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全日本モトクロス第4戦プレビュー

2023年6月24日(土)~25日(日)に、広島県の世羅グリーンパーク弘楽園で開催されるD.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズの今季第4戦中国大会。ここでは、そのコース概要や周辺状況、現地での楽しみ方、今大会の見どころや各クラスの注目選手をお教えします!

約1年半ぶりに“弘楽園”で観戦できる全日本

今季、国際A級ライセンスを所持するライダーによって競われるIA1クラスとIA2クラスについては、年間9戦が予定されているD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズ(レディースクラスとIBオープンクラスは7戦)。そのシーズン中盤最初の戦いとなる第4戦中国大会が、「TOHO Racing CUP」として2023年6月24日(土)~25日(日)に実施されます。

今大会の舞台となる世羅グリーンパーク弘楽園は、広島県南東部の山中に位置。瀬戸内海沿いの人気観光地としても知られる尾道の市街地から、直線距離で北西方向に約30km、実際にクルマを走らせると約45kmの場所にあります。

かつては全日本を毎年開催するコースのひとつとして知られ、1996年最終戦にゲスト参戦したAMAモトクロス125ccチャンピオンのスティーブ・ラムソン選手が攻略したことから名づけられた「ラムソンジャンプ」を最大の名物としてきました。しかし2020年の中国大会は新型コロナウイルスの感染拡大による影響で中止となり、2021年は同様の理由で第2戦が延期となり11月末開催に。そして昨年は、コースの事情などによりスケジュールから外れ、今年が2年ぶりの復活開催となります。

コースはハイスピードでダイナミック

世羅グリーンパーク弘楽園は、アップ&ダウンのある丘陵地にレイアウトされた、“カタい”路面を基本とするハイスピードコースです。2017年の全日本開催時に良質な土砂を搬入しながらリニューアルされ、2021年春にも再び大量の土砂を盛りながらコース整備が実施され、これによりコース環境はだいぶ改善。
しかしそれでも、雨が降らない日が続くとハードパックになることに変わりなく、そうなればよりハイスピードな戦いとなる可能性が高まります。
ちなみに5月の段階で事前練習を実施したライダーたちは、「相変わらずのハードパック」とコメントしています。

ただし今大会は、梅雨真っただ中の6月下旬開催。降雨により路面に多くの水分が含まれてベストな状態になることや、逆に降雨が多すぎてマディレースとなることも予想されます。

先ほども触れたように、このコースは「ラムソンジャンプ」を最大の名物としてきました。1996年にラムソン選手が跳んだのは、緩やかな左カーブに設けられた20m超の2連ジャンプ。
現在のラムソンジャンプはこのときと仕様が異なりますが、とはいえやや左側にカーブしたビッグジャンプであることに変わりありません。ジャンプの形状に合わせてマシンを左に振りながら跳ぶ、ライダーたちの美しい姿は必見。ラムソンジャンプのすぐ左側は観戦OKな外周路なので、間近で大迫力のジャンプを楽しめます。
ただしその他にも、コースには見どころがたくさん。外周路を歩きながら、お気に入りのポイントを探してみてください!

今大会はレディースクラスが2ヒートに

今季は大会ごとに変則的なスケジュールが用いられ、IA(国際A級)の2クラスには、レース時間が半分となる15分+1周の3ヒート制も積極的に導入されている全日本モトクロス選手権。
しかしこの第4戦では、最高峰のIA1クラスおよび若手と中堅が中心となるIA2クラスともに、これまでのスタンダードだった30分+1周の2ヒート制で競われます。

一方、いつもとちょっと異なるのはレディースクラス。通常は日曜日に15分+1周の決勝1レースのみが実施されるこのクラスですが、今大会では土曜日にも同様のレース時間で決勝が開催される2ヒート制となります。

また走行に関しては、土曜日および日曜日の公式練習が、レディースクラスやIBオープンクラスではなくIA2クラスからスタートする点にも、少し注目しておきましょう。
最初にIAのライダーが走行することで、より速いラインがコース状に描かれ、全体的にハイレベルな走りになることも期待できます。

IA1はこのライダーに注目!

