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全日本モトクロス第4戦決勝レポート

2023年の全日本モトクロス選手権シリーズは、年間9戦(レディースとIBオープンは7戦)のスケジュール。その第4戦中国大会が、「TOHO Racing CUP」として6月24日(土)~25日(日)に広島県の世羅グリーンパーク弘楽園で開催されました。

瀬戸内海沿いの人気観光地としても知られる尾道の市街地から、直線距離で北西方向に約30kmの位置となる山中に設けられたコースは、自然のアップダウンを活かしたダイナミックなレイアウトが特徴。
乾くとかなり硬く締まる土質ですが、事前に入念なメンテナンスが施されたことから、普段よりはやや柔らかい路面状態で大会を迎えました。

梅雨時期にスケジュールされた大会でしたが、天候は土曜日が曇り時々晴れ、日曜日が晴れ時々曇り。決勝日の最高気温は28度で、初夏らしい暑い大会となりました。
路面はドライコンディション。午後はハードパック化が進んで土ボコリの発生量が増えましたが、散水作業の効果もあり最小限に抑えられました。

IA1 ヒート1

全日本最高峰のIA1クラスは、今季初となる30分+1周の2ヒート制による決勝。昨年度のランキング上位だったカワサキファクトリーチームの能塚智寛(#2)、ヤマハファクトリーチームの渡辺祐介(#3)、ホンダを駆る小方誠(#5)は、いずれもケガにより今大会を欠場し、22台が決勝に臨みました。

そのヒート1では、ホンダサポートライダーの大倉由揮(#6)がホールショット。1周目中盤にかけ、ヤマハファクトリーチームに所属する今季ここまで無敗のジェイ·ウィルソン(#27)と激しいトップ争いを繰り広げました。
そしてウィルソンが先行し、大倉やカワサキのマシンを駆る内田篤基(#8)、ホンダサポートの大城魁之輔(#4)、ヤマハファクトリーチームの町田旺郷(#16)や富田俊樹(#1)が追いました。
2周目、大城が内田をパス。町田は後退し、翌周にマシントラブルでリタイアしました。3周目、内田が大城を再逆転して3番手に浮上すると、トップのウィルソンから4秒ほど遅れて、大倉と内田と大城が三つ巴の2番手争いを開始。さらに、富田もこの集団に接近しました。

4周目、内田が大倉を抜いて2番手に浮上。大城は前の2台から少し離され、富田が大城をパスしました。その直後、大城が激しく転倒。これにより大城はリタイアに終わりました。
順位を上げた富田はそのまま大倉に迫り、5周目から接近戦。7周目に富田が逆転に成功しました。その後、4番手に後退した大倉は大きく遅れて単独走行に。
一方、富田は2秒ほど先行する内田を猛追し、11周目にはテール·トゥ·ノーズになりました。翌周、富田が内田を抜いて2番手にポジションアップ。
この段階で、トップのウィルソンは7秒ほど先行して独走状態を築いていました。そしてレースは18周でチェッカー。


最終的には後続を約10秒離したウィルソンが優勝し、富田が2位、内田が3位となりました。大倉は、内田から30秒近く遅れて4位でフィニッシュ。
ホンダを駆る大塚豪太(#7)がレース序盤から順位を守って5位となり、今季はマシンをホンダにスイッチした池本凌汰(#15)が1周目12番手から追い上げて6位でした。

●ヒート1 優勝 ジェイ·ウィルソン(#27)

アリガトウゴザイマス。IA1で初めてとなる30分のレースで、攻略が難しいコースでしたが、ワクワクしながらチャレンジして、最高の結果を残せました。
広島は、観光を楽しんだ自分の奥さんや娘も、とてもいい場所だと気に入っています。ヒート2はスタートを調整して臨みます。

●ヒート1 2位 富田俊樹(#1)

2年ぶりに広島でレースができてうれしく思っています。今年初めての30分レースで、もう少しジェイさんと勝負できるかなと思ったのですが、足りませんでした。
みんな、こんなレースはおもしろくないですよね? でも頑張っています。次こそ一番高いところに立てるように頑張ります。

