1. HOME
  2. ブログ
  3. 2025全日本モトクロス選手権 第2戦 決勝レポート

2025全日本モトクロス選手権 第2戦 決勝レポート

2025年の全日本モトクロス選手権シリーズは、全7戦のスケジュール。その第2戦SUGO大会は、開幕戦から2週間後の4月26日(土)~27日(日)に宮城県のスポーツランドSUGOで開催され、日曜日には各クラスの決勝レースが実施された。

山と丘の斜面や谷地を活かしながらレイアウトされたSUGOのインターナショナルモトクロスコースは、東北地方におけるモトクロスの中心地的存在。
名物となっている上り急こう配の大坂を筆頭に、アップ&ダウンを豊富に有する。今大会では、基本的なレイアウトを昨年から踏襲しつつ、ハイスピード区間となるヨーロピアンセクションを中心に、各部の仕様が変更された。

日曜日の天候は晴れ。各クラスの予選などが実施された土曜日の段階から天候に恵まれ、路面はドライコンディションとなったが、走行により硬いギャップやレールが多く発生し、とくに午後はかなりのハードパックとなった。

IA1ヒート1

全日本最高峰となるIA1クラスの決勝は、30分+1周の2ヒート制で実施された。ヒート1でホールショットを奪ったのは、ホンダがサポートする横山遥希(#2)。
これにカワサキを駆る内田篤基(#10)が続くと、オープニングラップで内田がトップに立った。3番手はヤマハセカンドチームの渡辺祐介(#15)。
さらにホンダの大倉由揮(#4)、カワサキに乗る神田橋瞭(#11)、ヤマハセカンドチームの大城魁之輔(#8)が続いた。

ヤマハファクトリーチームから参戦するジェイ・ウィルソン(#1)はスタートで出遅れたが、それでも1周目は大城に次ぐ7番手。横山が再び先頭に立った2周目、そのウィルソンは5番手に順位を上げ、神田橋は8番手までポジションを落とした。3周目と4周目にもウィルソンは追い上げを続け、この段階でトップ6は横山、内田、ウィルソン、渡辺、大倉、大城のオーダー。
さらに7番手にはカワサキファクトリーチームの能塚智寛(#5)がつけ、8番手以下は遅れ始めた。

トップグループは、5周目の段階ではそれぞれが2秒前後の間隔で縦に長くなったが、さらに追い上げを続けたウィルソンが7周目に2番手となり、約4秒先行していた横山の追撃を開始。一方で渡辺が7周目に大倉と大城の逆転を許すなど、徐々に順位を入れ替えていった。
そして12周目には、横山とウィルソンがトップ争い、8秒ほど遅れて内田と大倉が3番手争い、3秒ほど離れて大城が5番手、約9秒離された6番手に能塚となった。

13周目には大倉が内田の攻略に成功。内田の背後には大城も迫り、14周目に逆転した。同じ周、トップ争いではウィルソンが横山に肉迫。
コーナーで両者が並ぶと、ここで接触により横山のみ転倒し、ウィルソンが先頭に立った。
横山は2番手でレースに復帰してウィルソンを追ったが、レースは16周でチェッカー。


ウィルソンが勝利を収め、横山が2位となった。
大倉と大城による終盤の3番手争いは大倉が制し、大倉が3位で大城が4位。この2台に最後は引き離された内田が5位、後続を振り切った能塚が6位となった。

●優勝  ジェイ・ウィルソン(#1)

本当にエキサイティングでタフなレースでしたが、日本人選手との激しいバトルを楽しんでもらえたと思います。支えてくれている多くの人たちに感謝しています。
午後のレースも表彰台に立って、そのときは日本語でコメントしたいと思っています。

●2位  横山遥希(#2)

けっこうリードしていたのですが、終盤にミスして並ばれたときにちょっと強引にいきすぎてしまい、フロントがすっぽ抜けて単独で転んでしまいました。
流れは良かったのですが、ちょっとしたミスで取りこぼしてしまったので、次のヒートは修正して勝ちにいきます!

●3位  大倉由揮(#4)

スタートで少し出遅れてしまい、そこからパッシングして追い上げるのも難しかったです。ベストなレースではなかったのですが、じりじりと順位を上げ、後半はいいリズムで走って結果につなげられたと思います。
数年ぶりにダンロップタイヤで戦うシーズン。心強く思っています。

IA1ヒート2

ホールショットを奪ったのは神田橋瞭(#11)。これに横山遥希(#2)が続くと、オープニングラップで両者が激しいトップ争いを演じた。
そして横山が逆転し、これに神田橋、カワサキを駆るIA1ルーキーの西條悠人(#37)、大倉由揮(#4)、大城魁之輔(#8)、ジェイ・ウィルソン(#1)らが続いて1周目をクリアした。2周目、神田橋は7番手まで後退。ウィルソンは一気に2番手まで順位を上げた。

