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2024全日本モトクロス開幕戦決勝レポート

2024年の全日本モトクロス選手権シリーズは、昨年までの熊本県・HSR九州ではなく埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジで開幕。「腕時計のベルモンドCUP」として、3月30日(土)~31日(日)に実施された。

今季は、第3戦中国大会の中止に伴う措置として、第2戦と第3戦が土日ダブルヘッダーとなり、これを含めて年間8戦(レディースとIBオープンは7戦)のスケジュール。
また、この開幕戦もIA1クラスとIA2クラスとレディースクラスは日曜日にタイムアタック予選と決勝がすべて実施されるため、序盤3戦連続でワンデー開催となる。

荒川と入間川に挟まれた河川敷にあるコースは、昨秋の全日本大会から大幅な仕様変更が施され、以前のようにかなりコンパクトなレイアウトとなった。日曜日の天候は晴れで、最高気温は27度まで上昇。
金曜日昼ごろまでの豪雨でマディとなった路面は、好天に恵まれたことで急速に回復し、ベストコンディションで開幕戦を迎えた。

IA1ヒート1

 

全日本最高峰のIA1クラスは、15分+1周の3ヒート制による決勝。そのヒート1では、ヤマハファクトリーチームから参戦する昨年度王者のジェイ・ウィルソン(#1)がホールショットを奪い、ヤマハを駆るスポット参戦の星野優位(#15)と、ウィルソンのチームメイトとなる渡辺祐介(#12)、カワサキファクトリーチームの能塚智寛(#7)、2020年以来の全日本復帰で、ホンダにマシンをスイッチして初めて最高峰クラスを戦う横山遥希(#41)、ホンダの大倉由揮(#2)が続いた。1周目、渡辺が星野を抜いて2番手に浮上。
しかし2周目に入ったところで渡辺が転倒し、背後にいた星野も巻き添え転倒で大きく遅れた。代わりに2番手となったのは能塚。この周に横山をパスした大倉が続いた。

トップのウィルソンは、レース序盤から独走態勢。一方、能塚と大倉は接近戦となり、横山はこの2台から一度は遅れたが、今季はヤマハにマシンをスイッチした大城魁之輔(#5)を背後に従えながら、再び前との距離を詰めた。
レース後半、能塚と大倉と横山が僅差の2番手争いを開始。7周目には横山が大倉を抜いたが、ここは大倉がすぐ抜き返すと、今度は大倉が能塚をパス。

この間に大城とスタートで出遅れていた昨年度のIA2王者で今季はガスガスに乗り替えて最高峰クラスを戦うビクトル・アロンソ(#33)も近づき、2番手争いの集団は5台に膨れ上がった。
8周目には横山が能塚をパス。10周目には、再び大倉と横山が抜きつ抜かれつのバトルを演じるなど、5台による激しい攻防となった。そしてレースは11周でチェッカーとなり、優勝のウィルソンからやや遅れて、大倉が2位、横山が3位、アロンソが4位、能塚が5位、大城が6位でゴールした

IA1ヒート2

 

ホールショットは再びジェイ・ウィルソン(#1)。渡辺祐介(#12)と横山遥希(#41)も好スタートを決めてウィルソンと並びかけたが、2コーナーで渡辺に横山が接触して転倒。
さらに1周目中盤のジャンプで渡辺が単独転倒してリタイアとなり、この影響でビクトル・アロンソ(#33)がやや遅れた。
そして1周目はウィルソン、3秒ほど離れて能塚智寛(#7)、さらに3秒ほどの間隔を開けて大倉由揮(#2)のトップ3となった。
2周目には、アロンソが池谷優太(#13)をパスして大倉と約3秒差の4番手。この周、横山は9番手まで順位を回復した。レース序盤から、上位勢は前後の間隔が多めに開いた状態。5番手に後退した池谷が、後続を抑えたまま3周目にアロンソから遅れたことで、より鮮明になった。

しかしその後、アロンソは徐々に前との距離を詰め、5周目に大倉をパスして3番手。またこの周、横山は5番手まで順位を上げたが、この段階で前とは大きな差が開いていた。
6周目、能塚が転倒により5番手までポジションを落とし、これでアロンソが2番手、大倉が3番手、横山が4番手に。
さらに翌周、アロンソもジャンプで転倒し、大倉が2番手、アロンソが3番手、横山が4番手、能塚が5番手となった。
レース終盤、横山はアロンソとの距離を少しずつ縮めたが、完全に接近する前にレースは11周で終了。ウィルソンが勝利を収め、大倉が2位、アロンソが3位、横山が4位、能塚が5位、終盤は能塚を僅差で追い続けたホンダに乗る小方誠(#9)が6位となった。

IA1ヒート3

 

ホールショットは横山遥希(#41)。これにジェイ・ウィルソン(#1)とカワサキを駆る内田篤基(#4)が続くと、1周目中盤でウィルソンが横山に並んだが、ここは横山が抑えた。
内田はミスで後退し、3番手にはビクトル・アロンソ(#33)が浮上。さらに大倉由揮(#2)と能塚智寛(#7)と大城魁之輔(#5)が続いた。
2周目以降、横山はウィルソンから1~2秒のリードを奪いながらトップを快走。しかし4周目にはややラップタイムを落とし、これで再び接近戦となった。アロンソはこの2台についていけず、3周目には大倉、4周目には能塚がこれをパス。
5周目、横山は再びややペースを上げて2秒近いリードを取り戻したが、6周目にはウィルソンが再び背後に迫った。

