全日本モトクロス第2戦プレビュー
2023年5月13日(土)~14日(日)に、埼玉県川越市で「腕時計のベルモンドCUP」として開催されるD.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズ第2戦。その舞台となるウエストポイント オフロードヴィレッジのコース概要や周辺状況、現地での楽しみ方やレースの注目ポイントをお伝えします!
公共交通機関を利用してもアクセス良好!
「腕時計のベルモンドCUP」として開催される第2戦の会場となるウエストポイント オフロードヴィレッジは、荒川と入間川に挟まれた河川敷にあり、コースの南西側となる埼玉県川越市の中心部から約8km、北東側の上尾市街中心部から約6kmなど、首都圏広域からアクセスしやすい鉄道の駅がある市街地から、かなり近くに位置しています。
コースは県道51号のすぐ脇(高架の下側)で、この県道上には川越駅と上尾駅を結ぶ東武バスの「入間大橋」バス停が設けられています。1時間1本程度と便数は少ないですが、バス停はまさにコースの入り口付近。公共交通機関でアクセスするのがとても簡単なのが、オフロードヴィレッジの大きな魅力です。
観戦仲間と割り勘するなら、川越や上尾の駅からタクシーも利用しやすい距離。快適に移動したいなら、こちらもオススメです。ただし、大会期間中のコース周辺道路は、時間帯によっては混雑しがち。さらに、決勝日の夕方は大会側による交通規制がかかるので、会場を徒歩で退出したら県道を少し歩き、その地点にタクシーを呼ぶほうがスムーズかもしれません。
ジャンプが多彩なテクニカルコース
ウエストポイント オフロードヴィレッジのモトクロスコースは、アップ&ダウンがほとんどない河川敷にあり、タイトターンと多彩なジャンプを中心に構成された、いわゆるスーパークロス的なレイアウトを特徴としてきました。他のコースと比べてコース幅が狭いセクションが多いことから、パッシングポイントは少なめ。しかしこのコースセッティングが、何台ものマシンがテール・トゥ・ノーズで続く接戦を数多く生んできたのもまた事実です。
また、昨秋の全日本開催前にはコースをそれまでとは逆回りに変更して、序盤区間の延長によりハイスピードセクションを増加するなど、大会あるいはシーズンごとにコースの仕様が見直されてきました。全体的な構成がスーパークロステイストであることに変わりはありませんが、新たな試みも取り入れながら改修が繰り返されてきたコースです。
IA1、IA2、レディースクラスはワンデー開催
今季は、大会ごとに変則的なスケジュールが用いられている全日本モトクロス選手権。この第2戦では、全日本格式で開催されるIA1、IA2、IBオープン、レディースの4クラス中、IBオープンクラスを除く3クラスで、5月14日(日)に予選と決勝をすべて実施するワンデースケジュールが採用されます。ただし、5月13日(土)の15時30分以降に、自由参加のフリープラクティスが設定されており、ほとんどの選手がこちらに参加すると思われます。
またレースフォーマットも変則的で、IA1クラスとレディースクラスは、公式練習を兼ねたタイムアタック予選により、決勝レースのスターティンググリッド選択順位を決定。予選落ちがあるIA2クラスは、同じく公式練習兼タイムアタック予選を実施してまずは予選上位20名を決め、予選21位以下の選手は10分+1周のラストチャンスレースに出走。この上位10名が予選21~30位として、決勝に進みます。
そして決勝は、IA1クラスが15分+1周の3ヒート制、IA2クラスが30分+1周の2ヒート制、レディースクラスが15分+1周の1ヒートで競われます。併催レースのうちチャイルドクラスが土曜日に開催され、日曜日の表彰式は全レース終了後にまとめて実施されることから、昼休みは1時間が確保されていますが、午後のレースが11時40分から6レース連続となるなど、かなり凝縮感があり“いつも”とは違うタイムスケジュールとなっています。
IA1はこのライダーに注目!
最高峰クラスのIA1は、HSR九州での開幕戦でヤマハファクトリーチームのジェイ・ウィルソン選手(#27)がいきなり3ヒート制覇を達成。昨年はIA2クラスであわや全勝という圧倒的な速さを披露したウィルソン選手に、対抗できる日本人ライダーが登場するかどうかというのが、まずは最大の注目ポイントとなります。
その有力候補となるのは、開幕戦を3ヒートとも3位でまとめたカワサキファクトリーチームの能塚智寛選手(#2)、ヒート1で2位となったカワサキライダーの内田篤基選手(#8)、ホンダのマシンを駆る大倉由揮選手(#6)や大城魁之輔選手(#4)、そしてヤマハファクトリーチームから参戦する昨年度王者の富田俊樹選手(#1)。今大会のコースはパッシングポイントが少なめで、なおかつ15分+1周のスプリントレースとなるので、スタートでウィルソン選手が出遅れるなどのミスがあれば、日本人選手にも十分にチャンスはあると思われます。
ちなみに、ウィルソン選手がIA2クラスに参戦した、同じ会場で実施された昨春の大会では、ウィルソン選手が転倒したことでヒート1は鴨田翔選手、ヒート2は鈴村英喜選手がレース開始から20分すぎまでトップを走行。このときは30分+1周のレースだったので、最終的にウィルソン選手が逆転を果たしましたが、これが15分+1周のレースだったら、ウィルソン選手に土がついていました。IA1は、IA2以上に猛者揃い。圧倒的なスピードを誇るウィルソン選手でも、出遅れればかなり厳しいことになるはずです。
IA2はこのライダーに注目!
若手中心で競われるIA2クラスは、3ヒート制で実施された開幕戦では、中島漱也選手(#4)と西條悠人選手(#8)とスペイン人ライダーのビクトル・アロンソ選手(#58)が優勝しました。ポイントランキングでは中島選手と西條選手が49点で、横澤拓夢選手(#5)が40点、アロンソ選手が38点、浅井亮太選手(#2)と阿久根芳仁選手(#11)が37点。ここまでが、まずはランキングトップ6となっています。
ただしこのクラスは、IA1以上にライダーの実力が拮抗。開幕戦で思うようなリザルトを残せなかった選手たちも、約1ヵ月間のインターバルを利用して立て直しを図ってくることが予想されるため、簡単には上位でゴールするライダーを予想できない状況と言えます。
Ladiesはこのライダーに注目!
昨年、チャンピオンに輝いた久保まな選手に最終戦で同ポイントかつ同勝利数に並びながら、2位入賞回数の差で3年連続のシリーズタイトル獲得を逃した川井麻央選手(#2)。今季開幕戦では、その川井選手が圧倒的な速さで勝利を収め、速さが健在であることを証明しました。今大会は、川井選手のホームコースが舞台。優勝候補筆頭は川井選手で間違いないでしょう。
ただし、開幕戦2位の本田七海選手(#4)や同3位で全日本初表彰台に登壇した箕浦未夢選手(#9)、惜しくもこの箕浦選手とのバトルに敗れた川上真花選手(#7)など、注目しておきたい選手は他にも多数。今季からホンダ4ストマシンとなった楠本菜月選手(#5)も、開幕戦は1周目の転倒で6位に終わりましたが、波乱が起こらなければ表彰台圏内でのゴールが確実視されているライダーです。