1. HOME
  2. ブログ
  3. 全日本モトクロス選手権 第7戦決勝レポート

全日本モトクロス選手権 第7戦決勝レポート

年間9戦(レディースとIBオープンは7戦)が設定されている2023年の全日本モトクロス選手権シリーズは、いよいよシーズン終盤戦に突入。
IA1とIA2に開催クラスが限定された第7戦HSR九州大会が、日曜日のみのワンデースケジュールにより10月8日(日)に熊本県のHSR九州で開催されました。

今大会ではIA1クラスとIA2クラスともに、公式練習を兼ねた20分間のタイムアタック予選、20分+1周の決勝ヒート1とヒート2を実施。
さらに、決勝の2ヒート総合成績で各クラス15位以内となったライダーが、15分+1周のIAオープン決勝に出走しました。

アップダウンがほとんどない土地に設けられた、広いコース幅も特徴とするコースは、大幅改修が施された昨秋から基本的なレイアウトを踏襲しながら、ジャンプやリズムセクションの構成などの一部仕様を変更。本来は阿蘇の火山灰に由来する黒土の路面ですが、近年は山砂を導入しながらメンテナンスされています。
朝から強めの雨が降り、当初は平らに固められていた路面は、マシンの走行と降り続く雨により次第に悪化。決勝はマディコンディションで実施されました。

なお今大会では、本場アメリカのスーパークロスやモトクロスで大活躍中の下田丈が来場。トークショーや抽選会などのファンサービスを実施しました。

IA1 ヒート1

20分+1周で競われたヒート1では、ホンダサポートライダーの大城魁之輔(#4)と、ヤマハファクトリーチームに所属する今季ここまで無敗のジェイ・ウィルソン(#27)がホールショットを争い、ウィルソンが先行。
大城のチームメイトとなる大倉由揮(#6)はスタート直後のジャンプで転倒して最後尾となりました。1周目はウィルソン、大城、カワサキファクトリーチームの能塚智寛(#2)、カワサキのマシンを駆る内田篤基(#19)、予選から好調だったホンダに乗る池谷優太(#19)、カワサキに乗る安原志(#13)、ヤマハファクトリーチームの富田俊樹(#1)というオーダー。
開幕戦で負傷し、今回が復帰レースとなったヤマハファクトリーチームの渡辺祐介(#3)は、予選でマシントラブルが発生し、決勝までのインターバルが短く修復が間に合わなかったことから、このレースをリタイアしました。
先頭を走るウィルソンは、レース序盤からリードを拡大。前半の5周で10秒以上のアドバンテージを築き、完全な独走状態となりました。


一方、2番手争いは大城を能塚が2秒ほどの差で追い続ける展開。4番手の内田は前後に間隔がある単独走行となり、5番手争いでは3周目に安原が池谷を抜くと、翌周には安原と池谷と富田とケガからの復帰レースとなったホンダのマシンを駆る小方誠(#5)の4台が、縦に長いひとつの集団となりました。
レース後半、2番手の大城は僅かにリードを拡大。5番手争いでは安原が抜け出し、7周目には富田が池谷を抜いて6番手に浮上しました。
池谷を追う小方の背後には、追い上げてきた大倉も接近し、9周目には大倉が小方を逆転。レースは10周でチェッカーとなり、独走のウィルソンが勝利を収め、大城が2位、能塚が3位、内田が4位、安原が5位でゴール。
接戦となった6~8位は富田、池谷、大倉の順となりました。

●ヒート1 優勝 ジェイ・ウィルソン(#27)

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: jmx7_sun_2-2292-1024x682.jpg

九州のモトクロスファンの皆さん、今日はあいにくの酷い天気になってしまいましたが、それでも会場まで応援に来てくれてありがとうございます。
多くのサポートにも感謝しています。この調子で、ヒート2とIAオープンでも優勝できるようベストな走りをします。

●ヒート1 2位 大城魁之輔(#4)

