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全日本モトクロス第3戦決勝レポート

2023年の全日本モトクロス選手権シリーズは、年間9戦(レディースとIBオープンは7戦)のスケジュール。その第3戦SUGO大会が、6月3日(土)~4日(日)に宮城県のスポーツランドSUGOで開催されました。

全日本ロードレース選手権も実施されているオンロードサーキットをはじめとする多彩なコースを有する、複合モータースポーツ施設のSUGO。今大会はその中で、かつて実際に世界選手権が開催されたこともあるインターナショナルモトクロスコースが使用されました。ふたつの丘にまたがってレイアウトされたこのコースは、昨年9月に大改修を受け、コーナーは以前と比べてフラットな印象に。とはいえ、名物となっている上り急こう配の「大坂」をはじめ、コースそのものはアップ&ダウンに富んでいます。

決勝日は朝から晴天で、最高気温は27度。ただし風は強く、お昼ごろには雲が多い時間帯もありました。金曜日に降った雨の影響は土曜日の段階でもほとんどありませんでしたが、予選終了後に路面を耕しながら入念なメンテナンスが施され、日曜日はベストコンディションでスタート。午後は路面が乾き、土ボコリが多めに舞う状況でした。

IA1ヒート1

全日本最高峰のIA1クラスは、開幕戦と第2戦に続いて、15分+1周の3ヒート制による決勝。昨年度のランキング上位だったカワサキファクトリーチームの能塚智寛(#2)、ヤマハファクトリーチームの渡辺祐介(#3)、ホンダを駆る小方誠(#5)は、いずれもケガにより今大会を欠場し、23台が決勝に臨みました。そのヒート1では、ヤマハファクトリーチームから参戦する昨年度王者の富田俊樹(#1)がホールショット。富田とは異なるヤマハファクトリーチームに所属するジェイ・ウィルソン(#27)が、カワサキのマシンを駆る内田篤基(#8)をパスして富田に迫り、1周目終盤に逆転しました。これによりウィルソン、富田、内田、ホンダサポートライダーの大城魁之輔(#4)と大倉由揮(#6)の順で1周目をクリア。2周目、ウィルソンと富田は後続を3秒ほど離しながら接近戦を続け、大城は転倒により14番手まで順位を下げ、代わりに4番手となった大倉は内田に迫りました。

3周目以降、富田はウィルソンにやや離され、一度は上位4台がそれぞれ2~3秒差に。しかしレースが終盤を迎えると、トップのウィルソンと約3秒差の2番手を走る富田の背後に、内田が近づきました。そしてラスト2周となった8周目には、富田と内田が接近戦を開始。さらに大倉もこの2台に1秒差まで迫り、ラストラップには三つ巴の2番手争いになりました。そして内田が、富田をコーナー進入でアウト側からパスしかけましたが、ここで転倒。真横にいた富田も避けられず、両者が転倒しました。この間に大倉が先行し、内田と富田もすぐに再スタート。レースはウィルソンが優勝し、大倉が今季初表彰台となる2位、内田が3位、富田が4位でゴールしました。1周目7番手から追い上げた、ウィルソンと同じヤマハファクトリーチームから参戦する町田旺郷(#16)が5位。大城は6位まで追い上げてゴールしました。

●ヒート1 優勝 ジェイ・ウィルソン(#27)

コースは昨日から難しいコンディションで、予選では最終コーナーでハードクラッシュ。このときにちょっと肩を痛めてしまったのですが、チームのサポートによりこのレースで勝つことができました。残りの2レースも、自分のベストを尽くします。

●ヒート1 2位 大倉由揮(#6)

昨年の第2戦で初めてIA1の表彰台に立って以降、一度も3位以内でゴールできず、苦しい時間が続いていました。しかも昨年の最終戦ヒート2から7連続で4位と、本当に悔しいレースが続いていたので、この表彰台は自分にとってとても大きな一歩だと思います。

●ヒート1 3位 内田篤基(#8)

昨日の予選、そしてこの決勝ヒート1と、連続して他車と接触し転ぶレースをしてしまったのですが、今回のレースは昨年のIA1を制した富田俊樹選手、IA2王者のジェイ・ウィルソン選手に実力が近づいてきた証拠でもあると感じています。地道に努力すれば、勝てると信じています。

