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全日本モトクロス第4戦決勝レポート

年間7戦で競われる2022年の全日本モトクロス選手権シリーズ。前戦から約2ヵ月間の夏休みを挟み、第4戦近畿大会が三重との県境に近い奈良県の名阪スポーツランドで開催され、9月11日(日)に各クラスの決勝レースが実施されました。

サンド質のコースは、金曜日に降った豪雨により、土曜日はかなり水を含んだ柔らかい状態。それでも、水はけのよいサンド路面とあって日曜日にはかなり回復した。コースは、全日本を最後に開催した3年前と比べて、幅が狭いテクニカルな区間を増やした設定。日曜日の天候は晴れで、最高気温は31℃まで上昇。日差しが強く、非常に暑くなりました。今大会には、AMAライダーの下田丈(#30)がIA1にスポット参戦。久々の近畿大会ということに加えて下田効果もあり、大勢の観客が会場に詰めかけました。

IA1ヒート1

カワサキワークスチームから参戦した注目の下田丈(#30)がホールショット。全日本勢でこれに対抗を試みたのは、ホンダに乗る小方誠(#5)でした。その小方選手は1周目に少しポジションを落とし、オープニングラップは下田、カワサキに乗るIA1ルーキーの内田篤基(#25)、ホンダサポートの大倉由揮(#23)、小方、ヤマハファクトリーチームの富田俊樹(#2)、カワサキワークスチームの能塚智寛(#3)、ヤマハワークスチームの渡辺祐介(#4)のオーダー。2周目、富田が小方を抜いて4番手に順位を上げ、下田は早くも約5秒のリードを築きました。

3周目、内田と大倉が僅差の2番手争いを展開。この周、富田はこの2台に離されました。しかし4周目から内田と大倉のタイムが少し落ち、逆に富田はペースアップ。5周目には大倉が先行しましたが、内田も粘り、ここに富田が追いついて、三つ巴の2番手争いとなりました。そこから6秒ほど遅れた5番手争いは能塚、小方、渡辺、ヤマハに乗る星野優位(#8)までがワンパック。8周目、2番手争いでは富田が内田を抜きました。

この段階で、トップの下田は別クラスかと思うほどの独走状態。10周目、星野が転倒により5番手争いから脱落し、11周目には能塚がミスで7番手まで後退しました。同じ周、富田が大倉の攻略に成功。翌周には富田がやや離し、逆に大倉の背後には内田が肉迫しました。16周目、下田がまさかの転倒。15秒ほどのロスで復帰しましたが、それでもまだ完全に独走状態でした。ラスト2周で、大倉と内田の3番手争いが激しくなり、一度は内田が先行。これを抑えた大倉でしたが、20周目の最終ラップに転倒し、5番手に後退しました。レースは、転倒がありながらも下田が2位に40秒以上の大差をつけて優勝。2位に富田、3位に内田、4位に渡辺、5位に大倉、6位に小方となりました。

●優勝 下田丈(#30)

いい感じでスタートが決まり、ペースも良かったのですが、レース終盤にジャンプの着地でハイサイド状態となり転びました。その段階で後続との差がかなりあったので、その後はなんとかゴールまでマシンを運んだという感じです。大勢の観客が、名阪スポーツランドに足を運んでくれていて、とてもうれしいです。久々に走る日本のレース、楽しかったです!

IA1ヒート2

ホールショットを奪ったのは富田俊樹(#2)。これに小方誠(#5)が続きました。下田丈(#30)は6番手で1コーナーをクリア。4コーナーに進入でアウトから仕掛けようとしたところで後輪が地面に蹴られてバランスを崩し、耐えられずにコースアウトしました。そのすぐ先には、コースと通路を隔てるネットがあり、これに阻まれた下田は10mほどコースサイドを走ってUターンし、飛び出した地点からコースに復帰。このタイムロスにより、完全な最後尾からのレースとなりました。それでも下田は、1周目に13番手まで順位を上げました。

2周目、ヒート1で全日本最高峰クラス初表彰台に登壇した内田篤基(#25)が、6番手走行中に転倒。3周目には、小島庸平(#6)をパスして能塚智寛(#3)が3番手に浮上しました。この段階で、上位勢は富田、小方、能塚、小島、大倉由揮(#23)、の順。翌周には、ここに下田が加わり、異次元の走りであっという間に日本の先輩ライダーたちを抜いていきました。そして6周目には、下田がトップに浮上しました。

