全日本モトクロス第8戦の見どころ
IAは両クラスで王座争いが超白熱!
8月下旬に予定されていた第7戦中国大会が豪雨被害の影響で中止となったことから、今季の全日本モトクロス選手権は残り2戦に。結果的に前戦から約1ヵ月半のインターバルを挟み、第8戦近畿大会が9月8日(土)~9日(日)に奈良県の名阪スポーツランドで開催されます。最大のみどころは、僅差となっているIA1とIA2のチャンピオン争い!
巻き上がるルーストの美しさとカッコよさが魅力
2012年以降、毎年9月の上旬に年1回が設定されている近畿大会の舞台となるのは、三重との県境に近い奈良県の名阪スポーツランド。薄い色のサンド質路面が特徴のコースです。
サンド路面は、走行時にタイヤが路面から受ける抵抗が大きめでパワーロスされやすく、逆にバイクを深くバンクさせたときにも路面が受け止めてくれる傾向にあります。このため今大会では、いつも以上にスロットルをワイドオープンしてマシンを前進させ、深くマシンを寝かせてコーナーをクリアする日本トップライダーたちの豪快な走りを、随所で楽しむことができます。スロットルオープンにより、白い砂が後輪から大量に巻き上がり迫力満点。ぜひ会場で、そのカッコよさにしびれてください!
コースは西側と東側にエリアがわかれたようなレイアウトとなっていて、メインとなるのはスターティングゲートやフィニッシュジャンプがある西側。さらにこの西側は、上下2段というような構成となっていて、スターティングゲートなどは上段にあり、コース中間付近でコースの中でもっとも低い位置を走り、一気に登って東側につながるイメージです。
西側の一段低い部分は、コース近くで観戦できるエリアは残念ながらありませんが、ある程度の広範囲を見渡せる場所が点在しています。そのような場所で、レース展開を広く見るのもオススメです。
熱中症対策を完璧にして観戦を!
今年は、全国的な猛暑が続いており、9月に入っても暑い日が多くなることが予想されています。事前に天気予報をチェックして、猛暑となりそうな場合は熱中症対策を万全にしておいてください。熱中症には、水分と塩分とミネラルの補給が有効。小さめのクーラーボックスか保冷バッグなどがあると、いちいち出店まで飲み物を買いにいかなくても、レース中に冷たい状態で水分を補給できるので便利です。アルコール飲料は、分解するためにカラダが水分を必要とし、またビールには利尿作用もあるため、控えておきたいところ。日中は帽子を被り、カラダを冷却するスプレーや気化熱を積極利用できる高機能インナーの導入なども検討してください。日傘も使いたいところですが、こちらは周囲の方々に迷惑となることも多く、またそもそもレース中は雨が降ったとしてもコースサイドでの傘使用が禁止されています。周囲に配慮して、状況を見ながら使用してください。
また名阪スポーツランドは山中にあり、天候が急変することも多いコースです。奈良県山添村の天気予報を参考に、怪しそうなときは降っていなくても雨に対する対策を少し準備しておくと、慌てずに済むかもしれません。
第8戦でとくに注目のライダーは?
IA1クラス
全日本最高峰クラスのIA1は、前戦のヒート1で、それまでシリーズタイトル争いに僅差で加わっていたカワサキトップチームの新井宏彰選手(#331)が、スタート直後のクラッシュで転倒リタイア。それまでポイントリーダーだったホンダファクトリーチームの成田亮選手(#982)は、第5戦で負ったケガの影響で7位と9位に終わりました。一方、ホンダファクトリーチームの山本鯨選手(#1)は、第5戦に続いて両ヒート制覇を達成。これにより山本選手がランキングトップに浮上し、9点差で成田選手が2番手、カワサキトップチームから出場する小方誠選手(#2)が山本選手と18点差の3番手となり、新井選手はトップから35点差とチャンピオン争いから脱落しました。
今大会でも、この4人が優勝争いの中心となりそうですが、とくに注目したいのは山本選手と成田選手の争い。山本選手は、全日本に復帰した昨年から奈良県を活動拠点としており、ここはいまや第2の地元。昨年の大会でも、両ヒート制覇を達成しています。一方の成田選手は、過去3年間の結果を見ると、昨年こそ予選でクラッシュして12位/DNSでしたが、2016年と2015年には両ヒート制覇を達成しています。わずか9点差という接戦を考えると、ふたりともかなり積極的に勝負を挑んでくるはずです。
またIA1では、コースのお隣となる三重県を活動拠点としていて、今年は地元の鈴鹿市と密着したプライベートチームでホンダのマシンを駆る小島庸平選手(#44)にも注目です。小島選手は、第6戦東北大会のヒート1で今季自己最高の2位となり、調子が上向き。ホームコースで、今季初優勝を狙っています。
IA2クラス
一方、IA2はホンダのマシンに乗る古賀太基選手(#922)とホンダファクトリーチームの能塚智寛選手(#828)による僅差のチャンピオン争いが、シーズン序盤から続いています。前戦終了時点でのポイントリーダーは古賀選手で、能塚選手は7点差の2番手となっています。さらに、前戦でこのふたりにスピードで勝り、両ヒート制覇を挙げて点差を縮めてきたのが、カワサキを駆るランキング3番手の小川孝平選手(#912)。トップの古賀選手までは22点差と少し離れていますが、それだけに小川選手は優勝を狙うしか道はなく、気合いの入った走りを披露してくれることでしょう。
レディースクラスは、ランキングトップを守る畑尾樹璃選手(#4)が2番手の川井麻央選手(#8)から17点差を奪い、有利な状況となっています。
JMX観戦達人のちょい技
「バイクやクルマでのワンデー観戦にも便利!」
名阪スポーツランドは、東名阪および西名阪というふたつの有料道路に接続することで、長年にわたって名神高速の代替機能が与えられてきた、無料自動車専用道路の名阪国道に隣接しています。コースの入り口付近は、この名阪国道から見えるほど。しかも、小倉または神野口というインターチェンジから、いずれも約5分というベストロケーションです。大阪や名古屋といった大都市から、バイクやクルマでとてもアクセスしやすい環境ですから、日帰りでもよいので、ぜひ会場で生観戦してください。予選から両日観戦なら、この名阪国道を使えば、お隣の三重県にある忍者で知られた伊賀上野(伊賀市)や、さらに足を伸ばして亀山市内、奈良県側なら天理市などで、宿泊場所が確保できます。名阪国道は、取り締まりも多い道路ですから、くれぐれも道中は安全運転で!