この段階で、トップの横山と2番手のウィルソンは約3.5秒差。するとウィルソンは、あっという間に横山のリードを削り取り、4周目には逆転に成功した。これで上位勢はウィルソン、横山、大倉、大城、西條、能塚智寛(#5)のオーダー。
翌周以降、ウィルソンはじわじわとリードを拡大していった。3番手の大倉も2番手の横山に少しずつ離され、6周目には前後に約5秒の差がある単独走行に。一方、4番手争いは接近戦となり、大城を西條と能塚が僅差で追った。

6周目、能塚はまず西條のパッシングに成功。これで5番手に上がると、1.5秒ほど先行する大城を追った。レースが後半に入った9周目の段階で、トップのウィルソンは約6秒のアドバンテージを確保。
その後は後続とのギャップをコントロールしながら周回を重ねた。
この9周目から10周目にかけ、一度は大城に迫った能塚がラップタイムを落とし、これで西條が再接近。しかし能塚は11周目以降に立て直し、西條を離していった。

レース終盤、2番手の横山はトップのウィルソンに少し近づいたが、ウィルソンは動じることなく周回。そのまま16周目まで逃げ切り、再びトップチェッカーを受けた。
横山は2位、終盤にはやや大城に近づかれるも逃げ切った大倉が3位、大城が4位となり、ここまではヒート1と同じ結果に。5位に能塚、6位に西條が入った。
ヒート1は5位となった内田篤基(#10)は、1周目に転倒して12位。これにより総合成績5位は能塚が獲得した。

●優勝  ジェイ・ウィルソン(#1)

センダイノミナサン、マンズドウモネ~。キョウモ、オウエンアリガトウ。2021ネンニ、SUGOデレースヲシテカラ、SUGOがダイスキデス。
ニホンノライダーノスキルハ、ドンドンアップシテイマス。ミナサン、オツカレサマデシタ。コレカラモ、オウエンヨロシクオネガイシマス!

●2位  横山遥希(#2)

両ヒートとも、リードしていながら抜かれてしまって、情けないレースでした。勝ちという味を知っているので、2位では全然満足できないです。
あと5戦あるので、ここから右肩上がりを目指します。次戦は実家の近く(オフロードヴィレッジ)で開催。そこでも頑張ります。

●3位  大倉由揮(#4)

IA1クラスを走るようになってから、2ヒート制で両方とも表彰台というのはこれが初。結果としては悔しいですし、まだまだ上に行きたいという気持ちが大きいですが、まとめられたというのは大きな一歩だと思います。
まだまだレースは続くので、上の2人に勝利したいです。

IA2ヒート1

若手と中堅が中心のIA2クラスも、30分+1周の2ヒート制で競われた。ホールショットを奪ったのは、ディフェンディングチャンピオンの中島漱也(#1)。
これに道脇右京(#47)と鴨田翔(#6)と田中淳也(#4)が続いて1周目をクリアした。2周目には田中が2番手に浮上し、2~3秒先行していたトップの中島を追撃。鴨田も道脇を抜き、こちらは順位維持となった。

4周目には田中が中島に迫り、僅差のトップ争いがスタート。ところが5周目、中島にコーナーのアウト側から迫った田中が単独転倒し、7番手まで順位を下げた。
これにより、トップの中島は2番手の鴨田に対して約5.5秒のリード。翌周以降、両者の間隔はレース終盤までほぼ変わらなかった。

一方、鴨田から徐々に遅れた3番手の道脇には、池田凌(#13)と吉田琉雲(#14)が接近。さらに、転倒後に追い上げてきた田中、佐野雄太(#11)や佐々木麗(#9)もこのバトルに加わり、7周目には道脇が後退し、8周目には田中が集団の先頭に立った。


この段階で2番手の鴨田は約9秒先行していたが、田中はここからギャップを削り取り、14周目には接近戦に。そしてラスト2周となった15周目、田中は逆転に成功した。

レースは、序盤から安定してトップを走った中島が今季初優勝。2位に田中、3位に鴨田が入った。レース終盤に後続を振り切った吉田が4位。5位に佐々木、6位に佐野が入った。
横澤拓夢(#2)はスタート直後のコーナーで単独で転倒。他車とマシン同士が絡まって再スタートに時間を要し、最後尾から追い上げたが9位に終わった。

●優勝  中島漱也(#1)

予選で失敗してしまったスタートは決めることができたのですが、その後は守りの走りになってしまいました。
チャンピオンを獲った翌年にまたIA2を走っているのは、守りの走りをするためではなく、自分自身を磨くため。次こそ熱い走りをしたいと思います!