(※レース中盤に左足首を負傷した影響により表彰式は欠席)レース中盤に、ジャンプでショートして着地がケース状態となり、その衝撃で左足首を痛めてしまいました。
その後、ジャンプを跳ばない走りに切り替えたのですが、意外とタイムは落ちず、なんとか2位になれました。

●ヒート1 3位 能塚智寛(#2)

勝つつもりでレースに臨んだのですがスタートが決まらず、2周目にゴーグルを外してしまったことから、視界不良のままなんとか走り切ったという感じ。
自分の力を出し切ったというレースではなかったので、残りの2ヒートはベストな走りで勝利を狙いたいです。

IA1 ヒート2

ヒート1と同じく20分+1周で競われたヒート2は、小方誠(#5)がホールショット。これに大城魁之輔(#4)とジェイ・ウィルソン(#27)、内田篤基(#8)、大倉由揮(#6)、能塚智寛(#2)らが続きました。1周目、大城はやや順位を落とし、2番手に浮上したウィルソンは小方に肉迫。しかし小方が必死にポジションを守り、オープニングラップをトップでクリアしました。それでも、2周目にはウィルソンが逆転に成功。これで上位勢はウィルソン、小方、内田、能
塚、大倉、大城、池谷優太(#19)、安原志(#13)、富田俊樹(#1)までが縦に長く続きました。2番手に後退した小方は、ウィルソンに大きく離されることなく、2秒ほどのギャップを保ちながら猛追。
4周目、3番手争いでは能塚が内田を抜き、6番手を走っていた大城は転倒で11番手まで後退し、これで池谷を先頭とする6番手以下は上位勢から完全に離れました。

レース後半、3番手の能塚が単独走行となり、ここからさらに遅れた内田には大倉が少しずつ接近していきました。
2番手の小方は、終盤に入ったところから確実にポジションをキープする走りに切り替え、これでトップを走るウィルソンのリードが徐々に拡大。
8周目、4番手争いでは大倉が内田の攻略に成功しました。そしてレースは再び10周で終了。ウィルソンがトップチェッカーを受け、開幕から一度も負けることなく全勝で、早々とシリーズタイトル獲得を決定しました。
小方が2位で、今季初表彰台に登壇。能塚が3位、内田を引き離した大倉が4位、内田が5位、池谷が6位となりました。

●ヒート2 優勝 ジェイ・ウィルソン(#27)

(日本語で)450ccでチャンピオンになれてとてもうれしいです。
このチャンピオンシップのために、みんなが頑張ってくれました。ファンの皆さんのおかげで、私の夢が叶いました。
皆さん、本当にありがとうございます!

●ヒート2 2位 小方誠(#5)

前戦の事前練習で鎖骨を折るケガしてしまい、今回が復帰戦ということで、まずは表彰台圏内でゴールすることを目標に掲げていました。
それが達成できてうれしく思っています。復帰に向けて協力してくれたチームやスポンサーの方々と、ファンのおかげです。ありがとうございます!

●ヒート2 3位 能塚智寛(#2)

コングラチュレーション、ジェイ! これ以上英語をしゃべるとボロが出るんで止めておきます。
ヒート2は自分の走りをすると宣言して臨んだのですが、このレースでもスタートで出遅れてしまいました。
ストレスが溜まるレースが続いていますが、IAオープンは勝ちたいです。

下田丈サイン会開催

お昼休みにはAMAで活躍中の下田丈選手のトークショー、サイン会等のイベントが開催され、多くのファンで賑わいました。

IA2 ヒート1

若手と中堅が中心のIA2クラス。20分+1周で競われた決勝ヒート1は、鴨田翔(#9)のホールショットで幕を開けました。
1周目の前半、鈴村英喜(#7)が積極的に順位を上げ、中島漱也(#4)をパスして2番手に浮上。トップと17点差のランキング2番手で今大会を迎えた横澤拓夢(#5)もこれに続きましたが、ここから中島がするすると順位を戻し、オープニングラップは鴨田、中島、鈴村、横澤、阿久根芳仁(#11)、柳瀬大河(#3)、池田凌(#18)の順となりました。
ポイントリーダーのビクトル・アロンソ(#58)は出遅れ、1周目13番手からのレース。
2周目、中島が鴨田をパスして先頭に立ち、5番手には池田が浮上しました。レース前半、上位勢はトップ5までが縦に長く続く展開。
中島、鴨田、鈴村、横澤、池田の順で周回を重ねました。

