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全日本モトクロス選手権 第6戦関東大会決勝レポート

年間7戦で競われる2022年の全日本モトクロス選手権シリーズは、ラスト2戦のシーズン終盤戦に突入。第6戦関東大会埼玉トヨペットCUPが、第2戦の舞台ともなったウエストポイント オフロードヴィレッジで開催され、10月30日(日)に各クラスの決勝レースが実施されました。

荒川と入間川に挟まれた河川敷に設けられたコースは、第2戦開催時とは大幅に仕様が異なり、まずはこれまでとは逆回りに。そしてコースの序盤は、ジャンプやリズムセクションがほとんどないフラットなレイアウトとなり、一部区間が延長されてコース全長が伸ばされました。中盤以降は、これまで同様にジャンプとタイトターンが多めのスーパークロステイストです。

決勝日の天候は晴れで、路面はドライコンディション。大量かつ頻繁な散水作業により、乾くとかなり締まる路面が柔らかくなって一部コーナーには深いワダチも刻まれる一方で、かなりハードパックな区間も混在し、攻略が難しい路面状況になりました。

IA1ヒート1

全日本最高峰のIA1クラスは、通常どおりとなる30分+1周の2レースを実施。そのヒート1では、ホンダを駆る道脇右京(#14)を同じくホンダ勢の小方誠(#5)と大倉由揮(#23)がパスして1周目をクリア。
道脇の後ろには、ホンダサポートライダーの大城魁之輔(#22)、カワサキファクトリーチームの能塚智寛(#3)、カワサキを駆る内田篤基(#25)、ヤマハファクトリーチームの富田俊樹(#2)が続きました。

同じくヤマハファクトリーチームから参戦する渡辺祐介(#4)は、転倒によりほぼ最後尾からのレース。
2周目に道脇は5番手に後退し、富田は内田を抜きました。3周目には富田が道脇をパスし、これで上位勢は小方、大倉、大城、能塚、富田のオーダー。
4周目以降に大倉が順位を下げ、2番手に浮上した大城はトップの小方に迫りました。

そして7周目に、大城がトップに浮上。2番手に後退した小方には能塚が肉迫し、9周目に先行しました。
この段階でも、上位4台は距離が近めで、大城と能塚と小方と富田が、それぞれ1~2秒間隔。一方で5番手以下はこの集団から6秒ほど遅れ、内田が大倉をパスしました。
13周目、富田が小方に迫るとパッシングに成功。レース終盤になると、トップ集団の間隔はやや開きました。

一方、接戦となったのは5番手争いで、18周目には内田と本田に乗る大塚豪太(#7)と追い上げてきた渡辺が接近戦を展開。
そして19周目に、大塚と渡辺が内田をパスしました。レースは、最後までハイペースを刻んで最後はリードを拡大した大城がトップチェッカーを受け、IA1参戦初年度で2勝目。
2~4位は接戦で能塚が2位、富田が3位、小方が4位でした。大塚は5位、渡辺は6位でゴールしています。

●ヒート1 優勝 大城魁之輔(#22)

第3戦で1勝して、本当に最高でしたが、もう1勝挙げて、たまたまじゃないぞというところを証明したいと思っていました。
チームとしてもこの2勝目に向けて全力で取り組んできたので、それを達成できてうれしいです。

●ヒート1 2位 能塚智寛(#3)

タイトル争いはもう「どーぞ」という感じなので、僕はチャンピオンとかは関係なく、目先のレースで1勝、また1勝と増やしていけるようにがんばります。もう、チャンピオンは……。

●ヒート1 3位 富田俊樹(#2)

ハッピー、ハロウィン! 本当はこのレースでチャンピオンを決めたかったのですが、昨日の予選で能塚選手に巻き込み事故を喰らってしまいまして……。そういう中で表彰台に立てたのは良かったと思います。次で勝ってチャンピオンを決めたいと思います。

IA1ヒート2

スタート直後のコーナーで、あわやホールショットかと思われた小方誠(#5)が転倒。これに5台が巻き込まれるマルチクラッシュとなりました。
小方と能塚智寛(#3)のマシンが絡み合って外れなくなり、レースに復帰できた段階で周回遅れに。ただし能塚のマシンはエンジンが始動せず、そのままリタイヤとなりました。
レースは渡辺祐介(#4)が先頭に立ち、これを大城魁之輔(#22)、内田篤基(#25)、富田俊樹(#2)、大倉由揮(#23)らが追う展開。レース序盤から、上位勢は縦に長い隊列となっていきました。

