全日本モトクロス第5戦近畿大会プレビュー

約3ヵ月間という非常に長い夏休みが終わり、2025年の全日本モトクロス選手権シリーズはいよいよシーズン後半戦に突入。9月20日(土)~21日(日)に、奈良県の名阪スポーツランドで第5戦近畿大会が実施されます。
ここでは、シーズン前半戦を簡単におさらい。そして、今大会の見どころやコースの様子なども合わせて紹介します!
アクセス良好なテクニカルサンドコース

今シーズンは全クラスともに7戦(大会)で競われるD.I.D全日本モトクロス選手権。その第5戦近畿大会は、9月20日(土)~21日(日)に奈良県の名阪スポーツランドで開催されます。
無料自動車専用道路の名阪国道に隣接し、小倉または神野口のインターチェンジからいずれも約5分のベストロケーションを誇る名阪スポーツランドは、カートコースやドリフトコースも有する施設です。

このうちモトクロスコースは、山の斜面にレイアウトされていて、アップダウンが豊富。土質はサンドで、やや白っぽく粒子が細かい細かい砂を有します。
コース幅が狭い区間やタイトターンも多く、テクニカルな傾向。
シーズンの流れを変えるようなレース結果になることが多い大会として知られている、絶対に見逃せない1戦です!
全日本格式クラスの決勝レースは日曜日に集約
第5戦近畿大会は、9月20日(土)に各クラスの予選および併催レースの決勝、21日(日)に全日本格式となるIA1クラス、IA2クラス、レディースクラス、IBオープンクラスの決勝レースをすべて実施するスケジュール。決勝は、IA1が15分+1周の3ヒート、IA2が30分+1周の2ヒート、レディースが15分+1周の1レース、IBオープンは20分+1周の2ヒート実施されます。

また、日曜日の昼休みには、国別対抗戦となるモトクロス・オブ・ネイションズの壮行会と、名阪スポーツランドの40周年記念イベントも実施。決勝8レースとセレモニーで、来場すれば大満足の1日になること間違いナシです!
最強王者に日本人勢が追いすがるIA1

4スト450ccマシンでの参戦が主流となっている全日本最高峰のIA1クラスは、2022年にIA2クラス、2023~2024年にIA1クラスのチャンピオンとなった、ヤマハファクトリーチームに所属するオーストラリア出身のジェイ・ウィルソン選手(#1)が、シーズン前半戦を終えた段階でランキングトップ。今シーズンも圧倒的な速さを保っています。

ただし今季の前半戦、ウィルソン選手はミスやクラッシュで勝ち星を落とすレースも目立ちました。3ヒート制だった第3戦の決勝ヒート2では、転倒により大きく出遅れて5位。このチャンスをモノにした、ホンダサポートの横山遥希選手(#2)が勝利を挙げています。
このレース以外にも、横山選手はウィルソン選手と真っ向勝負を演じるレースを多く繰り広げています。今大会の名阪スポーツランドは、ドライコンディションでウィルソン選手に競り勝ったこともあるコース。横山選手の走りに大きな期待が集まります。

またウィルソン選手は、第4戦の事前テストから本番にかけてクラッシュを重ねて負傷し、ヒート1を8位、ヒート2を5位で終えました。ここで勝利を獲得したのは、ホンダがサポートする大倉由揮選手(#4)と、ファクトリーに次ぐヤマハセカンドチームに所属する大城魁之輔選手(#8)。
両者ともに今季初優勝で、気分よくサマーインターバルに突入しているだけに、さらなる進化を遂げて後半戦に戻ってくることでしょう。ちなみに大倉選手は、今夏もヨーロッパで武者修行しています。


シリーズランキングでは、横山選手が2番手、大倉選手が3番手、大城選手が5番手。そして大倉選手と大城選手の間に割って入るランキング4番手には、第4戦で両ヒートとも2位を獲得したカワサキファクトリーライダーの能塚智寛選手(#5)がつけています。復調傾向にある能塚選手のキレあるスピードにも注目です。
なお今大会のIA1クラスには、31台がエントリー。全選手が参加すれば、久々に予選落ち(落ちたライダーは決勝リザーブライダーに登録)が発生することになります。予選は30位争いも見逃せないかもしれません。
IA2は中島漱也選手がランク首位で後半戦へ!

主に4スト250ccマシンが参戦するIA2は、フル参戦するライダーのほとんどが若手と中堅。ここまで4戦9ヒートを終え、ヤマハセカンドチームから参戦する昨年度チャンピオンの中島漱也選手(#1)が、5勝を挙げてランキングトップに立っています。
ランキング2番手は、同じくヤマハセカンドチームから参戦する田中淳也選手(#4)。
第3戦の決勝ヒート2でIA初優勝を挙げ、表彰台登壇は9レースで7回。今季は、完走した全ライダーにポイントが与えられ、優勝と2位や3位の点差が少ないポイントスケールが導入されているため、中島選手と田中選手はまだ27点差にとどまっています。

それでも、ランキング3番手以下はトップからかなり離れており、3番手の鴨田翔選手(#6)は中島選手と61点差、4番手の横澤拓夢選手(#2)は中島選手と68点差。
このうち、昨年は中島選手とし烈なチャンピオン争いを繰り広げた横澤選手は、次戦からピレリタイヤを履くことが発表されており、これがシーズン後半での巻き返しにつながるかもしれません。

ただし今大会には、今季開幕戦で両ヒート優勝、第4戦決勝ヒート2でも勝利を挙げた、ガスガスを駆るブライアン・シュー選手(#53)がエントリーしており、実力的には日本人選手よりも上。
しかもシュー選手は、海外レースにも参戦するため全日本はスポット参戦となっており、ランキングでは現在14位でチャンピオン争いとは無縁です。守りの走りが不要なシュー選手に、日本勢がどう立ち向かうかにも注目が集まります。
川井麻央選手がレディースクラス全勝に挑む

ホンダの4スト150ccとそれ以外の2スト85ccマシンが混走するレディースクラス。今季はここまで4戦を消化しており、ホンダ4ストを駆る女王・川井麻央選手(#1)が全勝をマークしています。
中でも前戦の中国大会は、所属するT.E.SPORTの監督で全日本V9でも知られる東福寺保雄氏が逝去されてから、わずか1週間後のレースに。
幼少期からずっとT.E.SPORTで走ってきた川井選手は、悲しみの真っただ中にいましたが、それでも強い気持ちで勝利を収めました。ひとつずつ勝利を積み重ね、川井選手は全勝でのシリーズタイトル防衛を狙います。

一方、この川井選手に少しでも近づこうと、他のレディースライダーたちもこの夏に練習を重ね、走りに磨きをかけています。
ホンダ4ストの箕浦未夢選手(#6)は、ここまで4戦で2位を3回獲得。KTMの2ストマシンを駆る大久保梨子選手(#12)も第3戦で2位を獲得して、箕浦選手に次ぐランキング3番手につけています。
ヤマハ2ストの穗苅愛香選手(#8)、ホンダ4ストの楠本菜月選手(#4)、カワサキに乗る松木紗子選手(#10)までが、現在のランキングトップ6です。
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