1. HOME
  2. ブログ
  3. 全日本モトクロス第4戦 決勝レポート

全日本モトクロス第4戦 決勝レポート

2024年の全日本モトクロス選手権シリーズ第4戦は、宮城県のスポーツランドSUGOが舞台。土日ダブルヘッダー開催だった第2·3戦から6週間のインターバルを挟み、6月1日(土)~2日(日)に開催された。

全日本ロードレース選手権も実施されているオンロードサーキットをはじめとする多彩なコースを有する、複合モータースポーツ施設のSUGO。
今大会はその中で、2005~2007年に世界選手権が開催されたこともあるインターナショナルモトクロスコースが使用された。ふたつの丘にまたがってレイアウトされたこのコースは、名物となっている上り急こう配の「大坂」をはじめ、アップ&ダウンに富むのも特徴。
ハイスピードセクションも多く、ダイナミックな雰囲気を持つ。

各クラスの予選などが実施された土曜日は、曇りベースで一時的に晴れたり雨が降ったりと、目まぐるしく天候が変化。
朝はそれまでに降った雨の影響でソフトかつスリッピーな路面状態だったが、午後にはだいぶ回復していた。土曜日夜から再び断続的に雨が降り、日曜日朝の路面は前日午後と比べたら土が重い状態。
しかし午前中は雨が小康状態となり、正午ごろにはベストなコンディションとなった。
ただし、水分を多めに含んだ粘土質の路面には、深いワダチが何本も刻まれた状態。そしてIA2決勝ヒート2のスタート直前から激しい雨が降り、このレースの後半およびIA1決勝ヒート3はマディコンディションとなった。

IA1 ヒート1

全日本最高峰となるIA1クラスの決勝は、15分+1周の3ヒート制で実施された。
そのヒート1では、横山遥希(#41)と小方誠(#9)のホンダ勢が好スタート。これにカワサキファクトリーチームの能塚智寛(#7)と、ヤマハファクトリーチームから参戦する昨年度王者のジェイ・ウィルソン(#1)が続いた。
1周目、ウィルソンが次々に日本人ライダーを攻略してトップに浮上。
今季はガスガスに乗る昨年度IA2王者のビクトル·アロンソ(#33)が4番手に浮上し、5番手に後退した能塚の背後には、ホンダサポートの大倉由揮(#2)が迫った。

2周目、大倉までのトップ6台は縦に長い隊列に。しかし3周目にはアロンソが追い上げ、小方と横山を次々に抜いて2番手に順位を上げた。4周目、横山と小方が僅差の3番手争いを展開。
一度は小方が先行したが、すぐに横山が抜き返した。この2台に対してアロンソは4秒ほどラップタイムが速く、一気にリードを拡大。アロンソは5秒ほど先行するトップのウィルソンを追った。

6周目、アロンソがペースを上げ、トップを走るウィルソンとの距離を約3秒差に縮小。するとこれを確認したウィルソンも、翌周からペースを上げ、ギャップを保った。大きく遅れた3番手争いでは、横山を2秒前後の差で小方がマーク。その3~4秒後方に能塚、さらに4~5秒離れて大倉が続いた。そしてレースは9周でチェッカー。
アロンソの接近を許しながらも完全にレースをコントロールしたウィルソンが勝利を収め、アロンソが2位、横山が3位、小方が4位、能塚が5位、大倉が6位となった。

●優勝 ジェイ·ウィルソン(#1)

コースは非常にテクニカルで、チャレンジングなレースとなりました。3周目に腕上がりの症状が発生して大変でしたが、ファンのおかげで勝つことができました。ヒート2に向けていろいろ改善して臨みたいと思います。このまま雨が降らずにレースできることを祈ります。

●2位 ビクトル·アロンソ(#33)

アリガトウゴザイマス。このレースではスタートがあまり決まらなかったのですが、ヒート2はここを改善して、自分のベストな走りでより高い位置を狙っていきたいです。

●3位 横山遥希(#41)

昨日の予選では激しいクラッシュをしてしまいましたが、カラダには問題がなく、このレースではスタートをしっかり決めることができたのですが、そこからはコースをうまく攻略できませんでした。次のヒートに向け、マシンのセッティングを見直して臨みます。

IA1 ヒート2

スタート直後の1コーナーで、マルチクラッシュが発生。これによりホンダに乗る池谷優太(#13)がリタイアとなり、能塚智寛(#7)や大倉由揮(#2)らが転倒して大きく出遅れた。
ホールショットを奪ったのは、ホンダのマシンに乗る大塚豪太(#6)。しかし大塚はオープニングラップで順位を下げ、トップに立ったジェイ・ウィルソン(#1)を、カワサキに乗る安原志(#8)がまずは追った。
安原の背後にはビクトル・アロンソ(#33)がつけ、さらに小方誠(#9)や横山遥希(#41)、今季からヤマハのマシンを駆る大城魁之輔(#5)ら続いた。

