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全日本モトクロス第3戦プレビュー

2023年6月3日(土)~4日(日)に、宮城県のスポーツランドSUGOで開催されるD.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズの今季第3戦SUGO大会。ここでは、そのコース概要や周辺状況、現地での楽しみ方、今大会の見どころや各クラスの注目選手をお教えします!

SUGOは東北地方のモータースポーツ拠点

今季、国際A級ライセンスを所持するライダーによって競われるIA1クラスとIA2クラスについては、年間9戦が予定されているD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ(レディースクラスとIBオープンクラスは7戦)。そのシーズン序盤を締める第3戦SUGO大会は、2023年6月3日(土)~4日(日)に実施されます。

今大会の舞台となる、宮城県南部に位置するスポーツランドSUGOは、アジアロードレース選手権や全日本ロードレース選手権などが開催されるオンロードサーキットや、全日本スーパーモト選手権の開催コースに組み込まれているカートコースなども有し、全日本トライアル選手権や全日本エンデューロ選手権まで実施される、広大な複合モータースポーツ施設。オンロードとオフロードともに、東北地方の拠点となってきた歴史があります。

公共交通機関でのアクセスはあまり便利ではないのですが、東北道の村田ICからは15分ほどの距離にあり、クルマやバイクでのアクセス性は良好。しかもバイクなら、今大会の駐車料金は無料です(クルマは1台1500円)。

かつて世界選手権も開催された名コース

スポーツランドSUGOのインターナショナルモトクロスコースは、今から15年ほど前にモトクロス世界選手権を誘致した実績もある、東北モトクロス界の中心的な存在。ふたつの丘にまたがるようにレイアウトされ、その斜面や谷地といった自然の地形を生かした豊富なアップダウンも特徴としています。コース序盤には斜度が約30度で長さが約70mもある上りの「大坂」、メインエリアから見ると “丘の向こう”となるエリアにはハイスピードな「ヨーロピアンセクション」など、数々の名物セクションを有します。

これまでも、全日本開催に合わせてレイアウトの一部変更などが頻繁に加えられてきたSUGO。ハイスピードセクションから低速ターン、多彩なジャンプやリズムセクション、そして大坂に代表されるアップダウンと、攻略には総合的なライディングスキルが求められます。マディレースでは“修羅場”と化すことも多いコース。大会当日あるいは直前の天候も気になるところです。

なおSUGOには昔から、スターティングエリア左側(表彰台正面)にコンクリートのスタンド席があったのですが、近年はそれに加えて大坂の横などにも観客席の整備が進められました。飲食店ブースも複数ヵ所に分散されるなど、観戦環境の向上が進められていますよ!

最高峰のIA1クラスは開幕3戦連続の3ヒート

今季は、大会ごとに変則的なスケジュールが用いられている全日本モトクロス選手権。この第3戦では、最高峰のIA1クラスに15分+1周の決勝3ヒート制が導入され、IA2クラスは本来のフォーマットだった30分+1周の2ヒート制、レディースクラスは15分+1周の決勝1レースで競われます。

これによりIA1クラスは、開幕から3戦連続での3ヒート制。シーズン序盤で9レースを消化することになります。超スプリントレースにより、思わぬ伏兵が上位に入賞する可能性も増えますが、ここまで2戦は実力どおりの結果といった内容となっています。

IA1はこのライダーに注目!

最高峰クラスのIA1は、HSR九州(熊本県)での開幕戦、ウエストポイント オフロードヴィレッジ(埼玉県)の第2戦で、ヤマハファクトリーチームのジェイ・ウィルソン選手(#27)が2戦連続の3ヒート制覇を達成。昨年はIA2クラスであわや全勝という圧倒的な速さを披露したウィルソン選手に、対抗できる日本人ライダーが登場するかどうかというのが、最大の注目ポイントとなります。

まずその有力候補に挙げられるのは、ヤマハファクトリーチームから参戦する昨年度王者の富田俊樹選手(#1)です。富田選手は、開幕戦こそ新型マシンとのマッチングに苦しみましたが、第2戦で調子を上げ、決勝ヒート3ではレース序盤から中盤にかけてウィルソン選手と互角のラップタイムで走行。序盤の数周はウィルソン選手がこれまでも圧倒的に速く、ここで差をつけられている状況ですが、スタートで富田選手が前に出て、ウィルソン選手が出遅れる展開になれば、十分に勝利の可能性はありそうです。

また、開幕戦から6レースで3度の3位以内入賞を果たしているカワサキライダーの内田篤基選手(#8)や、2度の2位をマークしているホンダの大城魁之輔選手(#4)、6レースすべてで4位となった同じくホンダを駆る大倉由揮選手(#6)にも注目。15分+1周の超スプリントレースなので、スタートダッシュを決めればどのライダーにも優勝のチャンスは十分にあります。

IA2はこのライダーに注目!

主に若手と中堅のライダーが参戦するIA2クラスは、ここまで2戦5レースを終えて、スペイン人ライダーのビクトル・アロンソ選手(#58)が3勝をマーク。まずはランキングトップに立っています。第2戦では2ヒート制覇を達成したアロンソ選手ですが、3ヒート制で実施された開幕戦では、アロンソ選手以外に中島漱也選手(#4)と西條悠人選手(#8)が優勝。西條選手は第2戦の不調によりランキング5番手ですが、中島選手はランキング2番手になっています。

また、浅井亮太選手(#2)は優勝こそないものの2位2回、3位1回でランキング3番手。横澤拓夢選手(#5)は、2位1回、3位1回でランキング4番手となっています。トップのアロンソ選手からランキング5番手の西條選手までは26点差。まだそれほど大きなギャップになっておらず、この第3戦の結果がポイントランキングに大きな影響を与えそうです。

Ladiesはこのライダーに注目!

昨年、チャンピオンに輝いた久保まな選手に最終戦で同ポイントかつ同勝利数に並びながら、2位入賞回数の差で3年連続のシリーズタイトル獲得を逃した川井麻央選手(#2)。今季開幕戦では、その川井選手が圧倒的な速さで勝利を収め、速さが健在であることを証明しました。ところが第2戦では、川井選手が不運な2度の転倒で6位に終わり、チームメイトの濱村いぶき選手(#17)が全日本初優勝。箕浦未夢選手(#9)が全日本自己最高位更新の2位、瀬尾柚姫選手(#8)が全日本初表彰台となる3位と、表彰台には新たな顔ぶれが並びました。

この第3戦も、川井選手や実力者の本田七海選手(#4)らが優勝候補であることに変わりありませんが、他のライダーも実力をつけてきており、し烈な表彰台争いが繰り広げられることになりそうです。