第1戦HSR九州大会はこの選手に注目!
D.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ開幕戦は、4月10日(土)~11日(日)に熊本県のHSR九州で開催。ここではIA1、IA2、レディスクラスの注目ライダーをピックアップ!
~ IA1クラス〜
“巨鯨”を捕らえる選手は現れるのか?
4スト450ccマシンで競われる(2スト250㏄も参戦可能)、全日本モトクロス最高峰クラスのIA1。年間4戦10ヒートの短期決戦となった昨年は、ホンダのマシンを駆る山本鯨選手が6勝を挙げて、2年連続王者に輝きました。これで山本選手は、2018年を含めてIA1でV3達成。これは現役ライダーではトップ(他に最高峰クラスでチャンピオン経験があるのは小島庸平選手のみ)で、シリーズタイトル獲得の方法をもっとも熟知しているのが山本選手というわけです。
その山本鯨選手(#1)は今季も、小島庸平選手(#6)が率いるBells Racingを母体としたHonda Dream Racing Bellsから参戦。この開幕戦は15分+1周の3ヒート制となりますが、もちろんこの超スプリントレースでも優勝候補の筆頭です。ちなみに昨年は、15分+1周の決勝がシーズン中に6回ありましたが、山本選手はこのうち3ヒートで勝利。シーズンの勝率6割と比べるとやや下がりますが、それでも勝率5割と強さをみせています。
この山本選手に挑むライバルの筆頭が、昨年はそれぞれ1勝を挙げたYAMAHA FACTORY RACING TEAMの富田俊樹選手(#2)と渡辺祐介選手(#3)。いずれも、一昨年まで本場米国のAMAモトクロス選手権に参戦していました。昨年は富田選手がランキング2位、渡辺選手が同3位に甘んじたことで、今季の“捕鯨”にとにかく燃えているはずです。
また、昨年はカワサキファクトリーチームから参戦してランキング4位となった小方誠選手(#4)にも、注目が集まります。今季、小方選手はHonda Dream Racing HAMMERに移籍。ファクトリー体制だった2015年以来となるホンダです。今年の体制は、元ホンダファクトリーライダーの高濱龍一郎氏が率いるTEAM HAMMERを母体としたサテライトチームですが、小方選手は2008年まで2年間、このTEAM HAMMERに在籍していたことがあります。アグレッシブなライディングスタイルが魅力の小方選手。古巣で躍動する姿に期待しましょう!
この小方選手と入れ替わり、今季からカワサキファクトリーチームのTeam Kawasaki R&Dに移籍したのが能塚智寛選手。昨年は、1勝を狙いながらも届かず、最終戦ヒート2で転倒して足の靭帯を負傷。3月上旬からライディングを開始して、急ピッチで開幕戦に向けてコンディションを整えているようです。福岡県を拠点とする能塚選手にとって、熊本県のHSR九州はホームコース。スピード勝負の15分+1周で、間違いなく地元優勝を狙ってくるでしょう。ちなみに能塚選手は、IA2では2015年までカワサキに乗っていたんですよ。
~ IA2クラス~
王者不在のシーズンは激熱必至!
4スト250cc(2スト125㏄も参戦可能)で若手中心のクラスとなるのがIA2。昨シーズンは、開幕戦ヒート1以外の7ヒート連続で、横山遥希選手が優勝。2年連続チャンピオンに輝きました。しかし今季、圧倒的な速さを持つその横山選手は、海外でのレース活動を視野に全日本参戦を休止。これによりIA2は、王者不在のシーズンを迎えます。
となれば、当然ながらチャンピオン候補の筆頭になるのは、昨年度ランキング2位の大城魁之輔選手(#2)。昨年同様、Bells Racingに所属しますが、今季はIA1に参戦する山本選手と同じくHonda Dream Racing Bellsとなり、ホンダによるサポートの充実化も期待できます。昨年は、8ヒートのうち2位が2回、3位が4回で6度表彰台に登壇。ただし、表彰台を逃した2ヒートは7位まで落ち込んでおり、さらなる上位での安定したゴールが初タイトル獲得のカギとなりそうです。
大城選手以外で、チャンピオン候補として注目したいのが内田篤選手(#4)。昨年は、ケガにより第3戦SUGO大会を欠場しましたが、それでもランキング4位に入りました。横山選手が勝利を逃した唯一のレースで勝ったのが、この内田選手です。今季、内田選手は昨年と同じくマウンテンライダーズから参戦しますが、チームは使用するマシンをこれまでのスズキからカワサキにスイッチ。マシンの乗り替えがうまくハマれば、これまで以上の速さを発揮してくれると思います。
また、ヤマハのマシンを駆りbLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルドから参戦する大倉由揮選手(#6)も、チャンピオンの有力候補。昨年は、シーズン最初と最後のヒートで転倒リタイヤとなったことから6位に終わりましたが、2019年にはランキング2位となっています。大倉選手も、さらなるリザルトの安定感がカギとなりそうです。
IA2クラスは実力が拮抗していて、これ以外にも優勝候補はたくさん。まずは開幕戦でその走りをチェックして、今季の流れを占いましょう。なお開幕戦のIA2決勝は、30分+1周の2ヒート制となっています。
~ Ladiesクラス~
全勝クイーンにライバルたちが挑む!
2スト85ccマシンと4スト150ccマシンの混走により、女性ライダーたちが熱いバトルを繰り広げるレディスクラス。昨年は、1大会で決勝が1レースずつの4戦で競われ、これに全勝した川井麻央選手が自身初のチャンピオンに輝きました。
今季、その川井選手はチャンピオンゼッケン「1」を装着して、T.E.SPORTからホンダの4スト150ccマシンで継続参戦。2019年のチャンピオンで、昨年も川井選手とし烈なトップ争いを演じた本田七海選手(#2)も、bLU cRU TEAM KOH-Z LUTZ with 秀光ビルドからヤマハの2スト85ccマシンで参戦します。昨年、ずば抜けた速さを発揮していた川井選手と本田選手。今シーズンもこのふたりがチャンピオン争いをけん引することは間違いなさそうです。
ただし開幕戦では、昨年度ランキング3位だった久保まな選手(#3)にも要注目。社会人1年目ということから今季はスポット参戦を表明している久保選手ですが、開幕戦のエントリーリストには名を連ねています。昨年はハスクバーナの2スト85ccを走らせた久保選手ですが、今シーズンはマシンをホンダの4スト150ccにスイッチして、Honda Dream京都東 TEAM HAMMERから出場。一般的には2スト85ccと比べて4スト150ccのほうがやや有利……とされているので、4ストへの乗り替えがうまくいけば、久保選手の移籍後初レース初優勝なんてこともあるかもしれません。開幕戦の決勝は、15分+1周の1ヒート。一発勝負の熱い闘いから目が離せません!