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2025全日本モトクロス選手権 第5戦 決勝レポート

2025年の全日本モトクロス選手権シリーズは、全7戦のスケジュール。約3ヵ月間という長い夏休みが終わり、シーズン後半戦最初の戦いとなる第5戦近畿大会が、9月20日(土)~21日(日)に奈良県の名阪スポーツランドで開催された。

三重との県境に近い山中に設けられた名阪スポーツランドは、カートコースやドリフトスペースも有する複合モータースポーツ施設。そのモトクロスコースは山の斜面を利用してレイアウトされており、白いサンド質の路面を特徴とする。各セクションにリセッティングが施されているものの、アップ&ダウンが豊富で狭くテクニカルなレイアウトは今年も同様だった。

各クラスの予選が実施された土曜日は晴れ時々曇りで、朝は水分をやや多めに含んでいたものの、サンド質の路面はドライコンディション。決勝レースが繰り広げられた日曜日は、朝にかけて激しい雨が降り、かなり水を含んだ柔らかい路面となった。しかし日中は晴れ時々曇りで、水はけのよい路面は急激に回復。
午後はドライコンディションに近くなったが、随所に深いワダチが刻まれることになった。
日曜日の最高気温は27℃。厳しい残暑を忘れさせる爽やかな陽気となった。

【IA1ヒート1】

全日本最高峰となるIA1クラスの決勝は、15分+1周の3ヒート制で実施された。ランキング2番手につけていたホンダに横山遥希(#2)は、今大会前の練習中に負傷して今季の復帰は難しい状況。
ランキング4番手だったカワサキファクトリーチームの能塚智寛(#5)は、土曜日の予選レースでスタート直後に他車と接触してクラッシュし、決勝への出場をキャンセルした。
決勝ヒート1は、スタート進行の不手際により1周目を終えたところで赤旗が提示され、仕切り直しとなった。
2度目のスタートでは、ホンダサポートの大倉由揮(#4)がホールショット。これにヤマハセカンドチームの大城魁之輔(#8)、ヤマハファクトリーチームのジェイ・ウィルソン(#1)、ホンダに乗る小方誠(#9)らが続いた。

1周目、ウィルソンが早々とトップに浮上。トップ3と4番手の小方にはすでにギャップが生まれ、3周目にかけてウィルソンと大倉と大城のトップグループ、小方とカワサキを駆る内田篤基(#10)とヤマハに乗る浅井亮太(#38)のセカンドグループが形成されていった。
その2~3周目、大倉は僅差でウィルソンに喰らいついていたが、4周目にエンストして遅れ、これでウィルソンのリードが一気に約5秒まで拡大。やや離れていた大城が、大倉の背後に迫った。
これで楽になったウィルソンは、レースが後半に入るとペースをコントロール。そのまま11周目の最終ラップまで逃げ切って、勝利を収めた。

大倉と大城の2番手争いは、大倉がじわじわと大城を引き離し、レースが終盤を迎える頃には両者のギャップが4~5秒に。そのまま大倉が2位、大城が3位でチェッカーを受けた。
小方も快走を続け、レース中盤からは後続を大きく離しながら大城とのギャップをほぼキープ。とはいえ8周目の段階で4~5秒差があり、小方は今季最高位タイとなる3度目4位フィニッシュを果たした。
土曜日の公式練習で激しくクラッシュした内田は、粘り強く走り切って5位。5周目まで内田を約3秒差で追っていた浅井は、レース後半にややペースを落としたが、後続を大きく離して6位となった。

●優勝  ジェイ・ウィルソン(#1)

キョウ、メッチャアツイネ。今日のコースはとてもチャレンジングで、難しさを感じています。
とても長いサマーブレイクも、多くの協力を得て有意義に過ごし、多くのファンが待つチャンピオンシップに戻ってくることができてうれしく思っています。

●2位  大倉由揮(#4)

レース中盤、自分としてはぬるい走りをしてしまいました。序盤の段階では勝てると思っていたのですが、中盤はミスが目立ち悔しいです。地元大会なので、たくさんの友達が来場してくれています。
みんなの前で、残り2ヒートでなんとしてもカッコいい姿を見せたいです!

●3位  大城魁之輔(#8)

僕は地元……というわけではないんですけど、遠くはないんで、知り合いの人たちもけっこう駆けつけてくれています。
表彰台に上がれたのは、うれしくないと言ったらウソになるんですが、自分の調子を考えたら3位はあまり喜べない部分もあるので、次はもっとおもしろいレースをします!