IA1ヒート2

 

ホールショットは大城魁之輔(#4)。これにまずは内田篤基(#8)や大倉由揮(#6)が続きました。ジェイ・ウィルソン(#27)はやや出遅れましたが、混戦の中で順位を上げ、1周目に大倉までを抜いて3番手に浮上。富田俊樹(#1)はスタート直後に6番手のポジションを確保したものの、ミスで後退して7番手で1周目を終えました。2周目、ウィルソンは内田をパス。トップを走っていた大城が転倒を喫し、すぐに再スタートできたものの、この間にウィルソンがトップに立ちました。これにより2周目には、トップのウィルソンから2秒ほど遅れて大城、内田、大倉が僅差で続くことになりました。

レース中盤、大城はトップのウィルソンを約2秒差でマーク。5周目、大城の2秒ほど後方で内田と大倉が3番手争いを繰り広げ、アウトから仕掛けた大倉に内田がヒットし、大倉が転倒しました。このアクシデントで内田は大城から4秒ほど遅れ、大倉に代わり富田が4番手にポジションアップ。しかし富田となおも3番手を走る内田とのギャップは、約5秒ありました。また大倉は、富田から4秒ほど遅れた5番手でレースに復帰しました。そしてレースは、9周目のラストラップまでしっかり逃げ切ったウィルソンが勝利。大城が2位、内田が3位、富田が4位、大倉が5位となりました。

●ヒート2 優勝 ジェイ・ウィルソン(#27)

アリガトウゴザイマス。今日のコースは簡単ではないし、表彰台に立っている大城選手をはじめとする日本人ライダーたちも強さを発揮していたけど、自分も力強い走りを続けて勝てたのでハッピーです。今回も3連勝できるよう、最後のレースも頑張ります。

●ヒート2 2位 大城魁之輔(#4)

自分の調子は悪くないのですが、ヒート1は転倒により悪いレースにしてしまいました。ヒート2も、せっかくスタートでトップに立ったのに、つまらないミスで転倒。本当はジェイさんとしっかりバトルしたかったのですが……。ヒート3は転倒ナシで走り、勝ちたいです。

●ヒート2 3位 内田篤基(#8)

安定して表彰台に上がれてはいるのですが、最近は3位ばかりなので、早くさらに上の場所に立ちたいです。スタートもそれなりの位置にはつけられているのですが、もっと前でレースを開始しないと、ジェイさんとバトルもできないので、次こそ狙っていきたいです。

IA1ヒート3

このレースで好スタートを決めたのは富田俊樹(#1)。これに大城魁之輔(#4)や大倉由揮(#6)、内田篤基(#8)が続きました。ジェイ・ウィルソン(#27)はスタートで出遅れたものの、すぐに5番手までポジションアップ。コース中盤で内田が単独転倒を喫して大きく遅れ、ウィルソンが大倉をパスしたことから、オープニングラップは富田、大城、ウィルソン、大倉、安原志(#13)のオーダーとなりました。2周目の上位勢は膠着状態でしたが、3周目になると大城にウィルソンが迫って逆転。4番手の大倉はこの2台から2秒ほど離され、5番手の安原はトップ4から徐々に遅れはじめました。

4周目には、富田がウィルソンの先行を許し、これでウィルソン、富田、大城、大倉の順。その後、この4台はそれぞれ1.5~2秒ほどの間隔をキープして周回を重ねました。しかしレースが早くも終盤を迎えた7周目から、突如として大城のペースが落ち、これで大倉が接近。翌周には、大倉が逆転して3番手に浮上しました。そしてレースは9周で終了。ウィルソンが再び勝利を収め、今季開幕から無傷の9連勝を達成しました。富田が2位、大倉が3位で表彰台に登壇。大城は悔しい4位に終わり、最後まで順位を守った安原が5位に入りました。

●ヒート3 優勝 ジェイ・ウィルソン(#27)

