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全日本モトクロス第2戦決勝レポート

2022年の全日本モトクロス選手権は、全7戦のシリーズ。その第2戦関東大会が埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジで開催され、5月15日(日)に各クラスの決勝レースが実施されました。

予選日はドロドロのマディコンディションでしたが、入念なコース整備で泥が排除されたこともあり、日曜日の路面状況は大幅に改善。お昼ごろにはほぼベストコンディションとなり、予選ではショートカットされたインフィールドセクションも使用されました。荒川と入間川に挟まれた河川敷にあるコースは、タイトターンとジャンプが多めで幅が狭い、いわゆるスーパークロス風のレイアウト。天候は曇り一時晴れで、最高気温は20度でした。

IA1ヒート1

このクラスとしては今季初となる3ヒート制が導入され、決勝は15分+1周で競われました(いつもは30分+1周の2ヒート制)。そのヒート1では、地元開催大会に燃えるヤマハユーザーの星野優位(#8)がホールショット。スタート直後、1コーナーおよびその先のジャンプでヤマハファクトリーチームの富田俊樹(#2)ら4台が転倒し、これで富田は1周目15番手あたりと出遅れました。

オープニングラップを制したのは星野。ホンダに乗るIA1ルーキーの大城魁之輔(#22)と大倉由揮(#23)が続いて2周目に突入すると、ここでヤマハファクトリーチームの渡辺祐介(#4)が4番手、ホンダのマシンを駆る小方誠(#5)が5番手にポジションアップ。しかし2周目が終了するところで大城は激しく転倒を喫し、ピットイン後にマシン破損でリタイヤになりました。この周、スズキに乗る星野裕(#13)をパスしたカワサキファクトリーチームの能塚智寛(#3)が、5番手に浮上。3周目の段階で、上位勢は星野優位、大倉、渡辺、小方、能塚のオーダーとなりました。

レースが後半を迎えた6周目の段階で、依然として星野優位がトップをキープし、これを約1秒差で大倉が追い、そこから2秒ほど離れて渡辺と小方と能塚が接近戦を展開。6番手の星野裕は遅れ、その背後には追い上げてきた富田が徐々に近づきました。8周目、激しいバトルを続けていた2番手争いの中で、小方が能塚のアタックで転倒して7番手まで後退。同じ周に富田は星野裕を抜き、これで5番手に順位を上げました。能塚は渡辺に迫り、何度も横に並ぶと、ラスト2周となった10周目にはついにパッシング成功。勢いを保った能塚は大倉との距離を詰め、最終ラップに逆転を果たしました。そしてレースは、星野優位が逃げ切って20年最終戦ヒート1以来の優勝。能塚が2位、大倉が3位、渡辺が4位、富田が5位となりました。

●優勝 星野優位(#8)

今年、ヤマハとレーシングチーム鷹の協力により自分のチームを立ち上げることになったのですが、開幕戦は空回り。ここは地元ということもあり、練習を重ねて万全の準備で臨みました。スタートがとにかく重要と肝に銘じていたので、狙いどおりのレースができてうれしいです。

●2位 能塚智寛(#3)

スタートが酷すぎて、2位が精一杯でした。大会直前のゴールデンウイーク中、カワサキの方々が休日出勤までして練習に付き合ってくれたので、とても感謝しているし、そのおかげで表彰台に立つことができたと思っています。次は、勝ちます!

●3位 大倉由揮(#23)

今年からホンダに乗り替え、最初はけっこう苦戦していたのですが、ホンダやチームの皆さんが協力してくれて、乗り込みの時間をかなり設けてくれました。第2戦でIA1初表彰台に立てたというのは、まずは大きかったと思います。さらに上を目指していきます。

IA1ヒート2

好スタートを決めたのは富田俊樹(#2)。これにまずは小方誠(#5)、安原志(#10)、小島庸平(#6)が続きましたが、混戦の中で後方から巧みに順位を上げた能塚智寛(#3)が、一気に2番手まで浮上しました。オープニングラップは富田、能塚、小方、安原、大城魁之輔(#22)、小島のオーダー。2~3周目にかけて、富田と能塚と小方はそれぞれ1秒ほどの間隔を保ちながらトップグループを形成し、4番手の安原を引き離していきました。3周目の段階で、安原は小方から約4.5秒のビハインド。4周目、この安原を大城が抜いて4番手に浮上しました。

