2021SEASON

2021年の見どころ

王者不在のIA1、最強刺客登場のIA2!

昨年は新型コロナウイルスの影響により1戦が開催中止となり、全6戦のシリーズとなった全日本モトクロス選手権。今シーズンは、4会場、7戦で競われる予定です。いろいろ話題が多い今季。その開幕戦は4月9日(土)~10日(日)に熊本県のHSR九州で開催されますが、それに先立ち今シーズンの注目ポイントをかいつまんでご紹介します!

2022年シーズンは4会場7大会に!

今シーズンの全日本モトクロス選手権シリーズは、熊本県のHSR九州、埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジ、宮城県のスポーツランドSUGO、奈良県の名阪スポーツランドを舞台に、全7戦が予定されています(名阪スポーツランド以外は2戦ずつ)。

シーズンインは4月9日(土)~10日(日)の第1戦HSR九州大会で、最終戦はスポーツランドSUGOで11月12日(土)~13日(日)に実施される第60回MFJ-GPモトクロス大会。そのため、第2戦終了後の5月中旬から7月中旬、第3戦終了後の7月中旬から9月中旬に、それぞれ約2ヵ月のインターバルを挟むことになります。前半戦はかなりゆったりしたスケジュールなので、開幕で出遅れたライダーも立て直しやすく、逆に後半戦は比較的密集したスケジュールで一気に流れが決まりそうです。

今年も3ヒート制を積極的に導入

年間の大会数は少なめですが、今季も各大会の密度は濃くなる方向です。というのも、一昨年に最高峰クラスのIA1に初導入された1大会3ヒート制が、今年はさらに増やされるから。IA1は第2戦関東大会と第3戦SUGO大会と第5戦HSR九州大会が3ヒート制となり、全17ヒートのシーズンになります。また、昨年から3ヒート制が導入されたIA2は、開幕戦と第6戦関東大会が3ヒート制、同じく昨年に3ヒート制を初めて取り入れたレディースクラスは、第4戦近畿大会が3ヒート制となります。IA1とIA2は2ヒート制の30分+1周に対して3ヒート制は15分+1周のレース、レディースクラスは1大会1ヒートでも2ヒートでも15分+1周のレースです。

ちなみに、IA1やIA2の場合は1回のレース時間が半分になるので、体力的には楽になる……のかと思いきや、昨年は多くのライダーが、「最初から最後まで、駆け引きも何もなくとにかく全開走行なので、むしろ30分のレースより疲れるかも」と話していました。一方で、スタートで出遅れたり転倒などのミスで後退したりすると、そこから追い上げられる可能性は減り、「ワンミスが命取り」というのは想像どおり。超スプリントの白熱した争いは、昨年も開幕戦から見ごたえ十分でした。

また、IA1は昨年よりも1戦増えて3戦が3ヒート制ですが、これが設定されるのはすべて別のコース。つまりオフロードヴィレッジとSUGOとHSRでは、同じコースで2ヒートと3ヒートの両方を観られます。レース時間によって上位でゴールするライダーに変化はあるのかにも興味津々です!

なお全日本モトクロス選手権は昨年から、新ポイントスケールに移行。今季もこれが用いられます。

~ IA1 ~山本鯨選手の引退で最高峰クラスは王者不在

昨年のIA1は、ホンダのマシンを操った山本鯨選手と、今季もヤマハファクトリーチームから参戦する富田俊樹選手が熾烈なチャンピオン争いを繰り広げ、最終的にはわずか3点差で山本選手がシリーズタイトルを獲得。しかし山本選手は昨シーズン限りで現役を引退したことから、今季の全日本モトクロス最高峰クラスは王者不在のシーズンを迎えることになりました。

となれば当然、ランキング2位の富田選手が今季のチャンピオン最有力候補……ではあるのですが、そう単純でもないのがこのクラス。上位数名の実力は拮抗しています。

昨年は、今季もカワサキファクトリーチームの能塚智寛選手がランキング3位、富田選手のチームメイトでもあるヤマハの渡辺祐介選手(今季も同じ体制)がランキング4位でしたが、勝利数では富田選手の2勝に対して能塚選手は4勝で上回り、渡辺選手も勝利数では2勝で富田選手に並んでいるのです!