自分もベストな走りを続けていますが、日本人ライダーも速さを発揮してきています。とはいえ今後も、連勝に挑戦し続けます。(以下日本語で)新しいヤマハYZ450Fに乗れて、とてもうれしいです。チームやスポンサーに感謝します。日本のファンの方々は本当に素晴らしいです。

●ヒート3 2位 富田俊樹(#1)

ジェイは「良かった」と言ってくれていますが、完全にコントロールされていました。本当に悔しいです。この連勝を本当にどうにかして止めないといけないし、日本人の意地を見せないといけないとも思っています。今日与えられた課題に、チームとして取り組んでいきます。

●ヒート3 3位 大倉由揮(#6)

ヒート1で表彰台に立つことができ、ヒート2は転倒があって悔しいレースになってしまったのですが、ヒート3で再び表彰台に戻ってくることができて、本当にうれしいです。チームのみんなが自分のために全力で取り組んでくれています。でも、目指しているのは一番上。次も全力で挑みます。

IA2ヒート1

 

若手と中堅が中心のIA2クラスは、30分+1周の2ヒートで決勝が実施されました。そのヒート1は、西條悠人(#8)がホールショット。ところが西條は1周目前半で転倒して最後尾まで後退し、これで田中淳也(#17)がトップに立ち、中島漱也(#4)や阿久根芳仁(#11)、ビクトル・アロンソ(#58)、横澤拓夢(#5)が追いました。2周目に入るところで中島が田中を抜き、阿久根とアロンソは僅差の3番手争いを開始。3周目にアロンソが阿久根を抜くと、翌周には横澤も阿久根の攻略に成功しました。5周目、アロンソは田中をパス。翌周こそトップの中島と2番手のアロンソは互角のラップタイムでしたが、7周目にはアロンソが一気に約3秒もラップタイムを削り、中島の背後に迫りました。また同じ周、横澤は田中を抜いて3番手に順位を上げました。

トップの中島も粘りをみせ、アロンソを抑えていましたが、9周目にアロンソが逆転。その後、アロンソが徐々にリードを拡大していきました。2番手に後退した中島の4秒ほど後方では、横澤と田中が3番手争い。さらにその背後には、1周目7番手から追い上げてきた池田凌(#18)も近づきました。池田の数秒後ろでは、阿久根と渡辺陵(#12)が6番手争い。14周目に阿久根が激しくクラッシュしてリタイアとなり、渡辺が順位を上げました。横澤と田中と池田の表彰台争いは終盤まで続きましたが、ラストラップとなった16周目に横澤がややリードを拡大。レースはアロンソが勝利し、中島が2位、横澤が3位、田中が4位、池田が5位、渡辺が6位となりました。

●ヒート1 優勝 ビクトル・アロンソ(#58)

スタート直後は5番手で、そこから追い上げるレースでしたが、コースはワダチが深くてギャップも多かったので、攻略するのは難しかったです。とはいえ、最終的に優勝できてよかったです。ヒート2も、優勝できるようベストな走りをします。

●ヒート1 2位 中島漱也(#4)

2周目に入るところでトップに立ち、難しい路面状況ではあったのですが、自分の走りと向き合っていいラインをトレースできていました。しかし、やはり後ろからビクトル選手が来ました。抜かれてからも、抜き返そうと頑張ったのですが、何もできませんでした。

●ヒート1 3位 横澤拓夢(#5)

IA1の決勝ヒート1で富田選手が、一番イン側のグリッドからホールショットを決めたので、自分も同じ位置からホールショットで逃げ切り……と考えていたら、世界一スタートで出遅れました。次は世界一スタート決めて、ショートカットしてでも1位を獲ります!