レース中盤、下田は手を緩めることなくハイペースで走り続けて独走。3番手争いでは、8周目に能塚が小方をパスしました。そしてここからは下田、富田、能塚、小方、大倉までのトップ5が、それぞれ単独走行状態に。レースは19周でチェッカーとなり、下田が優勝、富田が2位、能塚が3位、小方が4位、大倉が5位となりました。今大会の結果により、シリーズランキングでは富田が39点にリードを拡大しています。

●優勝 下田丈(#30)

オープニングラップはちょっとバカっぽいミスで、右コーナー進入でリヤタイヤがキックされてコースアウト。すぐコースに戻ろうとしたのですが、ネットに阻まれてそのままでは戻れず、コースサイドでUターンしました。日本に帰ってレースできるだけでもうれしいのに、こんなにたくさんのお客さんが会場に詰め掛けてくれて、胸が熱くなりました。モトクロス・オブ・ネイションズも頑張ります!

IA2ヒート1

決勝レースは2ヒート制。そのヒート1では、浅井亮太(#21)や開幕から前戦まですべて勝利を収めているヤマハファクトリーチームのジェイ・ウィルソン(#16)、米田海斗(#28)らがスタート直後から激しくトップを争い、米田と浅井のトップ浮上を経てウィルソンが先頭に立ちました。1周目はウィルソン、浅井、横澤拓夢(#36)、米田、阿久根芳仁(#26)、鳥谷部晃太(#4)のオーダー。2周目、米田は転倒で後退し、トップ3はウィルソン、浅井、横澤の順。阿久根はここからやや離され、背後には鳥谷部が肉迫しました。

3周目、鳥谷部が阿久根の攻略に成功。この段階で、3番手を走る横澤との差は約7秒に広がっていました。いつもならトップ浮上後に独走するウィルソンですが、難しい路面状況にこのレースでは慎重な走り。レース序盤から中盤にかけ、2番手の浅井がほぼ互角のラップタイムを刻み、ウィルソン選手とのギャップを約5秒程度にとどめていました。しかし、8周目に早くもバックマーカーが出現しはじめると、それでもハイペースを維持するウィルソンに対して、浅井はラップタイムが落ち、これで両者の距離は広がっていきました。

横澤は、浅井の5~6秒後方で単独走行の3番手をキープ。レース後半になってペースが落ち、その差は拡大しました。一方で、後半に強さを発揮したのが中島漱也(#5)。15周目に鳥谷部を抜いて4番手に浮上すると、残り2周で横澤に迫りました。しかしここは横澤が守り、ウィルソンが優勝、浅井が2位、横澤が3位、中島が4位、鳥谷部が5位となりました。

●優勝 ジェイ・ウィルソン(#16)

雨の影響により路面状況がかなり悪く、土曜日の予選と比べたらかなり改善されていましたが、それでもかなり難しいコンディションでした。しかも気温が高く、かなりタフなレースとなりました。今回は、IA1にジョーが参戦するということで、かなり大勢のモトクロスファンが会場に来てくれているので、そういう人たちの前で自分の走りと優勝をみせられたことに満足しています。

IA2ヒート2

ホールショットの神田橋瞭(#20)を鳥谷部晃太(#4)が追うと、鳥谷部がすぐにトップを奪取。鳥谷部、神田橋、柳瀬大河(#10)、横澤拓夢(#36)、中島漱也(#5)の順で1周目をクリアしました。ジェイ・ウィルソン(#16)はスタートで出遅れて11番手あたりからのレースでしたが、1周目に早くも中島に次ぐ6番手までポジションアップ。2周目にはウィルソンが中島を抜き、さらに浅井亮太(#21)も中島をパスしました。またこの周、柳瀬が神田橋を攻略して2番手に浮上しました。

3周目、ウィルソンは神田橋と横澤をパスして3番手。浅井もこれに続き、これで上位勢は鳥谷部、柳瀬、ウィルソン、浅井、横澤、神田橋、中島の順となりました。4周目、柳瀬はトップの鳥谷部に激しく迫るも、逆にウィルソンに先行されて3番手後退。5周目、背後のウィルソンを意識した鳥谷部が転倒して4番手まで順位を下げ、さらにウィルソンを追おうとした柳瀬も転倒を喫して6番手に後退しました。これでウィルソン、浅井、鳥谷部、横澤、中島、柳瀬のトップ6。レース前半、浅井はウィルソンとほぼ同じラップタイを刻みました。