同じ周、富田と能塚を僅差で追っていた小方がコーナーでミス。転倒は免れたものの3秒ほどタイムロスし、2番手の能塚から4秒以上遅れました。この段階で、4番手の大城は小方から約5秒遅れ。5周目以降に小方はペースを取り戻し、両者の差はコンマ数秒ずつ拡大していきました。

小方の脱落によりマッチレースとなったトップ争いは、2~3秒差で推移。7周目には能塚がベストラップタイムをマークして約2秒差に近づきましたが、翌周には富田がファステストラップタイムを記録して再び約2.5秒差としました。そしてレース終盤は、上位勢に大きな変動がないままレースが進行。11周でチェッカーとなり、富田が優勝、能塚が2位、小方が3位となりました。大城が4位、5周目に先行した小島が5位、安原が6位でゴールしています。

●優勝 富田俊樹(#2)

昨日の雨で、柔らかい路面が隠れていることもあり、午前中はちょっとトリッキーで難しいコースコンディションでした。ヒート1はスタート直後に転倒し、これで追い上げも先行逃げ切りのレースもやったので、ヒート3はどんな展開でも勝てると思います。

●2位 能塚智寛(#3)

最近、青いバイクの後ろを走ることが多くなっているので、ヒート3ではなるべくスタートから自分がトップを走って、そのまま勝つようなレースを狙っていきたいです。

●3位 小方誠(#5)

自宅はここから本当に近い場所にあって、オフロードヴィレッジは乗り込んでいるコース。事前練習の段階でかなりラップタイムもよくなっていたので、本当は勝ちを狙っていたのですが、富田選手と能塚選手が速く、負けてしまいました。次こそ勝ちたいです。

IA1ヒート3

大城魁之輔(#22)がホールショット。スタート直後の1コーナー立ち上がりでは、渡辺祐介(#4)の転倒を発端に6台のマルチクラッシュが発生して、大倉由揮(#23)らが巻き込まれて遅れました。オープニングラップは大城、星野優位(#8)、能塚智寛(#3)、富田俊樹(#2)、小方誠(#5)のオーダー。2周目、一度は富田が能塚を抜いたものの、ここはすぐに能塚が抜き返しました。3周目の段階で上位5台が6番手以下を約5秒引き離し、トップグループを形成。この周、能塚は星野を抜いて2番手に浮上し、約2秒先行するトップの大城を追いました。

4周目、大城はアドバンテージを約3秒に拡大。しかし5周目になると能塚がペースを上げ、4周目に星野をパスした富田を引き連れつつ大城に迫りました。6周目、星野の攻略に手間取っていた小方がついに逆転。しかしこの段階で、前とのギャップは約6秒に拡大していました。そして8周目、能塚が大城を抜いてトップ浮上。すかさず富田も続き、これで先頭集団は能塚、富田、大城の順になりました。

するとこれ以降、新たなラインを探る大城はむしろリズムを崩して一気に後退。トップ争いは能塚と富田のマッチレースになりました。僅差で追う富田は何度もパッシングを試みましたが、狭いコース幅と限定されたラインに阻まれてチャンスを得られず。レースは11周でチェッカーとなり、逃げ切った能塚が優勝、富田が2位、大城が3位となりました。小方は4位、星野は5位に入賞。3ヒート総合成績では能塚がトップとなりました。

●優勝 能塚智寛(#3)

予定では、今日のレースはすべて勝つつもりだったのに、ヒート1とヒート2はどちらも2位。だいぶ悔しかったので、ヒート3はぶっ飛んでもいいから攻めると思って走りました。最後は運よく結果につながったという感じもありますが、でもうれしいです。

●2位 富田俊樹(#2)

15分+1周の3ヒート制は、30分+1周を2回走るよりもタフですね。ヒート3もヒート2のように勝ちたかったのですが、序盤は大城選手と能塚選手が速くて少し動揺。途中でペースが上がったのですが、“大きい人”を抜く場所がありませんでした。今日は譲ってあげます!