レースが後半に入った6周目、ややペースが上がらずにいた横澤を池田が抜き、4番手に浮上。これで視界が開けた池田はペースを上げ、翌周には3番手の鈴村に追いつき逆転に成功しました。先頭の中島は、レース中盤にじりじりとリードを拡大して快走。
レースは10周でチェッカーとなり、逃げ切った中島が同じコースで実施された今季開幕戦のヒート2以来となる2勝目をマークしました。鴨田が2位、池田が3位でフィニッシュ。
池田とのバトルでタイムを落とした間に後方の横澤に一度は迫られた鈴村は、終盤にリードを拡大して4位。
横澤が5位、アロンソは途中でトラブルがありながらも6位まで追い上げてゴールしています。

●ヒート1 優勝 中島漱也(#4)

夏に鎖骨を折り、第5戦北海道大会を欠場。苦しい期間もあったのですが、前戦に続いて体調もよかったので優勝を狙っていました。
まずはひとつ勝てて、うれしく思っています。今日の3レース目はIA1のライダーと混走なので、しっかり喰らいついていきたいです。

●ヒート1 2位 鴨田翔(#9)

スタートがとくに重要と考えて臨み、しっかり好スタートを切ることができました。
トップを走っていたのですが、いつも一緒に練習している中島君に抜かれてしまい、しかも離されてしまったのでめちゃくちゃ悔しいです。
次は誰の泥も浴びずトップでゴールしたいです。

●ヒート1 3位 池田凌(#18)

いろんな人の泥を浴びた池田です。第4戦中国大会での初優勝以降、転倒などで悔しいレースの連続。
このレースは3位でしたが、スタートが酷かったことを考えれば、今の自分ができるベストな走りはできたと思います。自分の頑張りだけでなく、皆さんのおかげです。

IA2 ヒート2

ホールショットを奪ったのは柳瀬大河(#3)。ところが1コーナー先のジャンプ着地付近でバランスを崩してコースアウトし、これで田中淳也(#17)が先頭に立ちました。
1周目は、この田中を池田凌(#18)や横澤拓夢(#5)、中島漱也(#4)、鈴村英喜(#7)らが追う展開。2周目には、これに続く6番手に浅井亮太(#2)、7番手に鴨田翔(#9)が浮上してきました。
ポイントリーダーのビクトル・アロンソ(#58)は大きく出遅れ、それでも2周目には8番手までポジションを回復していましたが、3周目に転倒して15番手まで後退。
この周、トップ争いでは池田が田中を抜きました。5番手の鈴村がやや遅れたことで、上位勢は池田と田中と横澤と中島が先頭集団、鈴村と浅井と鴨田がセカンドグループに。
4周目以降、トップの池田がリードを拡大し、2番手の田中には4周目に横澤を抜いた中島が迫りました。

そしてレースが後半に入った6周目に、中島が田中の攻略に成功。しかしこの段階で、トップの池田は10秒近いリードを奪っていました。レース終盤、中島は池田との距離を少しずつ縮めましたが、追いつくよりも先にレースは10周でチェッカー。
池田が今季2勝目をマークし、中島が2位、やや離されながらも懸命に中島を追い続けた田中が3位に入賞しました。
横澤と鈴村はレース中盤からややペースを落とし、これを抜いて順位を上げた浅井が4位、鴨田が5位。横澤は6位、鈴村は7位でフィニッシュしました。
アロンソは11位でゴール。この段階では、アロンソと横澤のポイントが11点差まで縮まりました。

●ヒート2 優勝 池田凌(#18)

スタートはまたちょっと悪かったのですが、1周目に前を走っていたライダーたちをうまく処理でき、勝つことができました。
でもまだ今日も1レースあるし、シーズンも残り2戦あるので、ここで満足することなくもっと勝てるよう、努力していきたいと思います。

