2023SEASON

2023年の見どころ

昨年は4会場7戦で競われた全日本モトクロス選手権シリーズは今季、2会場2戦が復活を果たしたことで、IA1とIA2は2017年以来となる年間9戦が開催される予定です。開幕戦は今年も熊本県のHSR九州が舞台で、4月8日(土)~9日(日)に実施されますが、それに先立ち、今シーズンの見どころを凝縮してお届けしましょう!

2023年シーズンは6会場9大会に!

今シーズンの全日本モトクロス選手権シリーズは、熊本県のHSR九州、埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジ、宮城県のスポーツランドSUGO、広島県のグリーンパーク弘楽園、北海道の新千歳モーターランド、奈良県の名阪スポーツランドを舞台に、全9戦が予定されています(HSR九州、オフロードヴィレッジ、スポーツランドSUGOは2戦ずつ)。

まず注目したいのは、2年ぶりに復活した第4戦の中国大会(グリーンパーク弘楽園)と、2013年以来じつに10年ぶりの開催となる第5戦の北海道大会(新千歳モーターランド)です。このうち北海道大会は、全日本格式のレースとしては国際A級ライセンス所持者によるIA1とIA2のみが実施され、他のクラスは併催承認レース扱い。7月30日(日)のワンデー開催が予定されています。

また、HSR九州での大会は開幕戦に加えて秋にも予定されていますが、こちらも秋は10月8日(日)のワンデー開催により、IA1およびIA2クラスのみ実施されることが予定されています。承認レースの併催も現在のところ予定されておらず、国際A級のみで1日という初の試み。観客としては、日本トップレベルのレースを凝縮して見られるというメリットもありそうです。

これらにより、IA1とIA2に関しては年間9戦のスケジュールに。予定どおり実施されれば、2017年以来の大会数となります(※2018年も9戦が予定されていましたが、豪雨災害により第7戦中国大会が中止)。

3ヒート制の積極導入でレース数は増加

今季はIA1とIA2の大会数が9戦に増加。さらに、2020年に最高峰クラスのIA1に初導入された1大会3ヒート(=レース)制が今年も積極的に用いられることから、2023年3月現在の予定ではIA1が年間23ヒート、IA2が同21ヒートの開催予定となっています。昨年は、IA1とIA2ともに年間16ヒートだったので、IA1は7ヒート、IA2は6ヒートも増えることになります。

年間のレース数が増えることで、シリーズチャンピオンを決めるポイントランキングにおいては、年間合計に対する1戦あたりの割合が減ることになり、例えばどこか1レースでポイントを大きく取りこぼすミスをした場合でも、挽回できるチャンスは増えます。一方で、3ヒート制が増えると、ケガや思わぬトラブルによる予選落ちなどで決勝を欠場すると、3レース分を取りこぼすことになるという厳しさもあります。

また、IA1とIA2の決勝レース時間は、1大会2ヒート制の場合は30分+1周を基本としていますが、15分+1周の場合は15分+1周に半減されます。15分+1周のレースでは、最初から最後まで駆け引きなしの全開走行を楽しめますが、ライダーたちにとってはスタートで出遅れたり転倒などのミスで後退したりという場合に追い上げられる可能性が減り、「ワンミスが命取り」という難しさにもつながります。とくにIA1は、15分+1周のレース数がかなり多く、これがポイントランキングにどのような影響を与えるのかにも注目が集まります。

~ IA1 ~ジェイ・ウィルソン選手に日本人ライダーたちが挑む

4スト450ccマシンでの参戦が主流となっている、全日本最高峰クラスのIA1。昨年は7戦16ヒートで競われ、ヤマハファクトリーチームの富田俊樹選手が8勝を挙げて王者となりました。今季、富田選手はチャンピオンゼッケンの「1」を装着して、同じくヤマハファクトリーチームから参戦。本来であれば昨年の覇者がチャンピオン最有力候補となりますが、今年はちょっと事情が異なります。

というのも今季、この最高峰クラスには昨年の全日本IA2にヤマハファクトリーチームからフル参戦して圧倒的な強さを誇ったオーストラリア人ライダーのジェイ・ウィルソン選手(#27)がエントリーするから。ウィルソン選手は、昨年の最終戦ヒート2でスポット参戦したブローディ・コノリー選手に敗れたものの、それ以外の全ヒートで勝利を収めました。そして今季、ヤマハはマシン開発の役割を担うもうひとつのファクトリーチームを新設し、ライダー兼監督としてウィルソン選手を起用します。実力で考えれば、ウィルソン選手が今年のシリーズをけん引する可能性が濃厚です。

