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全日本モトクロス最終戦プレビュー

IA1は山本vs富田が1点差で“広島決戦”へ!

第5戦近畿大会の中止により全6戦となった2021年D.I.D全日本モトクロス選手権シリーズは、当初予定されていたゴールデンウイーク中から大幅に延期されて11月27日(土)~28日(日)に広島県の世羅グリーンパーク弘楽園で開催される第2戦中国大会で、いよいよ今季最終戦を迎えます。最高峰クラスのIA1は、山本鯨選手と富田俊樹選手がわずか1点差。何度となくやり合ってきた因縁のバトルが、再び繰り広げられることになるかも!?

IA1は山本鯨選手と富田俊樹選手が1点差

本来は5月のゴールデンウイーク中に実施予定だった第2戦中国大会は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で11月27日(土)~28日(日)に延期。名称は“第2戦”のまま、今季最終戦として開催されます。

最高峰クラスとなるIA1は前戦で、ホンダのサポートを受けるディフェンディングチャンピオンの山本鯨選手(#1)、ヤマハファクトリーチームの富田俊樹選手(#2)と渡辺祐介選手(#3)が、7点差にひしめく三つ巴のチャンピオン争いを展開しました。僅差ながら前戦開始前にはランキングトップだった渡辺選手は、決勝では両ヒートともスタート直後に転倒して出遅れ、逆に山本選手と富田選手はヒート優勝を分け合う活躍。これにより山本選手が226点、富田選手が225点、渡辺選手が208点となり、チャンピオン争いは山本選手と富田選手にほぼ絞られました。

この両選手は、今季開幕戦で激しいバトルを展開して接触転倒するなど、これまで何度も激しい争いを繰り広げてきた因縁のライバル。ポイント差はわずか1点で、基本的には今大会の総合成績で上回ったほうがチャンピオンというわかりやすい状況のため、再びデッドヒートになることも容易に想像できます。

また、渡辺選手にもチャンスがないわけではなく、渡辺選手が両ヒートで優勝した場合、例えば山本選手が3-4位、富田選手が3-3位なら逆転します。そのため、渡辺選手にとっては自身の優勝と同時に、同じくトップでゴールできる力を持つカワサキファクトリーチームの能塚智寛選手(#5)やホンダサポートライダーの小方誠選手(#4)が2~3位に入賞してくれることも重要となります。

IA2は大城魁之輔選手、レディースは川井麻央選手が有利

4スト250ccマシンまたは2スト125ccマシンが参戦するIA2は、カワサキのマシンを駆りランキングトップを独走していた内田篤基選手(#4)がシーズン後半に入ったところで負傷欠場し、これでホンダに乗る大城魁之輔選手(#2)が逆転。大城選手は内田選手に対して31点のリードを奪っており、得意な“広島”でのレースということを考えると、内田選手の出場または欠場に関わらず、最終戦のヒート1で初のシリーズタイトル獲得を決めると思われます。

また、ホンダの4スト150ccマシンと、それ以外のメーカーが生産する2スト85ccマシンで参戦できるレディースクラスは、ホンダを駆る川井麻央選手(#1)が昨年開幕戦から今季第4戦まで、第3戦の2ヒートも含めて8連勝を達成。第6戦HSR九州大会で、決勝の1周目に転倒して4位に終わり、今年からホンダのマシンに乗る久保まな選手(#3)に勝ち星を譲ったものの、第7戦では再び川井選手が圧倒的な強さをみせ、ヤマハのマシンに乗る本田七海選手(#2)とのポイント差を26点に拡大しました。レディースクラスも今回は2ヒート制となっていますが、ヒート1で川井選手が本田選手の前でゴールすれば、川井選手の連覇が決まります。

世羅グリーンパーク弘楽園は約2年半ぶりの全日本開催

昨年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により残念ながら中止となった中国大会。2019年第3戦以来となる全日本は、ゴールデンウイーク中のコロナ感染拡大を受けて大会が延期されたことから、異例の11月末開催となります。

そのため、日没時間や低い太陽がもたらす斜光の影響、あるいは気温低下などを考慮して、今大会では決勝日のレース時間や進行に変更が加えられています。まず、各クラスのレース時間はそれぞれ5分短縮。IA1とIA2は25分+1周の2ヒート制、IBオープンクラスは15分+1周の2ヒート制(ヒート1は土曜日に実施)、レディースクラスには当初の予定どおり今季2回目の2ヒート制が導入されますが、それぞれのレースは10分+1周に短縮されます。

また、表彰式は各レースの終了直後ではなく、午前と午後のレースをそれぞれまとめて実施。これらの取り組みにより、日曜日の最終レース(IA1決勝ヒート2)を15時に終了するタイムスケジュールになっています。日没予定時刻は17時1分。チャンピオンセレモニーを明るいうちに終えられるよう、スムーズな進行を願いましょう!

コースはハイスピードでダイナミック

世羅グリーンパーク弘楽園は、アップ&ダウンのある丘陵地にレイアウトされた、カタい路面を基本とするハイスピードコースです。2017年の全日本開催時に良質な土砂を搬入しながらリニューアルされ、コース環境はかなり改善されました。今春には再び大量の土砂を盛りながらコースを整備。それでも、雨が降らない日が続くとハードパックな路面になることに変わりなく、そうなればよりハイスピードな戦いとなる可能性が高まります。

コースの名物となっているのは、コースの序盤かつもっとも標高が高い地点に待ち受けるラムソンジャンプ。1996年に来日したAMAモトクロス125ccチャンピオンのスティーブ・ラムソン選手が、緩やかな左カーブに設けられた20m超の2連ジャンプを一気に飛び越えたことから、このように呼ばれています。

現在は2連ジャンプ間の谷部が埋められ、ほぼテーブルトップ状のジャンプになっていますが、やや左側にカーブしているのとビッグジャンプなのはかつてと同じ。ライダーがジャンプの形状に合わせてマシンを左に振るアクションを加えながら跳ぶカッコいい姿は必見です。ラムソンジャンプのすぐ左側は、観戦OKな外周路。ちょうど観戦エリア側にマシンを振って走るので、かなり近くを跳んでいるかのような大迫力のジャンプを楽しめますよ!

アクセスはクルマかバイクが便利

世羅グリーンパーク弘楽園は、広島県南東部に位置する世羅郡世羅町の山中にあります。瀬戸内海沿いの人気観光地、尾道から直線距離で北西方向へ約30km。実際に道路を走ると、尾道市街から約45kmです。

コースまで公共交通機関でアクセスするのはあまり現実的ではなく、クルマやバイクで来場するのがオススメ。遠くから観戦の場合、飛行機+レンタカーなら広島空港から約30km、新幹線利用なら福山駅がもっとも便利で、こちらから約55kmのドライブとなります。

近年は、南側は山陽自動車道、北側は中国自動車道と接続する尾道自動車道が整備されたことで、世羅の町はずれにある世羅ICまではアクセスしやすくなりました。コースまではここから15kmほど山道を走りますが、道は整備されていてタイトなカーブもそれほどないため、走りにくさはありません。

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