●ヒート2 2位 中島漱也(#4)

このヒートもスタートを決めて勝ちたかったのですが失敗してしまい、追い上げのレースになってしまいました。
タフな展開でしたが、そういう状況でも落ち着いて確実に順位を上げられました。優勝には届きませんでしたが、まずは両ヒートをまとめられたのでよかったです。

●ヒート2 3位 田中淳也(#17)

スタートは決まったのですが、そこからペースがあまりよくなく、先輩たちに抜かされてしまいました。
まだもう1レース残っているので、次もスタートを決めて、450ccクラスのライダーたちとバチバチのバトルをしたいと思います。先輩を倒します!

IAオープン 決勝

IA1とIA2が混走し、クラスを考慮しないひとつのレースとして競われた15分+1周のIAオープン決勝は、マシンパワーに勝るIA1勢がスタートから上位を占め、まずはIA1決勝ヒート2に続いて小方誠(#5)がホールショット。
これにジェイ・ウィルソン(#27)と大城魁之輔(#4)、富田俊樹(#1)、渡辺祐介(#3)が続きました。1周目は大混戦でクラッシュや順位変動が多く、内田篤基(#8)と横澤拓夢(#5)が接触転倒して大きく出遅れるなどの波乱。
ウィルソンが先頭に立ち、再逆転を狙った小方が連続ジャンプ区間でミスする間に大倉由揮(#6)が先行し、まずはウィルソン、大倉、能塚、小方、富田の上位勢となりました。

1周目のフィニッシュジャンプで能塚が大倉に並ぶも、直後のコーナー進入でエンストし、この間に小方が先行。
2周目、5番手の富田や8番手を走っていた大城魁之輔(#4)、中段からの追い上げを狙っていたIA2ポイントリーダーのビクトル・アロンソ(#58)らが転倒して、大城はリタイアに終わりました。
これにより上位勢はウィルソン、大倉、小方、能塚のトップ4となり、池谷優太(#19)を先頭とする5番手以下は早くも大きく遅れた状態。
3周目、能塚が小方を抜いて3番手に順位を上げ、5番手争いではIA2クラスの中島漱也(#4)と浅井亮太(#2)が、IA1クラスの池谷をパスしました。
そして翌周には、浅井が中島を抜いてIA2勢のトップに浮上。レース全体の先頭争いでは、2~3周目に大倉がウィルソンとのギャップを少し詰め、3秒程度で追っていましたが、4周目からウィルソンがスパートし、リードを拡大しました。

6周目、能塚がウィルソンを上回るベストラップをマークして大倉に迫り、ここで大倉が転倒。
これにより能塚が2番手に浮上しました。大倉は4番手で復帰し、小方を僅差で追いましたが、7周目に入るところで再び激しくクラッシュ。
レースには復帰できたものの、このアクシデントにより浅井が大倉に迫りました。レースは8周でチェッカーとなり、独走のウィルソンが優勝。
能塚が2位、小方が3位、最後はなんとか順位を守った大倉が4位、浅井が5位、中島が6位となりました。

●優勝 ジェイ・ウィルソン(#27)

天気が悪い中、会場まで応援に来てくれてありがとうございます。日本にいる多くのファンに感謝しています。
来日してほとんどのレースに付き合ってくれている妻と娘にも感謝しています。またこの勝利は、ヤマハやスポンサーの方々のおかげでもあります。

●2位 能塚智寛(#2)

一度エンストさせてしまい、追い上げのレースになってしまいました。その後のペースは悪くなかったと思うのですが、ジェイさんには届かずまた負けてしまいました。
寒い雨の中、僕たちの泥遊びに付き合ってくれた来場者の方々に感謝したいと思います。

●3位 小方誠(#5)

もうちょっと前に行きたかったのですが、ジェイさんと能塚選手が速くて負けてしまいました。でも今大会は表彰台圏内が目標だったので、3位でもソコソコ満足。
今回は実力が足りませんでしたが、次戦は優勝できるよう、さらに頑張りたいと思います。

正式な順位はMFJオフィシャルサイトでご確認ください