全日本モトクロス最終戦プレビュー
今季のD.I.D 全日本モトクロス選手権シリーズは、2023年11月11日(土)~12日(日)に開催される第61回MFJ-GPモトクロス大会で幕を閉じます。その舞台となるのは、昨年と同じく宮城県のスポーツランドSUGO。IA2クラスとレディースクラスはチャンピオン決定がこの最終戦まで持ち越されており、その行方にも注目が集まります!
IA2はビクトル・アロンソ選手と横澤拓夢選手の争い
国際A級ライセンスを所持するライダーが参戦するIA1クラスとIA2クラスは年間9戦、レディースクラスとIBオープンクラスは年間7戦で競われてきた今季のD.I.D全日本モトクロス選手権シリーズは、2023年11月11日(土)~12日(日)に宮城県のスポーツランドSUGOで開催される第61回MFJ-GPモトクロス大会で、今季の最終戦となります。
今シーズンは、第7戦HSR九州大会でIA1クラスのジェイ・ウィルソン選手(#27)、第8戦埼玉トヨペットCUPでIBオープンクラスの住友睦巳選手(#53)がシリーズタイトル獲得を決めていて、この最終戦までチャンピオン争いがもつれ込んでいるのはIA2クラスとレディースクラスということに。
このうちIA2クラスは、ビクトル・アロンソ選手(#58)が横澤拓夢選手(#5)を28点リードしたランキングトップで今大会を迎えるため、圧倒的に有利な状況です。
とはいえ、この最終戦では各レースの獲得ポイントが3点プラスされることもあり、アロンソ選手にとっても完全に安心できる状況ではありません。前戦ヒート2では、トップを走っていたアロンソ選手がトラブルにより最終ラップにマシンを止めてノーポイントに終わりましたが、アロンソ選手が転倒などでリタイアして横澤選手が優勝すれば、前戦終了時点でアロンソ選手がリードしている28点が、25+3点で一気に詰まります。
アロンソ選手は、ヒート1で横澤選手よりも前でゴールすれば、ヒート2を待たずにタイトル獲得を決定できますが、あまりリスクを負えない状況でもあります。
なお今大会のIA2クラスは2ヒート制で競われ、各ヒートは西日による影響などを考慮して少し短い25分+1周に設定されています。
レディースクラスは川井麻央選手vs本田七海選手
4スト150ccまたは2スト85ccのやや小さなマシンを駆り、女性ライダーたちが熱い戦いを繰り広げるレディースクラスは、前戦で優勝した川井麻央選手(#2)が141点で再びランキングトップに立ち、これを前戦で2位となった本田七海選手(#4)がわずか3点差の138点で追う、大接戦となっています。
このクラスは、今大会も前戦と同じく15分+1周の1ヒートのみ設定。ポイントスケールおよびGPポイントの加算は他のクラスと同様で、優勝すれば28点、2位で23点、3位で19点、4位で16点、5位で14点、6位で13点……と15位までポイントが得られます。
とはいえ川井選手と本田選手ともに、大きなアクシデントがなければ3位以内を逃すとは考えられない実力状況。そして両者ともに3位以内であれば、前でゴールしたほうがチャンピオンということになります。ちなみに、同点の場合は優勝回数が多い川井選手がチャンピオン。何らかのアクシデントにより、例えば本田選手が3位で川井選手が4位なら、前でゴールしたほうが……という条件から外れますが、基本的には川井選手と本田選手のどちらが先にゴールするかを追えば、タイトルの行方が分かる状況となっています。
再びジェイ・ウィルソン選手を倒す日本人選手が現れるか?
全日本最高峰のIA1クラスは、前戦ヒート2でついに、ヤマハファクトリーチームから参戦するジェイ・ウィルソン選手(#27)が今季初黒星を喫しました。2周目に、スポット参戦した電動モトクロッサーを駆るトレイ・カナード選手(#41)と接触して、マシンが絡んだ影響で大きく出遅れたことが影響。
これにより、開幕前に負った大ケガからの復帰レースとなったヤマハを駆る星野優位選手(#9)が、ホンダサポートライダーの大倉由揮選手(#6)に競り勝って優勝しました。
これまで多くの日本人選手が「打倒ジェイさん!」を掲げてきて、復帰したばかりの星野選手に先を越されたことで、「次こそは自分が……」と胸に秘めている状況。もちろん、実力的にはウィルソン選手が一歩も二歩も上回っていますが、“レースは何が起こるかわからない”を前戦で改めて感じたライダーも多く、並々ならぬ意気込みでこの最終戦で臨んでくることでしょう。
なおIA1クラスも、今大会は25分+1周の2ヒートで競われます。
過去に世界選手権も開催された東北の拠点
宮城県南部にあるスポーツランドSUGOは、全日本ロードレース選手権も開催されるオンロードサーキットや、全日本スーパーモト選手権の開催コースに組み込まれているカートコースなども有し、全日本トライアル選手権や全日本エンデューロ選手権まで実施される広大な複合モータースポーツ施設です。
そのインターナショナルモトクロスコースは、今から15年ほど前にモトクロス世界選手権を誘致した経歴も持ち、モトクロスにおける東北地方の中心的な存在。
ふたつの丘にまたがるようにレイアウトされ、その斜面や谷地といった自然の地形を生かした、豊富なアップダウンも特徴としています。コースの序盤には、斜度が約30度で長さが約70mもある上りの「大坂」、メインエリアから見ると “丘の向こう”となるエリアにはハイスピードな「ヨーロピアンセクション」もあります。
これまでも、全日本開催に合わせてレイアウトの一部変更などが頻繁に加えられてきたSUGO。この10月下旬にも、一部のジャンプやリズムセクションやコーナーに仕様変更が加えられており、より見ごたえのあるコースセッティングでライダーと観客を迎えます。
中学生以下は入場無料!
スポーツランドSUGOは、公共交通機関でのアクセスはあまり便利ではないのですが、東北自動車道のインターチェンジからは至近距離にあり、クルマやバイクでのアクセスは良好。これまでも村田ICからは10~15分の距離でしたが、今年3月末には菅生PAにETC専用のスマートICが設置され、こちらを利用すればICからモトクロスコースの駐車場までは5~6分で到着します。
ちなみに今大会の駐車料金は、クルマは1区画1500円ですが、バイクなら無料(いずれも別途入場料が必要)。クルマの駐車料金は土日2日間有効です。
入場料は、土日通しの前売観戦券シングルで4700円ですが、女性なら3700円、ペアなら8400円。しかも、中学生以下は無料です。また、当日チケットは割高で日曜日のみでも5800円(土曜日は3400円)ですが、こちらには50%の学生割引があるため、学生さんは当日券の利用がお得です!
なおSUGOには昔から、スターティングエリア左側(表彰台正面)にコンクリートのスタンド席があったのですが、近年はそれに加えて大坂の横などにも観客席の整備が進められました。きれいな水洗トイレを設置し、飲食店ブースを複数ヵ所に分散するなど、観戦環境の向上が進められています!
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