●2位  田中淳也(#4)

転倒してしまったことが悔しいですが、走りそのものは良くなっているので、ヒート2に向けて準備します。
昨日の予選から同じヤマハセカンドチームの中島選手とバトルし、このレースはバトルになりませんでしたがヤマハで1-2。ヤマハでレースを盛り上げていきます。

●3位  鴨田翔(#6)

IAで何回も表彰台に立っていますが、SUGOだけは一度もなかったので、3位とはいえ素直にうれしく思います。でもここを目指しているわけじゃなくて、優勝するために走っているので、手強い相手が多くいますが、気を抜かずヒート2に挑みます。

IA2ヒート2

レースは、再び中島漱也(#1)のホールショットで幕を開けた。これに続いたのは、ヒート1でトップ走行中の中島に迫りながらも転倒に泣いた田中淳也(#4)。
さらに、IA昇格2年目となる吉田琉雲(#14)、ヒート1は12位だった今岡駿太(#35)が続いたが、今岡はオープニングラップに転倒して大きく後退。
吉田に次ぐ4番手には池田凌(#13)が浮上し、さらに平塚豪(#22)や鴨田翔(#6)らが続いた。

レース序盤、中島と田中と吉田は、それぞれ1.5秒前後の間隔を保ちつつ、4番手以下を徐々に引き離しながらトップグループを形成。
3周目の段階で、4番手の池田は約4秒離され、4周目には池田の約3秒後方となる5番手に鴨田が浮上した。5周目、田中が若干ミスし、これで吉田が接近。しかし翌周には、再び田中が少しリードを奪った。

レース前半が終了する8周目までの間にトップ3の間隔は広がり、トップの中島から5番手の鴨田まではそれぞれ4秒前後のギャップに。鴨田から6秒ほど遅れた6番手には佐野雄太(#11)が上がってきたが、その背後には福村鎌(#12)が迫った。
10周目、佐野がミスして7番手に後退。これにより福村も、5番手と約5秒、7番手と約8秒の差がある単独走行となった。

レース終盤、トップの中島から6番手の福村までは、それぞれが単独走行を継続。
レースは16周でチェッカーとなり、中島が優勝、田中が2位、吉田がIA初表彰台となる3位、池田が4位、鴨田が5位、福村が6位となった。横澤拓夢(#2)は、再びスタート直後に転倒して10位。

今大会の結果、今季初の優勝と両ヒート制覇を達成した中島がランキングトップ、開幕戦は総合成績4位だった田中がランキング2位に浮上した。

●優勝  中島漱也(#1)

これまでにない緊張感があり、昨年のシーズンとはまた違った難しさを感じながら臨んでいます。
ヒート1は優勝できたものの情けない走りでしたが、ヒート2はちょっと納得できる走りができたと思います。
追われる立場でも、絶対に守りの走りはしないと決めているので、これからも攻め続けます!

●2位  田中淳也(#4)

スタート直後から2番手でしたが、なかなかペースが上げられず、後半は中島選手が離れていく一方でした。でも、ニュージーランドで2ヵ月もトレーニングしたのに、開幕戦では表彰台に立てなかったので、ヤマハのコースでワン・ツー・フィニッシュできたのは良かったです。

●3位  吉田琉雲(#14)

ありがとうございました! 表彰台からの眺めは最高です。スタートもけっこう決まって、最初から上位でレースができ、トップ集団の走りを見ることもできたので、次はもっと高いところに立てるよう、練習を頑張ります。

レディース 決勝

15分+1周の決勝レースは、楠本菜月(#4)のホールショットで幕を開けた。これに箕浦未夢(#6)と川井麻央(#1)が続くと、コース序盤のヘアピンカーブ進入で3台が横並びに。
ここで楠本が転倒して大きく順位を落とし、箕浦が先頭に立った。箕浦と川井は1周目から後続を引き離し、川井が箕浦を1秒以内の差で追撃するマッチレースを開始。一方、3番手争いは穗苅愛香(#8)と大久保梨子(#12)によるこちらも接近戦となった。

5番手以下は大久保からさらに大きく離され、山崎琴乃(#9)を先頭に5台が連なる第3グループを形成。3周目、それまで穗苅を僅差で追っていた大久保が遅れはじめ、穗苅と大久保はそれぞれが徐々に単独走行となっていった。
トップ争いでは、4周目の最終コーナーで箕浦のわずかなミスを見逃すことなく、川井がトップに浮上。
5周目には穗苅が再逆転を狙って川井に並んだが、これを川井が巧みに抑えた。

レース後半、川井は少しずつリードを拡大。レースは8周でチェッカーとなり、川井が勝利を飾った。箕浦は2位、途中から単独走行を続けた穗苅は3位、大久保は4位。


レース後半まで混戦が続いた5位争いは木村綾希(#13)が制し、赤松樹愛(#7)が6位となった。表彰台のメンバーと立ち位置は、開幕戦と完全に同じ。「シーズン全勝」という目標を掲げる川井は、昨年の第7戦から4連勝をマークしている。

●優勝  川井麻央(#1)

ありがとうございます! シーズンが終わるまで、連勝を止める気はありません。
最後まで、しっかりバトルして勝利し続けます。次戦も全開で戦うので、応援よろしくお願いします!

●2位  箕浦未夢(#6)

開幕戦よりは、川井選手に抜かれた後も粘ろうと思ったのですが、やっぱり川井選手は速くて、ついていけませんでした。次戦は最後の最後まで粘って、優勝できるよう頑張ります。

●3位  穗苅愛香(#8)

SUGOは苦手意識が強く、レース前からスゴい緊張してしまい、守りの走りになってしまいました。
前の2人には離されちゃいましたが、最後まで走り切って表彰台に上がることができました。