4周目、内田が転倒により4番手に後退。5周目には大城も転倒を喫し、7番手まで順位を下げました。
大城の転倒により、トップを走る渡辺のリードは約6秒にまで拡大。2番手に富田、3番手に内田、4番手に大倉、5番手に道脇右京(#14)、6番手に大塚豪太(#7)のオーダーとなりました。

渡辺と富田の間には、1周目の転倒から復帰して周回遅れながら上位勢と同等あるいは上回る速さで激走を続ける小方がいて、富田はムリに近づくのがはばかられる状況。
3番手の内田は、富田から徐々に遅れていきました。9周目、ジャンプの着地で内田が転倒して大きく後退。
この周に大塚は大倉をパスし、これで3番手に大塚、4番手に大倉、5番手には転倒後に追い上げてきた大城となりました。

レースが後半に入った11周目、大倉とパッシングを試みた大城が接触し、大倉が転倒により7番手後退。
これで4番手に順位を上げた大城は、約4秒先を走る大塚を追いましたが、レース終盤にかけて大塚もほぼ同じペースで周回し、その差は大きく変動しませんでした。
そしてレースは、最後まで独走を続けた渡辺が今季初優勝。富田が2位でチェッカーを受け、IA1では自身初となるシリーズタイトル獲得を決めました。
3位には、今季初表彰台登壇となる大塚。4位に大城、5位に大倉、6位には星野裕(#13)が入りました。

●ヒート2 優勝 渡辺祐介(#4)

今年は苦しいシーズンになってしまいましたが、チームやスポンサーやファンなどの支えてくれている方々のおかげでようやく勝てました。チャンピオンはチームメイトに獲られてしまいましたが、最終戦は僕の地元となるスポーツランドSUGOが舞台。絶対に勝たせません!

●ヒート2 2位 富田俊樹(#2)

本当は勝って決めたかったのですが、チームメイトも速かったです。でも、ヤマハでワン・ツー・フィニッシュもできたし、T.E.SPORT時代の後輩の豪太とも表彰台に立てたのでうれしいです。チャンピオンが決まったので、最終戦はノンストレス。絶対に負けません!

●ヒート2 3位 大塚豪太(#7)

協力や応援してくださる方々が本当に多くて、でもその期待に応えることができず、キツい期間が本当に長く続きました。でもようやく、表彰台に戻ってこられました。皆さん、いいときも悪いときも応援してくださってありがとうございました!

IA2ヒート1

決勝レースは15分+1周の3ヒート制。そのヒート1では、前戦ですでにシリーズタイトル獲得を決めているヤマハファクトリーチームのジェイ・ウィルソン(#16)がホールショット。
これに横澤拓夢(#36)、浅井亮太(#21)、中島漱也(#5)、福村鎌(#18)、鳥谷部晃太(#4)、小笠原大貴(#33)、佐々木麗(#22)が続いて1周目をクリアしました。2周目、ウィルソンは早くも約3秒のリード。
横澤を先頭とする2番手以降は、佐々木まで7台が縦に長くなり、9番手の田中淳也(#5)以降は遅れはじめました。
4周目の段階で、トップのウィルソンは約6秒のアドバンテージ。2番手の横澤が後続を約2秒離し、浅井と中島と福村が接戦の3番手争いを展開し、6番手の鳥谷部はこの集団から4秒ほど遅れました。

5~6周目もほぼ同様の展開が続き、激しいバトルの中で6周目に中島が浅井をパス。さらに福村も浅井に先行しましたが、7周目に入ったところで福村は転倒して、翌周にリタイヤしました。
これで上位勢は、独走トップのウィルソン、2番手に横澤、3秒ほど離れて3番手に中島、約1秒差で浅井、約3秒のギャップがあって鳥谷部のオーダー。
ところが8周目、横澤がミスによりタイムロスして4番手に後退し、これで中島と浅井と横澤と鳥谷部までが、2番手を争うひとつの集団となりました。
レース終盤、この4台は僅差の争いを続けましたが、10周目に中島がややリード。レースは11周でチェッカーとなり、ウィルソンが優勝、逃げ切った中島が2位、中島には届かずも後続を抑え切った浅井が3位、横澤が4位、鳥谷部が5位でフィニッシュしました。