●3位 大城魁之輔(#22)

ホンダさんのおかげで、事前にメタルメッシュスタートの練習をだいぶさせてもらえたので、このヒートでその成果を少し発揮できたかなと思います。今年ステップアップしたIA1はとても厳しいクラス。レベルが高いとあらためて感じさせられましたが、まだまだここからです。

IA2ヒート1

開幕戦で3ヒート連続3位となった中島漱也(#5)は、練習中のケガにより欠場。開幕戦は3ヒート制でしたが、今大会は通常どおりとなる30分+1周の2ヒート制で競われました。そのヒート1では、田中淳也(#05)、鴨田翔(#11)、福村鎌(#18)が好スタート。1周目途中で田中はふたつ順位を落とし、オープニングラップを鴨田、福村、田中、浅井亮太(#21)、池田凌(#6)、西條悠人(#7)の順でクリアしました。ヤマハファクトリーチームがオーストラリアから招へいしたジェイ・ウィルソン(#16)は、やや出遅れたところから混戦の中で追い上げて1周目7番手。ところが2周目に転倒して、14番手まで後退しました。

4周目、福村が4番手に後退して浅井が2番手に。この段階でトップの鴨田は約5秒のリードを得ると、その後はほぼギャップをキープしました。一方、ウィルソンは激しい追い上げで7周目には3番手まで浮上すると、一気に浅井の背後まで接近。ところが9周目に、再び転倒を喫しました。それでも、すぐに復帰したウィルソンは浅井に迫り、12周目に逆転。このとき鴨田は5秒近く先行していましたが、ウィルソンは1周につき1秒前後ずつその差を削り、16周目にはついにトップ浮上を果たしました。

抜かれた鴨田は、直後に再逆転を狙ってウィルソンのインに飛び込みましたが、ここはウィルソンが冷静に対処。最後はリードを広げたウィルソンが、20周のレースを制しました。鴨田は2位、浅井は3位で表彰台に登壇。ラストラップには田中と西條の4番手争いが繰り広げられ、最後まで粘った田中が4位、西條が5位となりました。

●優勝 ジェイ・ウィルソン(#16)

何度か転倒してしまい、とてもタフなレースになりましたが、優勝できてうれしいです。このレースは、(鴨田選手のほうを見て)こちらの選手が速くていい走りをしていました。彼にもおめでとうと言いたいです。

●2位 鴨田翔(#11)

地元開催ということでたくさんの方々が応援に来てくれました。本当は勝ちたかったのですが、IAに昇格してから一度も表彰台に立ったことがなかったので、まずは初表彰台で皆さんの応援に応えられてよかったです。ジェイ選手が2回コケて、勝てると思ったんですが……。

●3位 浅井亮太(#21)

満足できる結果ではないのですが、昨年ケガしてからあまりいい成績を残せず、表彰台からも遠ざかっていたので、それなりのリザルトを残せたのでまずは安心しました。次のヒートも自分の力をすべて出し尽くして、上位を目指して走ります。

IA2ヒート2

鈴村英喜(#9)がホールショットを奪い、鴨田翔(#11)、池田凌(#6)、西條悠人(#7)が追う展開。1周目、鈴村は後続を2~3秒も引き離してコントロールラインに戻ってきました。2番手以下は鴨田、西條、池田、佐々木麗(#22)までがトップ5。ジェイ・ウィルソンは大きく出遅れ、1周目を10番手でクリアしました。2周目、ウィルソンは8番手にポジションアップ。3周目には6番手まで浮上しました。レース序盤、トップを快走する鈴村は、2番手の鴨田に対して3秒弱のリードをキープ。しかしレースが中盤に入った7~8周目は鴨田のほうが速く、これで両者のギャップは約1秒に縮まりました。