【IA1ヒート2】

浅井亮太(#38)と大城魁之輔(#8)と大倉由揮(#4)がホールショット争いを繰り広げ、まずは浅井が先行。すぐに大倉がトップに立ち、3番手に後退した大城を内田篤基(#10)がパスし、さらに後方からジェイ・ウィルソン(#1)が猛烈に追い上げ、1周目は大倉、浅井、ウィルソン、内田、大城のトップ5となった。


2周目、ウィルソンは浅井をパスして2番手に浮上。トップの大城に迫った。1周目に2秒ほど遅れていた5番手の大城は、ヤマハセカンドチームの渡辺祐介(#15)を離しつつ、4番手の内田に接近した。

2~3周目にかけ、大倉はウィルソンの猛追を受けながらもトップをキープ。内田も、僅差で迫る大城を抑え続けた。
4周目、内田は大城にパスされると、その後に転倒して8番手後退。4番手に順位を上げた大城は、前を走る浅井との距離を詰めた。


5周目に入る直前には、ウィルソンが大倉を捉えてトップ浮上。5~6周目にかけ、ウィルソンは一気にリードを拡大していった。6周目に入ったところでは、大城が浅井の攻略に成功。3番手に順位を上げた。

この6周目、4番手に後退した浅井や、渡辺から約3秒遅れとなる6番手を走っていたホンダに乗る大塚豪太(#6)がややラップタイムを落とし、これでトップ6の間隔がいずれも拡大。
レース後半は、それぞれが単独走行となった。そしてレースは、再び11周でチェッカー。危なげなく逃げ切ったウィルソンが優勝、大倉が2位、大城が3位となった。
レース後半にトップ3から大きく離されたものの、ポジションを守り切った浅井が4位。ヒート1はマシントラブルでリタイアに終わった渡辺が5位、大塚が6位でフィニッシュした。

●優勝  ジェイ・ウィルソン(#1)

キョウハ、タイヘンネ。コースはとてもタフだけど、夏休み明けでリラックスして臨めています。
これで8勝目ですが、今年はポイントスケールの変更があったので、とてもエキサイティングなシーズンになっています。会場まで応援に来てくれた方々に感謝しています。

●2位  大倉由揮(#4)

勝ちたかったのですが、スタートが決まって、実力で負けました。ただただ悔しいです。
でも、まだチャンピオンを諦めたわけではないし、ジェイ・ウィルソン選手に勝つつもりでやっているので、残り1ヒートも全力で、絶対に諦めることなく戦っていきます。

●3位  大城魁之輔(#8)

ヒート1に続きヒート2も、ジェイ・ウィルソン選手よりも前でスタートしたのに抜かれ、なおかつ離されちゃっています。
彼に勝たなければ勝てないので……って当たり前か。あと1回チャンスあるので、勝ちます!

【IA1ヒート3】

ヒート1とヒート2でも好スタートを決めた大倉由揮(#4)がホールショット。こちらも好スタートを連発している大城魁之輔(#8)が、2番手に順位を上げて大倉を追った。


その背後には内田篤基(#10)、大塚豪太(#6)、ジェイ・ウィルソン(#1)、浅井亮太(#38)、渡辺祐介(#15)、カワサキを駆る西條悠人(#37)が続いてオープニングラップをクリア。
2周目、大塚が5番手に順位を下げて前からやや遅れ、これにより大倉と大城と内田とウィルソンのトップグループ、大塚と浅井と西條と渡辺のセカンドグループが形成された。

3周目、ウィルソンが粘る内田のパッシングに成功。トップの大倉は3秒ほどのリードを奪い、2番手の大城にはウィルソンが僅差で迫り、内田はウィルソンから3秒ほど遅れた。
翌周、ウィルソンは大城を抜いて2番手浮上。一気にトップとの距離を詰めた。これにより、再び大倉とウィルソンのトップ争いがスタート。ヒート2に続いてこのレースでも、大倉は背後から大きなプレッシャーを受けながらも、数周にわたりトップを死守した。
セカンドグループでは、5周目に西條が転倒して脱落。これで3台による5番手争いとなった。

レースが後半に入った6周目以降、大倉とウィルソンを除いた上位勢の前後間隔は拡大傾向。7周目、ウィルソンがついに大倉の攻略に成功したが、抜かれた大倉も2秒ほどの差で喰らいついていた。
しかしラスト2周となった10周目に、大倉がわずかなミスでさらに数秒遅れ、これで楽になったウィルソンが勝利を収めた。


最終ラップには、大倉がコースサイドの溜め池に突っ込む激しいクラッシュ。なんとか再スタートできたが、この間に先行した大城が2位、大倉が3位となった。内田は4位、大塚は5位、渡辺は6位、浅井は7位でそれぞれ単独フィニッシュとなった。