2周目、ウィルソンはリードを約4秒に拡大。アロンソが2番手に浮上し、僅差で安原と小方と横山が続いた。しかし小方は転倒。この段階で早くも10番手まで追い上げてきた大倉に次ぐポジションでレースに復帰した。
3周目以降、2番手のアロンソは後続を引き離しながら、トップのウィルソンを4~5秒差で追撃。
しかしレース終盤まで、その距離はそれほど変わらなかった。一方、3番手争いでは安原に横山が接近。5周目に横山がミスしたことで、一時的に両者のギャップは約3秒まで拡大したが、翌周には再び横山が安原に迫った。

そしてラスト3周となった7周目に、横山が安原の攻略に成功。この段階で、2番手のアロンソは15秒以上先行していた。抜かれた安原の背後には、大城が接近。
8周目、大城が安原をパスして4番手に順位を上げた。レースは、最後までリードを保ったウィルソンが再び優勝。アロンソが2位、横山が3位となり、表彰台のメンバーと立ち位置は、ヒート1と完全に同じになった。
大城は、ラストラップに横山との距離をやや詰めるも届かず4位。その最終ラップでは大倉が安原を抜き、大倉が5位、安原が6位となった。

●優勝 ジェイ·ウィルソン(#1)

また3周目に腕上がりの症状が出てしまい、体力的には問題なかったのですが、ペースを上げられずに終わりました。ヒート3に向けて、何かを改善する余地があると思います。
依然として雨は降らずにいるので、このまま最後まで持ってくれることに期待します。

●2位 ビクトル·アロンソ(#33)

今日のトラックは非常に難易度が高く、攻略するのは簡単ではないですが、再び2位になれてうれしく思います。ジェイ選手はとても強いですが、次のレースもしっかり挑んでいきたいです。

●3位 横山遥希(#41)

このレースもスタートそのものは悪くなかったのですが、1コーナーの処理が悪く、ホールショットには程遠い感じになってしまいました。
全員が同じコンディションでレースをしているので、自分だけではないと思いますが、今日のコースは本当に難しいです。

IA1 ヒート3

IA2決勝ヒート2のスタート直前から降り続いた激しい雨により、コースはマディコンディション。
レースはジェイ·ウィルソン(#1)のホールショットで幕を開け、これを大塚豪太(#6)が追った。1周目、その大塚に安原志(#8)が仕掛けるが、ここは大塚が順位をキープ。
するとビクトル・アロンソ(#33)が安原を抜き、大塚の攻略にも成功した。しかしアロンソは、直後にコースアウトして3番手後退。
オープニングラップはウィルソン、大塚、アロンソ、安原、大城魁之輔(#5)、横山遥希(#41)、小方誠(#9)、4番手走行中に転倒して後退した大倉由揮(#2)、能塚智寛(#7)、ヤマハに乗るスポット参戦の星野優位(#15)というトップ10のオーダーとなった。

ここからレースは、多くのライダーにミスや転倒が続出するサバイバルな展開に。2周目には、アロンソが再び大塚をパスして2番手に順位を上げ、大城は安原をパスして4番手となり、横山が10番手に順位を下げた。
3周目、トップのウィルソンを約4秒差で追っていたアロンソが転倒。これで大塚が2番手に返り咲いたが、この段階ですでにウィルソンは約15秒先行していた。
大塚から13秒ほど遅れた3番手には大城。アロンソはこの大城から約5秒遅れの4番手でレースに復帰し、これを安原と小方と能塚が追った。

4周目以降、トップのウィルソンと2番手を走る大塚のギャップは、10秒前後で大きめに変動しながら推移。しかし完全に接近することはなかった。
3番手争いでは、4周目に大城がリードを約10秒に拡大したが、翌周からアロンソがペースを取り戻し、6周目に逆転。
レースは7周でチェッカーとなり、逃げ切ったウィルソンが勝利を収めた。大塚は単独走行を続けて2位でゴールし、IA2時代を含めた全日本IAクラスでの自己最高位をひとつ更新。
アロンソが3位、大城が4位、能塚が5位、小方が6位でフィニッシュした。ランキング2番手の横山は10位、同3番手の大倉は9位に終わった。

●優勝 ジェイ·ウィルソン(#1)

(以下日本語で)前回のレース終了後からハードなトレーニングをして、ここに戻ってくることができました。今回、マシンはこれまで以上に良くなりました。チームが頑張りました。これからも応援よろしくお願いします。皆さん、次は北海道で会いましょう!

