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全日本モトクロス第5戦 決勝レポート

2024年の全日本モトクロス選手権シリーズ第5戦は、昨年の第5戦で10年ぶりの復活を果たした北海道大会。昨年と同じく新千歳モーターランドのダート·モトクロスコースを舞台に、ワンデースケジュールにより6月23日(日)に開催された。
今大会は全道モトクロス選手権第2戦千歳大会と併催され、全日本格式としては最高峰のIA1クラスおよび若手と中堅の選手が中心となるIA2クラスのみ実施された。

コースは北海道の空の玄関口となる新千歳空港から至近距離に位置し、道央道の新千歳空港ICからわずか約2kmという良好なアクセス性。
全長は約1700m、幅員は8~12mと発表されており、アップダウンがあまりない広大な土地に、多少の起伏を盛り込みつつダイナミックにレイアウトされている。
路面は、火山の噴出物に由来するサンドに近い土質で、走行によりギャップやうねりが発生しやすく、この攻略も上位進出のカギとなる。

全国的に天候が荒れた日曜日となったが、会場がある北海道千歳市は1日を通して曇天で、日中には一時的に薄日が差す時間帯もあり、最高気温23℃の過ごしやすい陽気。
路面はドライコンディションが保たれた。

IA1ヒート1

 

全日本最高峰となるIA1クラスの決勝は、30分+1周の2ヒート制で実施された。
そのヒート1では、ヤマハファクトリーチームから参戦する昨年度王者のジェイ·ウィルソン(#1)がホールショット。2コーナーではマルチクラッシュが発生し、ホンダに乗る横山遥希(#41)と小方誠(#9)と道脇白龍(#25)、今季はガスガスに乗る昨年度IA2王者のビクトル·アロンソ(#33)が大きく遅れた。1周目はウィルソンがトップで、カワサキに乗る内田篤基(#4)や今季からヤマハを駆る大城魁之輔(#5)、カワサキファクトリーチームの能塚智寛(#7)、ホンダ勢の大塚豪太(#6)と大倉由揮(#2)までがトップ6。2周目、内田はウィルソンより速いラップタイムを刻み、約1秒差まで迫った。

しかし2周目以降、ウィルソンがじわじわとリードを拡大。4周目には、内田と大城と能塚がワンパックとなり、これを約4秒差で追う大塚を大倉が僅差でマークした。6周目、能塚が大城をパスして4番手に浮上。この間に内田はリードをやや拡大したが、翌周には能塚が再び迫り、8周目に先行した。
同じ周、9番手までポジションを回復していた横山が、ホンダに乗る池谷優太(#13)を抜こうとしたところで両者が接触転倒し、横山は13番手、池谷は16番手にポジションダウン。9周目、3番手の内田も転倒して6番手に後退し、これで大城が能塚と約2.5秒差の3番手となった。

 

ここから大城は能塚との距離を詰め、11周目には接近戦に。そして13周目、能塚が転倒して7番手まで後退し、大城が2番手となった。
バタバタする2番手以下を尻目に、ウィルソンは約8秒のアドバンテージを確保して余裕のトップ走行。レースは18周でチェッカーとなり、ウィルソンが勝利を収めた。
大城は、約5秒後方の大塚を寄せ付けることなく逃げ切って、今季初となる表彰台圏内の2位。大塚はレース終盤に大倉を振り切り、初の2レース連続表彰台登壇となる3位を獲得した。
大倉は4位、1周目の転倒から追い上げたアロンソが5位、内田が6位となった。

●優勝 ジェイ·ウィルソン(#1)

 

ナマラウレシイヨー!! 攻略が非常に難しいコースで、スムーズに走ることが求められましたが、しっかり勝てたことに満足しています。
チームメイトの渡辺祐介選手が、早くケガから復帰できることを祈っています。
一緒にトレーニングしている大城魁之輔選手が、2位になったこともうれしく思います。

●2位 大城魁之輔(#5)

 

今季からヤマハのマシンに乗り、開幕から時間がかかりすぎてしまいましたが、今季初表彰台に上がれたことをうれしく思っています。
ここまで気長に待ちながらサポートしてもらったチームのみんなに感謝しています。とはいえまだ上の順位があるので、次のヒートも頑張ります。

●3位 大塚豪太(#6)

初めて(前戦から)2戦連続で表彰台に上がることができて、素直にうれしいです。
チーム員のケガが相次ぎ、今回のT.E.SPORTは自分だけなのですが、それでも会場まで来てくれた東福寺さんと根岸さんに感謝しています。
ヒート2もしっかり成績をまとめ、成長したところを見せたいです。

IA1ヒート2

 