●優勝  ジェイ・ウィルソン(#1)

(日本語で)名阪のみんな、こんにちは。夏休みの後で、ここに帰ってこられてうれしいです。
この夏、ヨーロッパでトレーニングがありました。今日のレースはとてもワクワクでした。チームに感謝します。
ミスティ、ありがとう。これからもチームのみんなといろいろチャレンジします。

●2位  大城魁之輔(#8)

途中でちょっと危ないシーンがあり、そこから走りを立て直せず終わってしまいました。
大倉由揮選手が転倒してしまい、棚ボタの2位でしたが、今シーズンはすべてのヒートで成績をまとめることができずにいたので、いい方向にはなっているはず。あと2戦、勝ちを狙います。

●3位  大倉由揮(#4)

本当に悔しい1日に終わってしまいました。ヒート3も、自分のできる限りを発揮したつもりでしたが、届きませんでした。
ラスト1周、自分のしょうもないミスで池に突っ込んでしまいずぶ濡れ……。でも表彰台圏内でとどまれたというのは、ポジティブに捉えたいです。

【IA2ヒート1】

若手と中堅が中心となるIA2クラスは、30分+1周の決勝2ヒート制で競われた。そのヒート1でホールショットを奪ったのは、昨年のIA2王者で現在ランキングトップに立つ中島漱也(#1)。
まずは鴨田翔(#6)が追ったが、混戦の中で順位を下げ、代わりに横澤拓夢(#2)が2番手、今季3度目のスポット参戦となったブライアン・シュー(#53)が3番手、地元大会に燃える吉田琉雲(#14)が4番手で続いた。

トップの中島は、1周目に約2秒のリード。2周目にはシューが2番手に浮上し、3秒ほど遅れて横澤と吉田、さらに柳瀬大河(#5)と鴨田と田中淳也(#4)が3番手争いの集団を形成した。
3周目に入ったところで、吉田はマシントラブルによりリタイア。シューは中島に肉迫し、後続を大きく離しつつ両者のデッドヒートが開始された。
3番手争いは縦に長くなり、柳瀬が先頭に。田中が鴨田を抜き、これで横澤が4番手、田中が5番手となった。

中島は、シューの猛追を受けながらもトップを死守。すると7周目に入ったあたりから、シューが少し離れはじめた。
両者のギャップは、8周目に約3秒、翌周には約6秒まで拡大。すると10周目に入ったところで、シューがコースをショートカットしてピットインし、トラブルによりリタイアした。


これにより、2番手に順位を上げた柳瀬に対するトップ中島のアドバンテージは約10秒まで拡大。その後もリードを拡大した中島が、19周のレースで独走優勝を果たした。
柳瀬が2位、横澤が3位、田中が4位、鴨田が5位。6位には、1周目20番手から追い上げた住友睦巳(#19)が入った。

●優勝  中島漱也(#1)

インターバル明けの1戦で、けっこう緊張したんですけど、まずは1勝を獲得。自分の中で、この1勝はすごく大きいです。
水曜日出発で、米国で開催されるモトクロス・オブ・ネイションズに向かいます。ここで負けているようでは、代表を名乗る資格はないと思っています。

●2位  柳瀬大河(#5)

今季初表彰台ということで、素直にうれしいです。でも中島漱也選手にも、途中までいたブライアン・シュー選手にもすごい離されてしまったので……。
ヒート2は、日本代表を狩りにいきます!!

●3位  横澤拓夢(#2)

得意な名阪でスタートも決まったのですが……。もう少しバイクのアジャストを完璧にできたら、次はライバルたちに勝てると思います。
ブライアン・シュー選手のリタイアを知らなくて4位だと思っていました。棚ボタの3位は初めてなんですが、けっこううれしいもんですね。

【IA2ヒート2】

柳瀬大河(#5)が好スタートを切ったが、最初のターンでアウトにはらみ、横澤拓夢(#2)がホールショット。これをすぐに中島漱也(#1)と田中淳也(#4)がパスし、横澤と柳瀬と森優介(#16)と吉田琉雲(#14)が続いて、オープニングラップをクリアした。


2周目、吉田とブライアン・シュー(#53)が森をパス。翌周には横澤が6番手まで順位を落とし、シューは柳瀬の背後に迫った。しかし翌周、シューが激しくクラッシュ。そのままリタイアとなった。