また、昨年はランキング5位だったホンダサポートの小方誠選手も、昨年は優勝こそ逃したものの表彰台には5回登壇しました。昨年はこの小方選手までが、ポイントランキングで下位を大きく引き離す5強状態。今季はここから山本選手が抜けた代わりに、IA2から昨年度王者の大城魁之輔選手と同ランキング2位の大倉由揮選手が、いずれもホンダのサポートチームからステップアップしてきます。さらに、シーズン中盤のケガによりタイトル獲得は逃したものの、昨年前半にIA2で圧倒的な速さを誇ったカワサキマシンを駆る内田篤基選手も、今季はIA1にステップアップ。これによりIA1の上位争いは、よりし烈な戦いとなるかもしれません!

~ IA2 ~ランキング上位が抜け、驚速オージーがフル参戦

主に4スト250ccマシンが参戦するIA2。フル参戦するのは若手と中堅がほとんどながら、かつてトップライダーとして活躍したベテランがスポット参戦することも多いクラスです。昨年は、カワサキに乗る内田篤基選手が開幕戦ヒート2から5ヒート連続優勝を決めてシリーズをけん引。ところが内田選手は、第6戦ヒート1で転倒して負傷して2大会5ヒートでノーポイントとなり、これにより内田選手に唯一対抗できる速さを持っていたホンダの大城魁之輔選手が、初の年間タイトル獲得を果たしました。

しかし今季、そんな大城選手とランキング3位になった内田選手、そして同2位の大倉由揮選手は、いずれもIA1にステップアップ。今季のIA2参戦ライダーでは、鳥谷部晃太選手が昨年の最上位となります。では、そんな鳥谷部選手がチャンピオンの最有力候補なのかというと……。

じつはこのクラスでは今季、若手育成や技術開発などの幅広い役割を目的として、ヤマハファクトリーチームがオーストラリアのトップライダーであるジェイ・ウィルソン選手を起用します。ウィルソン選手は、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された昨年の第7戦第59回MFJ-GPモトクロス大会にもスポット参戦して両ヒート制覇を達成。しかし2020年にオーストラリアでトレーニングを積み、ウィルソン選手が練習パートナーだった鳥谷部選手によれば、「ジェイはあのときたぶん、7割くらいの力で走っていましたね。こちらは完全に全開だったのに……」とのこと。とはいえ今シーズンの開幕前に鳥谷部選手は、「でも、マディはチャンスがありそう。練習では、たしかに速いけどよく転ぶんですよ」と、ノーチャンスではないことも感じているようです。

昨年のランキング上位がいない今年、どの選手がIA2の日本人トップに立ち、ウィルソン選手に立ち向かうのか。まずはここに注目したいところです!

~ Ladies ~最強チャンピオンに挑むのは?

昨シーズンは、ホンダ4ストに乗る川井麻央選手が、2年連続のシーズン全勝こそ逃したもののシリーズタイトルを防衛。しかし、ヤマハ2ストを駆る2019年チャンピオンの本田七海選手も1勝を挙げ、8レースを戦って10点差のランキング2位を獲得しました。また、昨年からホンダ4ストに乗り替えた久保まな選手は、シーズン序盤こそ2ストと4ストの違いに苦戦しましたが、終わってみれば2勝を獲得しました。

今季も、そんな川井選手と本田選手と久保選手はタイトル争いの中心となりそうですが、まだまだ注目選手はたくさんいます。例えばホンダに乗る小野彩葉選手は、昨年は第7戦の予選で負傷してノーポイントとなり、これが響いてランキング4位となりましたが、そこまでの5ヒートではすべて表彰台に登壇していました。ハスクバーナの2ストマシンを操る楠本菜月選手も、昨年は3位表彰台に2度登壇を果たしてランキング5位となり、さらなる飛躍が期待されるライダーです。さらに今季は、2018年にこのクラスのチャンピオンとなった畑尾樹璃選手が、これまでと同じくホンダのマシンを駆り2年ぶりに復帰。表彰台争いはさらに激しくなりそうです。

~ Live result ~会場での観戦にはライブリザルトを活用!

今季から、全日本モトクロス選手権シリーズのライブリザルトは、ライダーやチームの利便性などを考慮して「MYLAPS」に変更されました。アプリはこちらからダウンロードできます。会場内で順位などをリアルタイムで知ることができるこのシステム。使いこなすとレース観戦がより楽しくなりますよ!

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