●ヒート1 3位 内田篤基(#8)

おもしろくないですね! ずっと3位ばかりで、そろそろ一番高いところが欲しいので、ヒート2も頑張ります。引き続き応援よろしくお願いします。

IA1 ヒート2

ヒート1で負傷した大城魁之輔(#4)はこのヒートを欠場。出走台数は20台となりました。レースは内田篤基(#8)のホールショットで幕を開け、混戦の中で順位を上げたジェイ・ウィルソン(#27)が2番手。
1周目、内田とウィルソンがサイド·バイ·サイドの激しいトップ争いを繰り広げ、これに富田俊樹(#1)も加わり三つ巴のバトルになりました。
内田が意地をみせるも、最終的にウィルソンが先行。これによりオープニングラップはウィルソン、内田、富田、大倉由揮(#6)、ホンダに乗る道脇右京(#12)、カワサキを駆る安原志(#13)、大塚豪太(#7)、池本凌汰(#15)というオーダーになりました。
2周目、内田はウィルソンに2秒ほど離され、今度は富田と激しいバトルを展開。しかしここは内田がポジションを守ると、翌周に富田は内田から1秒ほど遅れ、背後には大倉が迫りました。

4周目以降、トップのウィルソンは1周につき約1秒のペースでアドバンテージを拡大。2番手の内田も、少しずつ富田を引き離しました。
富田と大倉の3番手争いは、周回ごとに近づいたり離れたりを繰り返し、10周目には再び僅差のバトルとなりました。
迎えた11周目、右ターンで勝負に出た大倉が富田のインを突き、ここで両者が接触。大倉が転倒しました。この影響で富田もタイムを落とし、これでウィルソン、内田、富田のトップ3はそれぞれ単独走行に。


大倉は、僅差の5番手争いを繰り広げていた安原、大塚、道脇、池本による集団の直前でレースに復帰しました。レース終盤、富田はややペースダウン。大倉もペースを落とし、安原らが迫りました。
しかし最後まで順位は変わらず、18周のレースは再びウィルソンが独走で勝利し、内田が2位、富田が3位、大倉が4位、安原が5位、大塚が6位となりました。

●ヒート2 優勝 ジェイ·ウィルソン(#27)

(以下日本語で)私は頑張っていますが、日本のライダーもどんどん速くなっています。日本のファン、ヤバいね。
(以下英語で、オーストラリアの発酵食品であるベジマイトを差し出しながら……)前戦のSUGOでケガした内田選手に、これを差し上げます。

●ヒート2 2位 内田篤基(#8)

ジェイさんには、代わりに納豆をあげます。ヒート2は、ヒート1よりはいい走りができたと思うのですが、高い壁はなかなか崩れないですね。
でも、その差は確実に縮まっていると思うので、引き続き取り組んでいきます。いつも完璧な体制を整えてくれているチームに感謝しています。

●ヒート2 3位 富田俊樹(#1)

ヒート1の表彰台で「ヒート2はおもしろくする」と言っていた自分が恥ずかしいです。最近は、ジェイさんだけでなく内田選手や大倉選手も速く、大倉選手は自分とちょっと接触して転倒してしまったのですが、スゴく惑わされました。次戦の北海道は、おもしろくします!
ヒート1の表彰台で「ヒート2はおもしろくする」と言っていた自分が恥ずかしいです。最近は、ジェイさんだけでなく内田選手や大倉選手も速く、大倉選手は自分とちょっと接触して転倒してしまったのですが、スゴく惑わされました。次戦の北海道は、おもしろくします!