ジェイ·ウィルソン(#1)がホールショットを奪い、大倉由揮(#2)と横山遥希(#41)が接戦を演じつつこれを僅差で追ったが、スターティングゲートに不具合があったことから赤旗が提示され、レースはやり直しに。
2度目のスタートでは、横山がホールショットを奪い、ウィルソンや大倉はやや出遅れた。
1周目、ビクトル·アロンソ(#33)がトップに浮上。これに横山、能塚智寛(#7)、積極的に追い上げたウィルソンが続いた。2周目、5番手争いを繰り広げていた大塚豪太(#6)が転倒して18番手まで後退。
小方誠(#9)をパスして大倉が5番手となり、抜かれた小方はこの周に転倒して9番手に順位を下げた。

レース序盤、アロンソと能塚と横山とウィルソンが、5番手以下を大きく引き離しながらトップグループを形成。5周目、この中で一度は横山が先行したが、ここはすぐに能塚が抜き返した。
ほぼ同じタイミングで、ウィルソンが激しくクラッシュ。4番手のままレースに復帰したが、3番手の横山からは約14秒も遅れた。
6周目から能塚のペースが微妙に落ち、これでアロンソがじわじわとリードを拡大。8周目、横山が能塚をパスしたが、その直後に転倒した。
横山は3番手のままレースに復帰したものの、能塚とのギャップは約10秒に。また、この間にトップのアロンソはリードを7秒近くまで拡大した。

 

レース後半、アロンソは完全な独走状態に。レースは18周でチェッカーとなり、アロンソがIA1初優勝を挙げた。レース終盤、横山が前を走る能塚との距離を徐々に詰め、最終ラップには3~4秒もペースアップするファステストラップで一気に接近。
しかし最後は約0.4秒差で能塚が逃げ切り、能塚が2位、横山が3位となった。ウィルソンは、クラッシュの影響でペースが上がらず4位。
これを僅差で追っていた大倉は、周回遅れの影響で14周目に転倒して7番手まで後退し、1周目14番手と出遅れていた大城魁之輔(#5)がこれで順位を上げて5位となった。
大倉は、カワサキに乗る安原志(#8)を16周目にパスし、6位でチェッカーを受けている。

●優勝 ビクトル·アロンソ(#33)

 

アリガトウゴザイマス。ヒート1はスタート直後にクラッシュして、いいレースができなかったので、ヒート2で勝てて本当に良かったです。
じつはスタート直後に転んでしまったのですが、赤旗で再スタートに。自分にとっては本当にラッキーなレースでした。

●2位 能塚智寛(#7)

 

今年はなかなか結果を残すことができず、これが初表彰台。
苦しいシーズンになっていますが、ひとまず2位になれたことにほっとしています。
次戦の舞台は名阪スポーツランドで、自分が現在住んでいるところから近い第2の地元みたいなコースなので、次は一番高いところに上がります!

●3位 横山遥希(#41)

スタートがうまく決まり、トップ集団でレースができていたのに、自分がバカなミスをしてしまいました。復帰に時間がかかり、最後に追いついたけど2位には上がれませんでした。
毎回言っていますが、次のレースは勝てるよう、しっかり準備します。

IA2ヒート1

若手と中堅が中心のIA2クラスも、IA1と同じく30分+1周の決勝2ヒート制。
そのヒート1では、ランキング2番手の中島漱也(#3)がホールショットを決め、これを阿部晴基(#22)やポイントリーダーの横澤拓夢(#2)、IAルーキーの住友睦巳(#01)らが追った。
1周目、横澤は阿部を抜いて2番手浮上。阿部に次ぐ4番手には、柳瀬大河(#6)が順位を上げてきた。
2周目には阿部が順位を下げ、柳瀬が3番手、住友が4番手、西條悠人(#9)が5番手。
この段階で、2番手横澤と3番手柳瀬の間には、6秒近い間隔が開いていた。

レース序盤、トップの中島を1~2秒差で横澤が追い、この2台に大きく離されることなく柳瀬は3番手をキープ。住友は柳瀬から少しずつ遅れながらも4番手を守り、これを約3秒差で西條が追った。
5周目には、6番手に森優介(#21)が浮上し、6周目には西條まで約4秒差に接近。
4周目の段階で阿部は13番手まで後退しており、7周目には佐々木麗(#15)が7番手に順位を上げた。
8周目には、4番手の住友と5番手の西條が接近戦を開始。またトップ争いでは、7周目に横澤が中島に再び2秒以内と迫り、翌周にはさらに距離を詰めたが、ここで横澤がコースアウトを喫し、5秒近く遅れた。

 