一方、ウィルソン選手の参戦で奮い立つのが日本のトップライダーたち。富田選手はもちろん、昨年度のシリーズランキング2位となったカワサキファクトリーチームの能塚智寛選手(#2)、富田選手のチームメイトとなる渡辺祐介選手(#3)、IA1ルーキーだった昨年に2勝を挙げたホンダ契約ライダーの大城魁之輔選手(#4)、37歳のベテランでホンダを駆る小方誠選手(#5)、大城選手のチームメイトでこちらもIA1は2年目となる大倉由揮選手(#6)らが、虎視眈々と「打倒・ジェイ」のチャンスをうかがっています。

今季、IA1クラスは5大会で3ヒート制が予定されており、超スプリント展開のレースが増えることから、ウィルソン選手といえどもスタートで出遅れるミスがあればかなり厳しい戦いを強いられるはず。まずは今季開幕戦の3ヒートに注目です!

~ IA2 ~チャンピオン経験者ゼロ、優勝経験者は1名のみ

主に4スト250ccマシンが参戦するIA2は、フル参戦するのは若手と中堅がほとんど。昨年は、ヤマハファクトリーチームから参戦したオーストラリア人ライダーのジェイ・ウィルソン選手が、年間16ヒートで15勝をマークしてチャンピオンに輝きました。

今季、そのウィルソン選手はIA1に参戦。このためIA2は、再び日本人ライダーのみで競われることになります。フル参戦するメンバーは20代前半が中心で、全日本のヒートレースで優勝経験があるのはホンダに乗る25歳の横澤拓夢選手(#5)のみ。ヤマハのマシンを駆る昨年度ランキング2位の浅井亮太選手(#2)は、大会総合優勝の経験はありますが、ヒートレースでは未勝利です。それ以外のライダーでは、ホンダのマシンを駆る昨年度ランキング3位の柳瀬大河選手(#3)、ヤマハに乗る昨年度4位の中島漱也選手(#4)、昨年度7位だったホンダの鈴村英喜選手(#7)、カワサキに乗る西條悠人選手(#8)と鴨田翔選手(#9)に2位入賞経験があります(※開幕戦にはかつてこのクラスのチャンピオンとなった44歳の溝口哲也選手がスポット参戦)。

どのライダーもチャンピオンの経験はなく、横澤選手以外は勝てばIA初優勝という状況で迎える今季。その開幕戦は15分+1周の3ヒート制が予定されています。まずはどのライダーが勝利を収めてスタートダッシュを決めるのか、注目しておきましょう!

~ Ladies ~最強チャンピオンに挑むのは?

ホンダの4スト150ccとそれ以外の2スト85ccマシンが混走するレディースクラス。昨シーズンは、ホンダ4ストに乗る久保まな選手と川井麻央選手がチャンピオンを争い、最終的には同点かつ優勝回数も同じという成績となり、2位入賞回数の差で久保選手がシリーズタイトル獲得を決めました。

今季、その久保選手は現役を引退。さらに、昨年度ランキング3位だった小野彩葉選手、同6位だった畑尾樹璃選手も引退を発表しています。一方、2020~2021年のチャンピオンでもある川井麻央選手(#2)は今年もホンダ4スト、2019年に全日本タイトルを手にした本田七海選手(#4)は今季もヤマハ2ストで参戦。表彰台の常連候補となりそうです。

さらに注目しておきたいのは、昨年度ランキング5位の楠本菜月選手(#5)。今季、楠本選手はマシンをホンダ4ストにスイッチし、全日本最高峰のIA1を4度制した元ホンダファクトリーチームライダーの山本鯨さんが新設したチームからエントリーします。4ストを手に入れた楠本選手の戦いにも期待が集まります。また、昨年度のランキング上位勢が抜けたことで、今季の表彰台はフレッシュな顔ぶれになる可能性も……。熱き女性ライダーたちのバトルもお見逃しなく!

~ Live result ~会場での観戦にはライブリザルトを活用!

昨年から、全日本モトクロス選手権シリーズのライブリザルトは、ライダーやチームの利便性などを考慮して「MYLAPS」に変更されました。アプリはこちらからダウンロードできます。会場内で順位などをリアルタイムで知ることができるこのシステム。使いこなすとレース観戦がより楽しくなりますよ!