しかし後半に入ると、ウィルソンのリードがじわじわと拡大。3番手の横澤も、浅井にやや離されました。転倒から追い上げてきた柳瀬は、10周目に鳥谷部、12周目には中島をパスして4番手浮上。その後、上位勢はそれぞれが前後に間隔のある単独走行に近い状態となりました。そしてレースは19周で終了。ウィルソンが開幕から無傷の9連勝を達成し、浅井が2位、横澤が3位、柳瀬が4位、中島が5位、鳥谷部が6位となりました。

●優勝 ジェイ・ウィルソン(#16)

スタートは良くなくて、1コーナーを立ち上がるまでの間にかなりの台数に先行されてしまいましたが、そこからの走りはヒート1と比べたら悪くなく、9連勝という結果を達成できました。じつはちょっと体調を崩していて、しかもこの荒れた路面かつ猛暑というコンディションになってしまったので、本当に厳しいレースでした。ヤマハや家族のサポートにとても感謝しています。

レディース ヒート1

決勝は今季初の2ヒート制。土曜日の決勝ヒート1でホールショットを奪ったのは川井麻央(#1)で、これに久保まな(#3)、畑尾樹璃(#27)、楠本菜月(#5)が続きました。前戦勝者の本田七海(#2)は、スタート直後に他車の転倒による影響で大きく出遅れて15番手あたりからのレース。畑尾のミスで楠本が先行し、上位勢は川井、久保、楠本、畑尾、井川実乃里(#17)を抜いたポイントリーダーの小野彩葉(#4)のオーダーとなりました。ところが、小野は1周目中盤で転倒して11番手まで後退。逆に本田は、1周目だけで7番手まで順位を上げました。

2周目、井川は11番手まで後退し、本田は松木紗子(#13)をパスして5番手。この周、川井、久保、楠本が縦長のトップ集団となり、畑尾はここから遅れて単独の4番手となりました。3周目、トップを走っていた川井が転倒して3番手に後退。これにより、トップ争いは久保を楠本が僅差で追う状態になりました。川井は2番手の楠本から4秒ほど遅れた3番手でレースに復帰しましたが、その後はペースが上がらず。レース後半、楠本は久保を僅差でマークし続けていましたが、ラスト2周となった8周目に転倒し、これで逃げ切った久保が今季初優勝を挙げ、楠本が2位、川井が3位でした。レース中盤、4番手の畑尾には本田が迫っていましたが、4周目に本田が転倒して10番手まで後退。畑尾が4位、再び追い上げた本田が5位でした。

●優勝 久保まな(#3)

ようやく今シーズン初優勝を挙げられて、しかもやっと地元の名阪スポーツランドで勝てたので、正直なところほっとしています。地元優勝は長年の夢でしたから。いつも練習しているコースですし、この大会には昔からお世話になっている方々や応援してくださっている人たちもたくさん足を運んでくれているので、そういう方々の前でまずは1勝できてうれしいです。

レディース ヒート2

本田七海(#2)がホールショット。これに川井麻央(#1)と畑尾樹璃(#27)が続くと、1周目の途中で畑尾が先行しました。4番手には楠本菜月(#5)。さらに小野彩葉(#4)と久保まな(#3)がこれを追いました。2周目、畑尾が後続を抑える間に、本田はリードを約5秒に拡大。畑尾、川井、楠本、小野、久保が接近戦の2番手争いを繰り広げました。3周目、川井と楠本が次々に畑尾をパス。さらに、小野と久保もこれに続きました。また、楠本が川井を抜いて2番手浮上。この周、トップを走る本田のリードは10秒以上にまで拡大し、完全に独走態勢となりました。

4周目以降、6番手に後退した畑尾は前のライダーから遅れ、楠本と川井と小野と久保が縦に長い2番手集団を形成。この中で久保が小野に迫り、5周目に先行しました。6周目、小野のペースが落ちて畑尾が肉迫。2番手の楠本は川井に対するリードを約4秒とし、川井の背後には久保が迫りました。7周目、小野が転倒により8番手までダウン。楠本はさらにリードを拡大しましたが、依然としてトップを走る本田とは10秒以上離れていました。8周目、久保がついに川井の攻略に成功。さらに川井を離しました。迎えた最終ラップの9周目、単独2番手だった楠本が転倒。これで楠本は10位に終わり、本田が優勝、久保が2位、川井が3位、畑尾が4位となりました。

●優勝 本田七海(#2)

地元の大会ということで、たくさんの方々が応援に駆けつけてくれて、本当に感謝しています。前戦終了後、このコースでかなり乗り込みしました。それによって自信を持ってレースに臨むことができ、2ヒート目で自分の走りができて勝つことができました。今年から環境が変わり、若手育成もしながらのレース活動ですが、引き続き自分自身も頑張っていきたいです。

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