●2位 大塚豪太(#6)

今日は絶対に泣きません。僕もレースしている以上、やっぱり勝ちたいんです。A級に上がって10年も経ってしまい、ここまでを振り返れば順調なレース人生とは言えませんが、支えてくれている方々のおかげと自分自身の努力で続けられています。勝つまで辞められません!

●3位 ビクトル·アロンソ(#33)

本当に酷い雨で、さすがにレースを楽しむことはできず、2度の転倒でこの順位に終わりました。次戦の北海道大会でいいレースができることに期待しています。

IA2 ヒート1

若手と中堅が中心のIA2クラスは、30分+1周の決勝2ヒートを実施予定だったが、雨による影響を考慮して、各レース時間は25分+1周に短縮された。
ただしヒート1は、雨が小康状態で路面は回復傾向。ホールショットは田中淳也(#10)が獲得し、これに阿久根芳仁(#13)と佐々木麗(#15)が続いた。
1周目、この3台を次々にパスして、ポイントリーダーの横澤拓夢(#2)がトップに浮上。佐々木が田中をパスし、4番手に後退した阿久根の背後には、ランキング2番手の中島漱也(#3)が迫った。

2周目、中島は阿久根をパスして4番手に浮上。この間に3秒ほど先行した佐々木と田中の2番手争いを追うと、5周目には三つ巴の2番手争いとなった。ここから大きく遅れて、阿久根と福村鎌(#11)と池田凌(#5)が5番手争い。
6周目、中島は田中と佐々木を次々にパスして2番手に順位を上げたが、この間にトップの横澤はリードを約7秒に拡大した。

同じ周、福村は5番手に順位を上げたが、翌周に転倒して12番手に後退。田中は佐々木をパスし、抜かれた佐々木はやや遅れた。これにより上位勢は、横澤がトップ、7秒ほど遅れて中島が2番手、さらに約1秒差で田中が3番手、約4秒離れて佐々木が4番手となり、ここから10秒以上離れて阿久根と池田と西條悠人(#9)の5番手争いに。
9周目、阿久根は7番手に順位を下げ、代わりに西條が池田と阿久根を抜いて5番手となった。

レース終盤、中島は後続を離してトップの横澤にやや接近。しかし序盤に築いたリードを生かした横澤が13周目の最終ラップまで逃げ切り、前戦ヒート1から3連続優勝を達成した。
中島は2位でゴール。一度は単独走行となった3番手の田中は11周目にミスし、これで佐々木と西條が接近。
しかしゴールまで順位は変わらず、田中が3位、佐々木が4位、西條が5位となった。また、最後は単独走行となった池田が6位に入賞した。

●優勝 横澤拓夢(#2)

スポーツランドSUGOを初めて走ったのは5歳くらいのとき。ここで初めて全日本を観戦し、表彰台に立つIAライダーたちに憧れてレースをはじめましたが、まさか自分がここの立てるとは思っていませんでした。
地元の東北地方。熱い声援のおかげで、漱也を振り切ることができました。ありがとうございます!

●2位 中島漱也(#3)

悔しいですね。追い上げのレースでしたが、前のライダーたちをパスするのに時間がかかってしまい、2番手に上がったときには拓夢君が逃げちゃっていました。拓夢君の地元だからこそ、絶対に自分が勝ちたかったのですが……。次こそ一番高いところに上がります。

●3位 田中淳也(#10)

ホールショットを決めることができたのに、1周目に抜かれてしまい、もったいないレースをしてしまいました。
拓夢君も漱也君もかなり強いですが、次のヒートでは負けないように頑張ります。

IA2ヒート2

直前から激しく雨が降り始め、一気にコースコンディションが悪化する状況でスタートしたIA2決勝ヒート2。
ホールショットは横澤拓夢(#2)が奪い、これに阿部晴基(#22)と柳瀬大河(#6)と佐々木麗(#15)が続くと、まずは柳瀬が阿部を抜いた。
しかし柳瀬は、スリッピーな路面に翻弄されてコースアウトして5番手後退。オープニングラップは横澤がトップでクリアし、4秒ほど遅れて佐々木、阿部、田中淳也(#10)、柳瀬、西條悠人(#9)、池田凌(#5)、浅井亮太(#7)、鴨田翔(#4)が続いた。
ランキング2番手の中島漱也(#3)は、スタート直後に4~5番手を走行していたが、転倒により1周目25番手からのレースとなった。

