「TEAM HAMMER」に移籍してマシンをホンダにスイッチしました。昨年からKTMを駆る池谷優太選手(#793)は今季も「KTMうず潮レーシング福山」から、昨年からIA1にステップアップした大塚豪太選手は今年も「T.E.SPORT」でホンダのマシンを駆ります。
さて今季のIA1は、昨年までIA2に出場していたライダーのステップアップが相次いでいます。まずホンダに乗るライダーでは、昨年の第8戦ヒート2でIA初優勝を挙げた横澤拓夢選手(#322)が、「Team TARGET」から参戦。スズキ勢では、カワサキのマシンでIA2に出場してきた小林秀真選手(#46)が、「SRMマウンテンライダーズ」に移籍して最高峰クラスに挑戦します。カワサキ勢では、ヤマハ時代にIA1参戦経験がある「グリーンクラブ八尾カワサキANNEX」の安原志選手(#45)が最高峰クラス復活。さらに「グリーンクラブ&パーク神戸RT」の北原岳哲選手(#41)も、昨年までのIA2からステップアップを果たしました。
そしてステップアップ組でのさらなる注目ライダーは、昨年度IA2チャンピオンの古賀太基選手(#922)。今季はマシンをカワサキにスイッチした古賀選手は、AMAへの挑戦も表明していますが、全日本の今季開幕戦に「ADA/SoCal MXTF」からエントリーしています。
~ IA2 ~
トップ2の海外レース挑戦で今季も王者は不在!
IA1よりも排気量が少ないマシンで競われるIA2クラス。昨シーズンは、古賀太基選手と能塚智寛選手がシーズン序盤から激しいチャンピオン争いを繰り広げ、ここに小川孝平選手がシーズン中盤に加わり、三つ巴の闘いに。そして古賀選手が自身初のチャンピオンに輝き、能塚選手が5点差のランキング2位、第8戦ヒート2でノーポイントを演じた小川選手が同3位となりました。
しかし今季、ディフェンディングチャンピオンの古賀選手は最高峰クラスにステップアップし、能塚選手はヨーロッパモトクロス選手権250クラスに出場。このため全日本選手権のIA2クラスは昨年のトップ2が不在となり、今季もカワサキのマシンを駆り「グリーンクラブ ピュアテックレーシング」から参戦する小川孝平選手(#912)が、順当に行けばチャンピオン候補の最有力とみられていました。ところが小川選手は、開幕戦が目前に迫った3月下旬に大腿骨を骨折。これにより復帰までかなり時間を要すると思われ、今季のシリーズタイトル獲得はかなり厳しい状況となりました。
そこで今季のIA2クラスは、さらに混沌とした闘いになるかもしれません。その中で、上位に入ってくることが予想される選手に挙げられるのは、昨年度ランキング4位でカワサキを駆る「グリーンクラブ&パーク神戸RT」の横山遥希選手(#386)や、いずれもヤマハ若手育成チームの「YAMALUBE RACING TEAM」に所属する同5位の大倉由揮選手(#36)と鳥谷部晃太選手(#37)など。また開幕戦には、元ファクトリーライダーで実力派の平田優選手(#81)が、ヤマハのマシンで「Team abe-G」から全日本復活エントリーを果たしていて、この大ベテランの走りからも目が離せません。さらにこのクラスには、昨年度のIBオープンクラスを圧倒的な速さで制して、マシンをヤマハにスイッチしながらステップアップしてきた「TEAM KOH-Z」の岸桐我選手(#01)も参戦。IA初年度でどこまでの成績を収められるか、こちらもシーズンオフから話題となっています。
~ Ladies ~
こちらもディフェンディングチャンピオン不在の年に!
もちろん今季も、やや小さめなマシンを駆る女性ライダーたちが熱いバトルを繰り広げるレディスクラスも開催されます。このクラスでは昨年、ホンダのマシンを駆る畑尾樹璃選手が自身初のチャンピオンに輝きました。しかしその畑尾選手は今季、ヨーロッパに渡って世界選手権のウィメンズクラスにチャレンジ。このため全日本レディスクラスも、ディフェンディングチャンピオン不在のシーズンとなります。またランキング3位だった安原さや選手は、昨年度限りで引退を表明しました。
そこで今季のレディスクラスは、昨年度は未勝利も6度の表彰台登壇で畑尾選手と6ポイント差のランキング2位となった「T.E.SPORT」の川井麻央選手(#2)と、昨年はトラブルによる開幕戦リタイアなどが響いてランキング4位に終わった唯一の年間タイトル獲得経験者となる「TEAM HAMMER ホンダ学園」の竹内優菜選手(#4)が、まずはチャンピオン候補ということになりそうです。
ただし川井選手と竹内選手のホンダ勢以外にも、上位進出が見込まれるライダーは多くいます。中でも昨年度ランキング5位の久保まな選手(#5)は、これまでのスズキからハスクバーナに乗り替えて、「Seezoo MICHELIN elf」からの参戦。マシンスイッチが久保選手にどのような変化をもたらすか、注目が集まります。また、ヤマハを駆る「TEAM KOH-Z」の本田七海選手(#6)も、昨年は2回のノーポイントが響いてランキング6位でしたが、開幕戦では優勝を収めるなど随所に速さをみせており、今季の活躍が期待できます。