最高峰クラスのIA1は、開幕からここまで全大会が15分+1周の3ヒート制で実施され、3戦連続で昨年度のIA2クラス王者でヤマハファクトリーチームから参戦するジェイ・ウィルソン選手(#27)が3ヒート制覇を達成。
前戦の予選レースでは転倒を喫して肩を少し負傷したとはいえ、決勝では内容的にもパーフェクトに近いレースを続けているウィルソン選手が今大会も強さを発揮するのか、あるいは対抗できる日本人ライダーが現れるのか……というのが、最大の見どころでしょう。

そして、対抗勢力となりそうな日本人の筆頭に挙げられるのが、ヤマハファクトリーチームから参戦する昨年度王者の富田俊樹選手(#1)です。
富田選手は、開幕戦こそ新型マシンとのマッチングに苦しみましたが、第2戦で調子を上げ、決勝ヒート3ではレース序盤から中盤にかけてウィルソン選手と互角のラップタイムで走行。そして第3戦の決勝レース3でも、レース終盤までウィルソン選手を数秒差でマークし続けました。
レース後に富田選手は、「まあ、ジェイが完全にペースをコントロールしていましたね」と話していましたが、とはいえこれまでと比べて“勝てる可能性”を感じさせる内容でした。

同様に、ホンダサポートライダーの大城魁之輔選手(#4)も、今大会ではとくに注目しておきたい選手。「自分の中では、とくに得意とか苦手なコースはないです」という大城選手ですが、IA2時代に初優勝を挙げるなど、この弘楽園との相性は抜群。
加えて前戦では、決勝ヒート2でレース終盤までウィルソン選手を2~3秒差で追い続けました。ゲンのいいコースで、これまで以上の鋭い走りを見せてくれることに期待しましょう。

また、前戦では2/5/3位で総合成績2位となったホンダサポートライダーの大倉由揮選手(#6)や、ヒート1とヒート2で3位となったカワサキのマシンを駆る内田篤基選手(#8)にも注目。
今季初の30分+1周による2ヒート制となる決勝で、どのような戦いが繰り広げられるのか、楽しみにしておきましょう!

IA2はこのライダーに注目!

主に若手と中堅のライダーが参戦するIA2クラスは、ここまで3戦7レースを終えて、スペイン人ライダーのビクトル・アロンソ選手(#58)が5勝をマーク。決勝レースが30分+1周となった第2戦、第3戦は決勝をすべて勝利しており、同じく30分+1周となる今大会も間違いなく優勝候補の筆頭です。

とはいえ、開幕戦で勝利を収めているシリーズランキング2番手の中島漱也選手(#4)、成績の安定を課題としながらもランキング3番手につける横澤拓夢選手(#5)、第3戦では低迷したとはいえここまで2位2回、3位1回でランキング4番手の浅井亮太選手(#2)、そして開幕戦で勝利を収めているランキング5番手の西條悠人選手(#8)と、日本人選手たちも虎視眈々と“ストップ・ザ・アロンソ”を狙っています。
このクラスも、外国人ライダーに挑む日本人選手の奮闘が注目ポイントとなりそうです。

Ladiesはこのライダーに注目!

昨年、チャンピオンに輝いた久保まな選手に最終戦で同ポイントかつ同勝利数に並びながら、2位入賞回数の差で3年連続のシリーズタイトル獲得を逃した川井麻央選手(#2)。
今季開幕戦では、その川井選手が圧倒的な速さで勝利を収め、速さが健在であることを証明しました。ところが第2戦では、川井選手が不運な2度の転倒で6位に終わり、チームメイトの濱村いぶき選手(#17)が全日本初優勝。
箕浦未夢選手(#9)が全日本自己最高位更新の2位、瀬尾柚姫選手(#8)が全日本初表彰台となる3位と、表彰台には新たな顔ぶれが並びました。

そして第3戦では、川井選手が序盤から先頭に立ったものの、本田七海選手(#4)がぴたりとマーク。マッチレースはレース後半まで続き、川井選手が優勝を獲得した一方で本田選手の速さも光りました。この第4戦も、川井選手と本田選手がまずは優勝の筆頭候補。このふたりが順当にフィニッシュした場合、表彰台登壇をかけた3位争いが激しくなりそうです。

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