●ヒート1 優勝 ジェイ・ウィルソン(#16)

このオフロードヴィレッジに再び戻ってくることができて、とてもうれしく思っています。このコースはスタートで前にいることがとても重要だと考えていましたが、そのとおりの走りができて、イージーな展開で勝てました。

●ヒート1 2位 中島漱也(#5)

ここ数戦、調子はいいのになかなか結果につながらないレースが多く、キツい時期が続いていました。ここは地元ということもあり、応援してくれる人たちがたくさんいて、目標はジェイ・ウィルソン選手を倒すことですが、まずは2位になれてほっとしています。

●ヒート1 3位 浅井亮太(#21)

スタートで前の位置を確保できたのに、コースが難しくてなかなか攻略することができず、中島選手に抜かれて3位でした。残りのレースも、確実に自分の力を出し切ってより高いところを目指していきます。

IA2ヒート2

再びジェイ・ウィルソン(#16)がホールショット。これに鈴村英喜(#9)と米田海斗(#28)、柳瀬大河(#10)、中島漱也(#5)が続くと、まずは柳瀬が米田をパスしてオープニングラップをクリアしました。
2周目、トップのウィルソンは早くも約4秒リード。中島は米田を抜き、4番手に浮上しました。
3周目の段階でウィルソンが約5秒先行し、2番手の鈴村は3番手の柳瀬に対して3秒ほど先行。柳瀬から3秒ほど遅れた中島の背後には、5台が僅差でつながりました。
4周目以降もウィルソンはリードを拡大。鈴村と柳瀬のギャップは4周目に約4秒まで拡大しましたが、5周目に柳瀬が1秒ほどラップタイムを上げ、逆に鈴村が6周目に1秒ほどロスしたことから、両者が接近して2番手争いが開始されました。

一方、鈴村と柳瀬から6~7秒遅れた中島の背後には、1周目は8番手だった鳥谷部晃太(#4)が5周目にふたつ順位を上げて接近しました。
7周目、鈴村と柳瀬の距離はさらに近づき僅差のバトル。8周目には柳瀬が鈴村に並びましたが、ここはジャンプで鈴村が、やや強引にポジションを守りました。
この周、鳥谷部は中島を抜いて4番手に浮上。ここから数秒遅れた6番手争いでは、神田橋瞭(#20)が小笠原大貴(#33)を抜きました。
そして10周のレースは、ウィルソンが20秒以上も後続を離して独走のトップチェッカー。
追いすがる柳瀬を最後まで抑えた鈴村が今季第2戦以来となる2位、柳瀬が3位、鳥谷部が4位、中島が5位、神田橋が6位でした。

●ヒート2 優勝 ジェイ・ウィルソン(#16)

午前中のレースでは、ふたつのレースで好スタートを決めて、ふたつの勝利。とてもうれしいです。(※ここから日本語で)ありがとうございます。皆さんの応援、ありがとうございます。

●ヒート2 2位 鈴村英喜(#9)

第2戦のオフビ以来ずっと表彰台圏内でのゴールがなくて、皆さんが「まだか、まだか……」と待ってくださっている中でようやく2位になれました。お待たせしてしまいましたが、ようやく自分としてもひとつの課題をクリアできたのでうれしいです。

●ヒート2 3位 柳瀬大河(#21)

前の鈴村選手がずっと見えていたのですが、自分の力不足で抜くことができず、3位に終わってしまいました。残りは3ヒート、絶対に一度は一番高いところに上がりたいので、応援よろしくお願いします!