2周目、2番手の佐々木は後続を6秒ほど引き離し、3番手争いは阿部を先頭に柳瀬と西條と田中による接近戦。3周目には、ここから柳瀬と西條が抜け出した。
トップの横澤は、2番手の佐々木に対して3~4秒のリードをキープして周回。佐々木は後続を7秒ほど離し、3番手の柳瀬には西條が徐々に近づいていった。6周目、佐々木のミスによりトップを走る横澤のリードは約6秒に。
同じ周、3番手争いでは西條が柳瀬を抜いてやや引き離し、2番手の佐々木に約3秒差で迫った。

7周目以降、トップの横澤は佐々木の接近を許し、西條も佐々木との距離を詰めたことから、9周目には3台によるトップ集団が形成された。柳瀬は大きく遅れた4番手。8周目には、5番手走行中だった田中が転倒して7番手まで順位を下げ、これで5番手となった池田に対して、柳瀬は約15秒のリードとなった。
トップ争いでは、2台に近づかれた横澤が翌周に再びリードを約3秒に拡大。
一方で2番手の佐々木と3番手の西條は、接近戦を継続した。

迎えた最終ラップの12周目、タイトターンのワダチ内で周回遅れがストップし、これを避けるためいつもと異なるラインを選んだ横澤がミスして失速。この間に佐々木が一気に迫り、一度は先行した。
しかし横澤はすぐに佐々木と並んで抜き返すと、スパートをかけてリードを拡大。逃げ切った横澤が4連勝を達成し、佐々木がIA自身初表彰台登壇となる2位、西條が3位となった。
柳瀬は後続を30秒以上離して4位でゴール。9周目に池田を抜いた鴨田が5位、池田が6位となった。中島はこのレースをリタイアし、これでポイントランキングトップの横澤と2番手の中島は33点差となった。

●優勝 横澤拓夢(#2)

本当にタフなレースでした。盤石の戦いに見えたかもしれませんが、バイクのセッティングにも悩んでいたし、不安なこともたくさんありました。ラストラップは麗君に抜かれて焦りましたが、こんなに応援してくれる人がいる中で負けられないと思い、とにかくアクセルを開けました!

●2位 佐々木麗(#15)

最終ラップで一度前に出て、勝てると思ったのですが、詰めの甘さで負けてしまいました。
前戦でホールショットを奪いながらもスタックして、マディコンディションに苦戦したのですが、ここでまたマディが好きになりました。どんなコンディションでも強く戦っていけるようになりたいです。

●3位 西條悠人(#9)

優勝を目指して頑張ってきたので、とても悔しいです。次戦の北海道は得意なコースなので、休むことなく今日から調整していって、次こそ勝てるよう頑張ります。引き続き応援よろしくお願いします。

レディース 決勝

朝の段階でマディコンディションが予想されたことから、レース時間は5分短縮されて10分+1周となり、大坂をキャンセルしたショートカットコースを使用。ただし実際には、激しい雨が降る直前のベストに近い路面状況でのレースとなった。スタートでは川井麻央(#1)と箕浦未夢(#3)がホールショットを争い、まずは箕浦が先行。
濱村いぶき(#6)を抜いて川上真花(#4)が3番手に浮上し、抜かれた濱村は転倒して順位を下げた。これで4番手に上がったのは、今回からヤマハにマシンを戻した本田七海(#2)。
さらに、5番手には楠本菜月(#10)、6番手には瀬尾柚姫(#5)がつけた。

箕浦と川井は1周目だけで3番手以下を約5秒離すと、2周目に川井が箕浦をパス。抜かれた箕浦は僅差で川井を追ったが、翌周に転倒して楠本に次ぐ5番手に順位を下げた。これにより、2番手に浮上した川上に対して川井のリードは約8秒に。
3番手の本田は川上の4~5秒後方を走行し、4番手の楠本は本田から大きく遅れた。レース後半、2番手の川上はトップの川井にやや接近。
しかしレースは6周でチェッカーとなり、約5秒のリードを守った川井が優勝、川上が2位となった。
本田は懸命に川上を追い続けたが、その差は最後まで大きく変わらず3位。
楠本は本田から30秒ほど離されて4位、転倒再スタート後に楠本を4秒前後の差で追い続けた箕浦が5位、レース終盤は単独走行となった瀬尾が6位に入賞した。

●優勝 川井麻央(#1)

路面が荒れてレールが多い、自分が大好きなコンディション。とはいえ、無事に勝ててほっとしています。
チームの関係者やファンの方々が、コースサイドのいろんなところに散らばりながら応援してくださり、とても力になりました。次も勝つので、応援よろしくお願いします。