これにより、3番手の柳瀬は横澤まで約4秒差まで近づいたが、横澤は翌周から再び柳瀬を引き離しつつ、徐々にトップの中島に近づき、14周目には再び両者が接近戦となった。
この周、僅差のバトルが続いていた4番手争いでは、西條が先行。抜かれた住友はやや遅れた。
トップ争いは、中島を横澤が僅差でマークしたまま大詰めへ。
そしてラスト2周となった17周目、横澤が逆転に成功した。抜かれた中島も最後まで喰らいついたが、逆転のチャンスを与えず逃げ切った横澤が優勝。
中島が2位、終盤はこの2台に大きく離された柳瀬が3位、住友を振り切った西條が4位、住友が5位、13周目に森をパスした佐々木が6位となった。

 

●優勝 横澤拓夢(#2)

ずっと苦しいポジションを走っていたのですが、応援してくれている方々のおかげで勝てました。
本当はもう、大好きなサッポロ·クラシックを飲んじゃいたいのですが、それだとヒート2が飲酒運転になっちゃうので、終わったらみんなで乾杯できるよう、次のレースも頑張ります。

●2位 中島漱也(#3)

またまた悔しい結果になってしまい、足りない部分があると痛感。とはいえ日々成長できている実感はあるし、レースが終わるごとに速くなれると信じています。
まずはヒート2でやり返せるように頑張ります。

●3位 柳瀬大河(#6)

 

漱也君が速くて離されてしまったのですが、ヒート2は自分が拓夢君の6連勝を阻止できるように頑張ります。応援よろしくお願いします!

IA2ヒート2

 

ヒート1ではスタート前にマシントラブルが発生し、最終的にはリタイアに終わった田中淳也(#10)が、そのうっ憤を晴らすかのようなホールショット。
これを横澤拓夢(#2)と中島漱也(#3)が追って、レースがスタートした。ヒート1で3位入賞の柳瀬大河(#6)は、スタート直後に転倒して最後尾。
1周目、横澤が田中を抜き、まずは横澤、田中、中島、西條悠人(#9)、森優介(#21)、池田凌(#5)、渡辺陵(#12)らが続いてオープニングラップをクリアした。
2周目には、森が西條を抜いて4番手、渡辺が池田をパスして6番手に浮上。
3周目の段階で、トップの横澤から6番手の渡辺までは縦に長い隊列となり、7番手に後退した池田から後ろは混戦となった。

4周目には、横澤と田中と中島が4番手の森をより引き離し、これでトップグループが明確に。レース序盤が終了する6周目の段階で、森はトップ集団から約8秒遅れとなった。
7周目には、トップの横澤に田中が肉迫し、森には西條と渡辺が接近してセカンドグループに。翌周には中島も田中に近づいたことで、横澤と田中と中島、森と西條と渡辺が、それぞれ三つ巴のバトルを演じることになった。
10周目には、再び田中が横澤に迫ったが、ここも横澤がトップを死守。同じ周、セカンドグループでは渡辺が西條を抜いたが、ジャンプの着地でクラッシュして8番手に後退した。

 

三つ巴のトップ争いはなおも激しく、11周目には中島が田中、12周目には田中が横澤に迫ったが、いずれも逆転には至らず。
ここから大きく遅れながらも森は4番手をキープし、レース後半になってペースが落ちた西條に代わり、5番手には浅井亮太(#7)、6番手には吉田琉雲(#43)が浮上してきた。
14周目、トップグループではついに順位変動が発生。中島が田中を抜き、2番手となった。
抜かれた田中はペースが落ち、16周目には転倒も喫して、3番手は守ったもののトップグループから完全に脱落。

これで横澤と中島のマッチレースになると、ラストラップとなった18周目に中島が逆転を果たした。
そして最後まで逃げ切った中島が優勝、横澤が2位、田中が3位となった。森は4位でチェッカー。
15周目に浅井、16周目には吉田が転倒し、最終的には吉田が5位、西條が6位、浅井が7位となった。

●優勝 中島漱也(#3)

 

ヒート1で最悪な負け方をして、本当に悔しかったのですが、ヒート2でうまく挽回できました。
日々成長できている実感があるので、このまま全日本にとどまらず世界で活躍できるライダーになれるよう、これからも努力を続けていきます。来年もまた北海道でレースしたいです!

●2位 横澤拓夢(#2)

 

悔しいですが、自分ができることは100%やったし、いいことも悪いこともあるのがレースやライダー人生だと思うので、この経験をバネに、もっと成長していきます。
次の週末からAMAプロモトクロス選手権の450MXにスポット挑戦します。250は下田丈君、450は僕を応援してください!

●3位 田中淳也(#10)

 

ヒート1はクラッシュでリタイアしてしまい、ヒート2はスタートがうまく決まってトップグループを走れたのですが、漱也君と拓夢君も速くて、負けてしまいました。
北海道での練習をサポートしてくださった方々、応援してくださった方々に感謝しています。

 

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