レース序盤の混戦が終わると、トップグループは中島、田中、柳瀬、吉田の4台に。5番手の横澤は大きく遅れはじめ、その背後には鴨田翔(#6)と池田凌(#10)と渡辺陵(#10)が連なった。
6周目、集団の中で吉田が柳瀬をパスして3番手に。するとここから、柳瀬もやや遅れはじめた。一方、3台に絞られた先頭争いは激化。10周目、田中が中島を抜いてトップに立つと、続いて吉田が中島をパスした。
翌周、今度は田中と吉田のバトルに。これで吉田、田中、中島の順となった。

12周目、粘る中島が田中をパスして、2番手に再浮上。しかし田中も譲らず、両者の接近戦は翌周まで続いた。
この間に、トップの吉田は

約4秒のリード。14周目に田中が少し遅れ、これで勝負あったかに思われた。
ところがラスト2周となった18周目に、吉田が転倒。この間に中島が先行した。すると、すぐに再スタートした吉田が中島を猛追。


同じ周に再逆転を果たすと、追いすがる中島を離し、吉田がIA初優勝を獲得した。中島が2位、田中が3位で表彰台へ。柳瀬が4位、池田が5位、渡辺が6位でチェッカーを受けた。

●優勝  吉田琉雲(#14)

ヒート1はマシントラブルで2周しか走れなかったのですが、ヒート2で有言実行できて良かったです! 
次戦はあまり得意なコースではないのですが、優勝できるよう頑張ります。何言うか忘れた……。
チーム監督の小島さん、ありがとうございました!!

●2位  中島漱也(#1)

かなり悔しいんですけど、まあ、そうですねえ……。もう絶対負けません! これから気を引き締めて頑張ります。
また応援よろしくお願いいたします。

●3位  田中淳也(#4)

地元大会で一番高いところに上がりたかったのですが、3位に終わってしまい悔しいです。
ヒート1が終わってから、夏にフロリダで一緒にトレーニングさせてもらった下田丈選手がチャンピオンになったレース中継を見て、いいイメージがあったのですが……。琉雲、優勝おめでとう!

【レディース 決勝】

15分+1周の決勝レースは、松木紗子(#10)のホールショットで幕を開けた。これに続いた鈴村永愛(#23)はすぐに順位を下げ、箕浦未夢(#6)が2番手浮上。
開幕前の大ケガにより今大会が全日本復帰レースとなった川上真花(#3)、開幕からここまで全勝中の川井麻央(#1)、楠本菜月(#4)らが続いた。
1周目、箕浦が松木をパスして先頭に。川井も川上を抜くと、2周目には箕浦と川井が接近戦を開始した。
この周、松木は5番手まで後退。これにより、川上と楠本の接近戦が3番手争いとなった。

3周目、レディースクラスで唯一飛べていた2連ジャンプを大きなアドバンテージとする川井が、箕浦をパスしてトップに浮上。
同じ周、川上を僅差で追い続けていた楠本は、転倒により7番手までポジションダウンした。相手の動きを冷静に観察した後にトップ浮上した川井は、ここからややペースアップ。
これで両者のギャップが1周につき1~2秒ずつ拡大していった。一方、箕浦の背後には松木を振り切った川上が距離を詰め、5周目には接近戦となった。

7周目、川上が箕浦を抜いて2番手浮上。抜かれた箕浦も遅れることなく再逆転を狙ったが、8周目に入ったところで川上に軽く追突するようなカタチとなり、箕浦のみ転倒した。
この間にも、トップの川井はリードを拡大。レースは10周でチェッカーとなり、川井が独走優勝、川上が2位となった。レース終盤には、3番手の松木に大久保梨子(#10)が接近。
しかし逆転には至らず松木が3位、大久保が4位となった。転倒後に追い上げた楠本が5位。レース前半は大久保を先行していた穗苅愛香(#8)が6位だった。

●優勝  川井麻央(#1)

じつは名阪でこれまで勝ったことがなく、大会前にはかなり乗り込みもしたのですが、練習ではそれほどうまく乗れずにいました。
それでも、レースをしたら勝てるという自信はありました。連勝を止めずここまで来たので、あとふたつ勝って、気持ちよく終わりたいです!

●2位  川上真花(#3)

復活戦で優勝したかったのですが、決勝ではあまりうまく乗れなくて……。お兄ちゃんに恩返しできなかったので、次は必ず勝つので応援よろしくお願いします!

●3位  松木紗子(#10)

表彰台にもう一度立てたことはほっとしているのですが、地元で勝つために、この夏はかなり乗り込んできました。
今シーズンはまだ残り2戦あります。初優勝目指して頑張るので、応援よろしくお願いします。