すると9~10周目に鈴村がペースを上げ、これで再び2秒以上へと差が広がりました。ヒート1で複数回の転倒を喫したウィルソンは、このヒートではやや慎重な追い上げ。それでも8周目に4番手まで順位を上げると、13周目に西條を抜いて3番手まで浮上してきました。この段階で、2番手の鴨田とは約4秒差あったものの、15周目には完全にその差がなくなり、ウィルソンが先行。その直後、鴨田は激しくクラッシュして、この周でリタイヤとなりました。

ウィルソンはそのまま約2秒前を走る鈴村に迫り、翌周に逆転。レースは再び20周でチェッカーとなり、最後は余裕で逃げ切ったウィルソンが勝利を収め、鈴村が2位、西條が3位に入賞しました。池田は4位、1周目7番手から粘りのレースを続けた柳瀬大河(#10)が5位、1周目14番手から追い上げた横澤拓夢(#36)が、ヒート1に続いて6位でした。

●優勝 ジェイ・ウィルソン(#16)

このコースは東京から近いこともあってか、とても多くの方々が会場までレース観戦に訪れてくれて感動しています。簡単なレースではありませんでしたが、2ヒートとも優勝できてとてもうれしく思っています。ヤマハをはじめとする多くの方々に感謝しています。

●2位 鈴村英喜(#9)

今回はメタルメッシュスタートが導入され、自分では得意だと思っていたのですが、ヒート1では酷いミスをして出遅れました。ヒート2は気を引き締めて臨み、20分すぎまでトップを走れました。ウィルソン選手が速くて抜かれちゃいましたが、これも次につながる大切な一歩だと思っています。

●3位 西條悠人(#7)

スタートには自信があったのですが、予選でしかうまく決めることができず、とても悔しく感じています。次戦は地元のスポーツランドSUGOで開催されるので、次こそ勝利を狙います。引き続き応援よろしくお願いします。

レディース 決勝

ホールショットは畑尾樹璃(#27)。畑尾と1コーナーで競った開幕戦勝者の小野彩葉(#4)が1周目途中で先行し、早くも2~3秒のリードを奪いました。2番手を走る畑尾の後方には、日曜日朝の公式練習で激しくクラッシュして出場が危ぶまれた、ディフェンディングチャンピオンの川井麻央(#1)。4番手には穂苅愛香(#7)、5番手には楠本菜月(#5)がつけました。開幕戦2位の久保まな(#3)は出遅れて1周目9番手。2周目、穂苅が転倒して17番手まで後退しました。3周目、川井が畑尾を抜いて2番手に浮上。この段階で、トップの小野は8秒近く先行していました。

いつもならここから川井の追い上げがはじまるところですが、このレースは小野のほうがハイペース。翌周以降、小野と川井のギャップは拡大していきました。一方、3番手に後退した畑尾の背後には、楠本が肉迫。5周目、楠本が畑尾を抜いて3番手に順位を上げました。同じ周、5番手を走っていた久保が転倒して15番手までポジションダウン。さらに6周目、川井が転倒して4番手に後退しました。これにより、トップの小野はさらにアドバンテージを拡大。結局、小野は一度も脅かされることなく最後までトップを快走し、開幕戦に続いて勝利を収めました。粘る畑尾を少し離した楠本が2位、畑尾が3位、川井が4位、1周目13番手から追い上げた瀬尾柚姫(#19)が5位でした。

●優勝 小野彩葉(#4)

ここは地元でかなり乗り込んでいるので、レース前から自信はありました。スタートでいい位置を確保できて、そのまま優勝できたのでうれしいです。このまま次戦のスポーツランドSUGO以降も勝ち続けて、チャンピオンを目指します!

●2位 楠本菜月(#5)

開幕戦では3位でしたが、今回は2位で自分自身の全日本最高位を更新できたので、その点では満足しています。でもここでゴールではなく、次は優勝できるよう練習に励みたいと思っています。

●3位 畑尾樹璃(#27)

開幕戦が10位だったので、ようやくスタートラインに立った感じ。昨年、善光会という介護の会社に就職して、今年が社会人2年目。大変ですね……。でも、働きながらでも全日本の上位でレースできるということを証明したいです。次は2017~2018年に勝ち続けたSUGO。優勝狙います!