そしてこの周の最終コーナーで、ウィルソンが横山を抜いてトップに浮上。
しかし横山も諦めることなく喰らいつき、これでウィルソンと横山がトップ争い、この2台から離れて7周目に先行した能塚とこれを追う大倉およびアロンソの3番手争いになった。
レース終盤、大量に発生したバックマーカーがこの争いに影響を与え、9周目にはウィルソンの隙をついて横山がトップに再浮上。
しかしまたしても最終コーナーで、ウィルソンが横山を抜き返した。そして最後は、ウィルソンがリードを拡大して勝利。横山は2位となった。
3番手争いでは、アロンソがラスト2周となった10周目に大倉、最終ラップに能塚をパス。これでアロンソが3位、能塚が4位、大倉が5位、単独走行が続いた大城が6位となった。

●総合成績1位(優勝/優勝/優勝)

ジェイ・ウィルソン(#1)

 

今年の450ccクラスは、昨年よりもタフなシーズンになると思います。日本人ライダーたちのスピードも上がっていますし、アロンソやヨコヤマも参戦してきて、全体のレベルは上がっています。
とはいえ私も、その中で彼らに負けないよう努力を続け、いいレースをしていきたいし、それが将来的に日本のモトクロスシーンが成長することにつながればと願っています。

●総合成績2位(2位/2位/5位)

大倉由揮(#2)

シーズンオフに、ホンダさんの協力により海外トレーニングをさせていただいたのですが、開幕戦のヒート1から連続で2位表彰台に立つことができ、その成果を少しはリザルトで示すことができたと思います。
とはいえ、ウィルソン選手やアロンソ選手や横山選手とはまだ実力の差を感じるし、どのヒートもトップと一度も絡めませんでした。しっかりレベルアップして、この差を埋めていきたいです。

●総合成績3位(3位/4位/2位)

横山遥希(#41)

 

完全に新しい環境で、久々に日本のレースに出場するということで、ライダーなら一度はあると思うのですが、極度の緊張で思うようなレース運びができませんでした。
ヒート2はだいぶリラックスできたのですが、1周目に接触転倒。短いレースの中で、できる限りの挽回をしました。ヒート3は、最終コーナーを攻略できなかったことで、ジェイさんに先行されてしまいました。勝てずにすいませんでした!

 

IA2ヒート1

若手と中堅が中心のIA2クラスも、15分+1周の3ヒートで決勝を実施。そのヒート1は、阿久根芳仁(#13)のホールショットで幕を開け、これをすぐに田中淳也(#10)が抜いた。
さらに、柳瀬大河(#6)と横澤拓夢(#2)がこの2台をパス。1周目は柳瀬、横澤、田中、阿久根、中島漱也(#3)、浅井亮太(#7)のオーダーとなった。
2周目、柳瀬と横澤は後続を少し離しながらトップ争い。3周目には横澤が先行した。
すると翌周、横澤は約4秒のリードを確保。柳瀬はペースが上がらず、その背後には田中と、4周目に大きく後退した阿久根に代わり4番手となった中島が近づいた。

 

レース後半、横澤がリードをキープしてトップを独走する一方で、柳瀬と田中と中島は接近戦に。明らかにマシントラブルを抱えて排気音が大きな状態で周回を続ける柳瀬を、8周目に田中を抜いた中島が攻め立てた。
そしてラスト2周となった10周目に、中島が2番手浮上。さらに最終ラップには、田中が柳瀬を抜いた。
そしてレースは、横澤が優勝。中島が2位、田中が3位となった。柳瀬は4番手でチェッカーを受けたが、レース後の再車検で失格に。これで鈴村英喜(#8)が4位、鴨田翔(#4)が5位、佐野雄太(#17)が6位となった。

IA2ヒート2

 

好スタートを切ったのは柳瀬大河(#6)。これに鴨田翔(#4)と田中淳也(#10)と森優介(#21)が続くと、1周目に森が田中を抜いた。
2周目以降、柳瀬と鴨田は森を先頭とする3番手以下の大集団を引き離しながら、トップ争いを展開。3周目、3番手争いの中で田中がポジションを落とし、これで4番手に浮上した横澤拓夢(#2)が森に迫った。
柳瀬と鴨田はなおも僅差のトップ争い。5周目、横澤がついに森の攻略に成功したが、この段階でトップ2台は10秒近くも先行していた。また、抜かれた森の背後には浅井亮太(#7)と中島漱也(#3)が迫った。

 