IA2ヒート2

再び西條悠人(#8)がホールショット。これに佐野雄太(#20)とビクトル・アロンソ(#58)が続くと、すぐにアロンソが先行しました。さらに渡辺陵(#12)も佐野をパス。5番手以下は池田凌(#18)、中島漱也(#4)、横澤拓夢(#5)が続きました。2周目、横澤は中島をパス。2~3周目には、西條とアロンソが激しいトップ争いを繰り広げ、渡辺もこの2台をマークしていましたが、4周目に渡辺は転倒を喫して9番手まで順位を下げました。そしてこの周、ついにアロンソが西條の攻略に成功してトップに立ちました。渡辺の転倒で3番手に返り咲いた佐野の背後には、5周目に池田をパスした横澤が接近。さらに、抜かれた池田も横澤をマークし、佐野と横澤と池田による僅差の3番手争いがスタートしました。

一方、トップに立ったアロンソは周回ごとにリードを拡大。7周目の段階で5秒ほどのアドバンテージを築きました。2番手の西條と3番手の佐野は、2~3秒のギャップ。三つ巴の3番手争いでは、10周目に池田が少しミスして横澤から3秒ほど遅れ、池田の背後には中島や浅井亮太(#2)、渡辺が迫りました。12周目、池田の攻略を試みた中島が転倒。この周から浅井のペースが落ち、これで渡辺は一気に6番手まで順位を回復しました。レース終盤、トップのアロンソは危なげない走りでトップをキープ。レースは16周でチェッカーとなり、アロンソが連勝をマークしました。西條は今季2度目の表彰台登壇となる2位。3番手争いでは、最後に佐野が横澤をやや離し、佐野がIA昇格4年目で初表彰台圏内となる3位を獲得しました。4位に横澤、5位には最終ラップで横澤に迫った池田、6位には渡辺が入賞しています。

●ヒート2 優勝 ビクトル・アロンソ(#58)

アリガトウ。もちろん自分も優勝したいと思ってレースに臨みましたが、表彰台に上がった西條選手ら日本人ライダーたちも当然ながらそれは同じ。コースも難しく、厳しい戦いになりましたが、なんとか自分が勝つことができて良かったと思っています。

●ヒート2 2位 西條悠人(#8)

前戦はボロボロで、精神的にもかなり辛かったのですが、昨日の予選と今日の決勝ですべてホールショットを決めることができ、ヒート1は転倒してしまいましたが、ヒート2は2位で終われたので、とりあえず良かったです。次の広島もスタートを決め、優勝を狙います。

●ヒート2 3位 佐野雄太(#20)

IAに昇格した年にケガをして1年間を棒に振り、その後もケガ続きでなかなか結果を残せず、家族やチームやスポンサーなどたくさんの方々に迷惑をかけていたのですが、こうやって少し恩返しができました。今シーズンに向け、日々の生活からすべて見直した成果だと思います。

レディース 決勝

15分+1周の決勝レースで好スタートを切ったのは箕浦未夢(#9)。ところが箕浦は、最初のコーナーを立ち上がったところで転倒して最後尾となり、これで川井麻央(#2)がトップ、濱村いぶき(#17)が2番手となりました。さらに濱村がコース序盤で転倒し、これに穂苅愛香(#12)やペレーラ・瞳美(#16)ら4台が巻き込まれるマルチクラッシュが発生。オープニングラップは川井が制し、本田七海(#4)が2番手、瀬尾柚姫(#8)が3番手、川上真花(#7)が4番手となりました。2周目以降、川井と本田は3番手以下を大きく引き離しながら、マッチレースを展開。本田が川井を約1秒差でマークし続けました。

一方、3番手争いでは瀬尾に川上が肉迫。レースが早くも後半に入った5周目に、川上が瀬尾の攻略に成功しました。レース終盤、バックマーカーが多く発生しはじめると、これを巧みに利用しながら川井がリードを拡大。レースは8周でチェッカーとなり、逃げ切った川井が今季2勝目を挙げました。本田は2位でゴール。瀬尾を抜いた川上はリードを拡大して3位でフィニッシュして、全日本初表彰台登壇を果たしました。瀬尾は4位、1周目8番手から追い上げた楠本菜月(#5)は5位、スタート直後の転倒から追い上げた箕浦が6位でした。

●優勝 川井麻央(#2)

スタートからトップに立つことができたのですが、荒れた路面に苦戦してうまくスピードを乗せることができず、後ろがついてきていることもわかっていました。そういう状況でも強い気持ちを持ち続けて走り、最後は引き離すことができたので、ゴール後はほっとしました。勝てたのはスポンサーやファン、チーム、家族のおかげです。次も勝ちます!

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