IA2 ヒート1

若手と中堅が中心のIA2クラスは、30分+1周の決勝2ヒートが実施されました。そのヒート1は、やや出遅れていたポイントリーダーのビクトル·アロンソ(#58)がコース中盤で転倒して大きく遅れ、これに突っ込んだ西條悠人(#8)も転倒。
ポイントランキング2番手で今大会を迎えた中島漱也(#4)もアクシデントでほぼ最後尾からのレースとなる、波乱の幕開けとなりました。
一方、絶好のスタートを切ったのは阿久根芳仁(#11)。これに田中淳也(#17)や池田凌(#18)、浅井亮太(#2)らが続くと、まずは池田がトップに立ちました。
2周目、アロンソは再びミスを喫して29番手。上位勢では、横澤拓夢(#5)が5番手に順位を上げました。
さらに横澤は、3周目に浅井、4周目に田中をパス。これでトップ5は池田、阿久根、横澤、田中、浅井となりました。

5周目以降、上位勢はやや縦長の隊列に。しかし横澤が前を走る阿久根との距離を少しずつ詰め、9周目に接近戦となりました。翌周、横澤は2番手に浮上。
この段階で、トップの池田は約5秒のリードを築いていました。そしてレース終盤、池田は横澤をほとんど近づけることなくトップを快走。レースは18周でチェッカーとなり、池田が初優勝でIA初表彰台登壇を果たしました。
横澤は2位。レース終盤、阿久根と田中と浅井が僅差の3番手争いを繰り広げ、16周目に逆転した田中が3位。
17周目には浅井も阿久根の攻略に成功し、浅井が4位、阿久根が5位、最後に阿久根の背後に迫った鈴村英喜(#7)が6位でした。アロンソは7位まで追い上げてゴールしました。

●ヒート1 優勝 池田凌(#18)

開幕戦を一緒に戦った自分のメカニックさんが亡くなってしまいました。ずっと上から見てくれていると思いながらレースを戦い、結果的に少し遅かったのですが、ちょっとだけ恩を返せました。
本当にたくさんのサポートおかげで、日ごろから追い込みかけて勝てたと思います。

●ヒート1 2位 横澤拓夢(#5)

池田君がスゴく速くて、2番手に浮上した段階でかなり離れていたので、自分がトップだと思いました。サインボードを見たら「前へ」と書いてあって、ウソだ……と。
冬は広島で練習していて、広島の方々にたくさん助けてもらっています。恥ずかしくていつもは言えないので、ここで言います。「ありがとうございます!」

●ヒート1 3位 田中淳也(#17)

今シーズン2回目の表彰台で、ちょっとうれしいですけど、まだもう1ヒート残っているので、次も表彰台に立てるように頑張ります。
たくさんのスポンサーさんに支えられて、レースができています。ありがとうございます。

IA2 ヒート2

浅井亮太(#2)がホールショット。これをヒート1勝者の池田凌(#18)が追ってレースがスタートしました。柳瀬大河(#3)が順位を落とし、代わりに横澤拓夢(#5)が3番手。
以下、阿久根芳仁(#11)、柳瀬、中島漱也(#4)、ビクトル・アロンソ(#58)と続いて1周目をクリアしました。
2周目の上位勢に順位変動はなく、3周目になるとアロンソが中島と柳瀬を抜いて5番手に浮上。
この周から、池田はトップを走る浅井との距離をさらに詰め、逆転のチャンスをうかがいました。
4周目、アロンソは阿久根を抜いて4番手。翌周には横澤もアロンソに先行され、浅井と池田の距離がやや離れたことから、浅井、池田、アロンソ、横澤、阿久根までのトップ5はそれぞれ1.5~2秒程度の間隔となり、阿久根には柳瀬が肉迫しました。

6周目、再び浅井との距離を詰めようとした池田が転倒し、7番手まで後退。柳瀬は阿久根を逆転しました。
池田の転倒で2番手に浮上したアロンソは、翌周から浅井に迫ると、8周目に逆転。9周目以降、アロンソはリードを拡大して単独走行となっていきました。
2番手に後退した浅井と3番手の横澤は約5秒差。横澤の背後には柳瀬が近づき、9周目から接近戦がスタートしました。