6周目、浅井も森をパスしたが、その直後に転倒。これで中島が3番手となり、森は順位を下げて佐野雄太(#17)と田中が先行した。
レース後半、トップの柳瀬は少しずつ鴨田を引き離しはじめ、4秒ほどのアドバンテージを確保。
鴨田は単独走行に近い状態となった。一方、3番手の横澤には中島と佐野が接近。レース終盤には3台が1~2秒の間隔で連なる3番手争いとなった。
しかしここは、最後まで横澤と中島が順位をキープ。レースは11周でチェッカーとなり、逃げ切った柳瀬が昇格4年目でIA初勝利を挙げた。鴨田は2位、横澤は3位、中島は4位、佐野は5位、田中は6位でゴールした。

IA2ヒート3

 

中島漱也(#3)がホールショット。これに3ヒート連続で好スタートを決めた柳瀬大河(#6)が続くと、1周目に逆転してまずはトップに立った。オープニングラップは柳瀬、中島、西條悠人(#9)、田中淳也(#10)、横澤拓夢(#2)のオーダー。2周目、柳瀬と中島と西條がトップグループを形成し、4秒ほど離れて横澤と田中と鴨田翔(#4)が続いた。
3周目には、鴨田の後ろに福村鎌(#11)が浮上。4周目、柳瀬と中島のトップ争いは接近戦となり、翌周には中島が先行した。

レース後半、トップに立った中島は後続をやや引き離してトップを快走。一方、2番手に後退した柳瀬の背後には、西條が迫った。そして9周目あたりから、両者は接近戦に。
また、この2台から10秒近く離れた4番手の横澤には、8周目に鴨田をパスした福村が迫った。そして最終ラップとなった11周目には、柳瀬と西條、横澤と福村が接近戦。しかし西條は積極果敢に攻めるもミスで遅れ、横澤はしぶとく順位を守った。
そしてレースは中島が逃げ切って優勝。柳瀬が2位、西條が3位、横澤が4位、福村が5位、鴨田が6位となった。

●総合成績1位(2位/4位/優勝)

中島漱也(#3)

ヒート1とヒート2はスタートが決まらず、スタートさえうまくいけば勝てると信じてヒート3に臨みました。なかなか地元大会で勝てず、「お待たせしました」という感じですが、優勝できて良かったです。
今シーズン、目標のひとつはモトクロス・オブ・ネイションズの代表に選ばれること。こんな走りじゃあ、まだまだ海外のライダーには通用しないので、もっと上を目指して頑張っていきます。

●総合成績2位(優勝/3位/4位)

横澤拓夢(#2)

じつは朝のタイムアタック予選で激しく転倒してしまい、左肩を痛めました。枝豆を食べる勢いでロキソニンを飲んで決勝に出場したのですが、その効果が薄まるのに比例して成績も落ちちゃいました。
でも、チームメイトの大河もいいところ走っていたので、絶対にふたりで表彰台に上がろうと思って頑張りました。まずはケガを治して、もっと速くてカッコいい横澤拓夢を見せたいです!

●総合成績3位(失格/優勝/2位)

柳瀬大河(#6)

 

昨年は酷い成績のレースを続けてしまい、走れるチームがない状況でシーズンオフになったのですが、拓夢君にお願いして走れる環境をなんとか用意してもらって、今シーズンを迎えることができました。
そのために多くの人に迷惑をかけたり苦労してもらったりしていたので、どうしてもこの開幕戦で勝ちたくて、かなり乗り込んできました。本当に感謝しています。ありがとうございました!

 

レディース 決勝

15分+1周の決勝レースでホールショットを奪ったのは川井麻央(#1)。これに続いた松木紗子(#9)をすぐに濱村いぶき(#6)が抜き、さらに濱村を穂苅愛香(#11)がパスして、1周目は川井、穂苅、濱村、箕浦未夢(#3)、楠本菜月(#10)、本田七海(#2)、瀬尾柚姫(#5)、川上真花(#4)のオーダーとなった。
トップの川井は、序盤から一気にリードを拡大。一方、2周目に箕浦と穂苅と楠本、3周目には濱村が転倒で後退し、これで2番手以下は本田、川上、瀬尾、箕浦の順となった。

この4台は比較的近い距離にいたが、箕浦が遅れはじめ、本田と川上と瀬尾が三つ巴の2番手争いを展開。本田は懸命に順位を守っていたが、7周目に川上と瀬尾が次々にパスした。
また、箕浦は6周目に転倒し、背後には山崎琴乃(#12)が接近。しかし最終ラップの9周目、楠本が山崎をパスした。そしてレースは川井が独走でトップチェッカーを受けたが、暫定表彰式終了後にマシンの技術規則違反で失格に。
これで順位が繰り上がった川上が全日本初優勝、瀬尾が2位、本田が3位、箕浦が4位、楠本が5位、山崎が6位となった。

●優勝 川上真花(#4)

 

前日に開催されたジュニアクロスのレースがボロボロだったのですが、それをレディースのレースにどう生かすか考えていたところ、これまでやってきたことを信じて明るく挑もうというマインドになりました。
そうしたらタイムアタック予選でトップになれたのですが、決勝は出遅れてしまいました。
それでも、本田選手とバトルして抜かすことができ、レース内容にすごく満足していたところ、突如として自分が優勝ということに……。本当は実力で初優勝したかったので、すごく複雑な心境です。

 

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