IA2ヒート3

阿久根芳仁(#26)がホールショット。これにジェイ・ウィルソン(#16)と福村鎌(#18)が続くと、すぐにウィルソンがトップに浮上し、3秒ほどリードして1周目をクリアしました。
2番手以下は阿久根、横澤拓夢(#36)、柳瀬大河(#10)、福村、浅井亮太(#21)、小笠原大貴(#33)、鳥谷部晃太(#4)らが大混戦。3周目の段階では、ウィルソンが8秒ほど先行し、横澤と柳瀬と福村がやや縦に長い2番手争いの集団を形成し、そこから2秒ほど離れて阿久根を先頭に6台が僅差でつながる5番手争いとなりました。
4周目、阿久根は8番手まで後退し、代わって浅井が5番手、鳥谷部晃太(#4)が6番手、中島漱也(#5)が7番手に浮上。
5周目、3台の2番手争いでは柳瀬が横澤にやや近づき、福村は柳瀬から2秒ほど遅れました。

6周目以降、ウィルソンが快調にトップを独走する一方で、横澤から7番手の中島まで6台は、それぞれ2~3秒の間隔がありながらもひとつの集団に近い状態。
この中で鳥谷部は、6周目に中島を抜き、8周目には5番手の浅井に迫りました。しかしここは、最後まで浅井がポジションをキープ。
レースは10周でチェッカーとなり、ウィルソンが独走で勝利を収めて開幕からの連勝を守りました。
2位には横澤が入り、今季自己最高位で表彰台に登壇。ヒート2に続いて柳瀬が3位でした。福村は4位、浅井は5位、鳥谷部は6位に入賞しています。

●ヒート3 優勝 ジェイ・ウィルソン(#16)

(日本語で)日本人ライダーのテクニックが上がったことはとてもうれしいです。新しいオフロードヴィレッジのコースはとても良かったです。今日、私のバイクはとてもいい感じでした。皆さんの応援、ありがとうございました。

●ヒート3 2位 横澤拓夢(#36)

サンキュー、ソゥマッチ! ニューオフロードヴィレッジはスーパーラフ、アンド、ディッフィカルト……。えーっ、皆さん応援ありがとうございました。ヒート1では転んでしまい、ヒート2はカラダのトラブルでうまく走れなかったので、2位に入れてほっとしています。

●ヒート3 3位 柳瀬大河(#10)

ヒート2に続いて、前が見えているのに抜けずに終わってしまいました。次の最終戦は、相性のいいスポーツランドSUGOなので、次こそは1位を獲れるように頑張ります!

レディース 決勝

15分+1周の1レースとなった決勝でホールショットを奪ったのは、ポイントリーダーの久保まな(#3)。これに箕浦未夢(#10)が続きましたが、川井麻央(#1)が追い上げてトップに立ち、これを久保や本田七海(#2)や箕浦らが追って1周目をクリアしました。

2周目、久保はトップの川井に迫りましたが、コース後半では逆に3番手の本田が久保に肉迫。箕浦が4番手をキープし、5番手に畑尾樹璃(#27)が浮上しました。

3周目には、本田が久保を抜いて2番手浮上。この2秒後方では畑尾が箕浦をパスし、瀬尾柚姫(#19)とランキング2番手の小野彩葉(#4)もこの2台に迫りました。
そして4周目、小野は瀬尾と箕浦を抜いて5番手までポジションを上げました。

3~5周目にかけ、トップの川井は約3秒のリード。しかし6周目に本田がペースを上げ、川井と本田のギャップは約1秒にまで縮まりました。
本田のペースアップにより久保は4秒ほど遅れ、そこからさらに5秒ほど後方では畑尾と小野が4番手争い。そして7周目、小野が畑尾の攻略に成功しました。

レース終盤、トップの川井と2番手の本田は、僅差のトップ争いを展開。逆転を試みた本田は、ラストラップとなった9周目の最終コーナーで勝負を仕掛けました。
ここで川井と本田が接触。川井は転倒を免れて今季初となるトップチェッカーを受け、本田は体勢を崩しながらゴールラインを越えて転倒するも、2位となりました。
久保は3位でゴールし、12点リードのランキングトップで最終戦へ。小野が4位、畑尾が5位、スタートで出遅れた楠本菜月(#5)が6位でした。

●優勝 川井麻央(#1)

今年の前半戦は自分の納得する結果が残せずにいたのですが、そういう中でも多くの方々が支えてくださり、今回は地元大会ということで本当にたくさんの人たちがコースまで応援に駆けつけてくれました。
自分ひとりでは勝てなかったと思います。あと1戦、全力で戦います!