転倒した池田は、8周目に中島を抜いて6番手に順位を上げると、13周目には阿久根をパスして5番手まで回復。横澤と柳瀬の接近戦はレース終盤まで続きましたが、柳瀬はチャンスを得られず、16周目以降にやや距離が離れました。
そして18周のレースはアロンソが勝利。浅井が2位、横澤が3位、柳瀬が4位、池田が5位、阿久根が6位となりました。

●ヒート2 優勝 ビクトル·アロンソ(#58)

ヒート1ではちょっとつまずいてしまい、他の選手も速かったので、追い上げるのが大変でした。
ヒート2は、ヒート1での遅れを挽回すべく頑張りました。このコースは、日本の中でも難しいと思います。ヨーロッパのコースに似ていると感じました。

●ヒート2 2位 浅井亮太(#2)

ホールショットを決めることができて、中盤までトップを走っていましたが、後ろからものスゴい勢いでビクトル選手が来て……。
2位は何度も獲っていますが、まだ一度も優勝することができずにいて、スゴく悔しいです。
レース後半は体力不足。後ろに詰められて、満足できる内容ではありませんでした。

●ヒート2 3位 横澤拓夢(#5)

本当にキツいレースでした。本当は悔しいはずですが、自分の力を出し切れたので、ちょっとほっとしています。
レースは本当にしんどくて、「なんでこんな競技をやっているんだろう」と思うこともありますが、応援してくれる皆さんのおかげで、まだまだ頑張れそうです。ありがとうございます!

レディース 決勝ヒート1

今季唯一、15分+1周の決勝2ヒート制が導入されたレディースクラス。そのヒート1は、土曜日午後に実施されました。好スタートを切ったのは、ポイントリーダーの川井麻央(#2)。
ところが川井は、ホールショットを奪った直後に激しく転倒し、これに川上真花(#7)や木村綾希(#15)らが巻き込まれました。川上は大きく遅れて再スタートし、木村はリタイア。川井は再スタートに時間を要し、最後尾でレースに復帰しました。
これによりトップに立ったのは濱村いぶき(#17)。しかし箕浦未夢(#9)が先行し、1周目は箕浦、濱村、瀬尾柚姫(#8)、赤松樹愛(#14)、楠本菜月(#5)、本田七海(#4)、井川実乃里(#13)のオーダーとなりました。
2周目、箕浦と濱村と瀬尾が僅差のトップ争いを展開。さらに1秒ほど間隔を開けて赤松と本田、3秒ほど離れて楠本と井川が接近戦を展開しました。

3周目には、本田が赤松と瀬尾を次々に抜いて3番手にポジションアップ。7番手の井川までが数珠つなぎに近い状態となりました。
4周目、トップ走行中だった箕浦が転倒して7番手に後退。これによりトップに立った濱村に、本田が迫りました。
5周目、楠本と5番手争いを続けていた井川が、転倒により大きく後退。この周、本田が濱村をパスして先頭に立ちました。6~7周目にかけ、濱村は本田を1~2秒差でマークしましたが、8周目以降に本田がリードを拡大。
3番手の瀬尾はトップ2台から徐々に遅れ、背後には赤松と楠本、さらに驚異の追い上げを見せた川井が近づきはじめました。


そしてレースは9周で終了。後続を振り切った本田が今季初優勝を挙げ、濱村が2位、逃げ切った瀬尾が3位、赤松が4位、最終ラップに楠本を抜いた川井が5位、楠本が6位となりました。

●ヒート1 優勝 本田七海(#4)

やっと勝つことができて、ちょっとほっとしています。今日、私がずっとあこがれ続けてきた奥野歩希ちゃん(※かつて全日本モトクロス選手権レディースクラスで活躍)がわざわざ会場まで応援に来てくれていたので、その目の前で優勝できて本当にうれしいです。
スポンサーの方々にも感謝しています。明日の決勝ヒート2も優勝を狙います!

レディース 決勝ヒート2

ヒート1と同じく15分+1周の決勝ヒート2は、日曜日の昼ごろに実施。レースは松木紗子(#11)と川井麻央(#2)がホールショットを争い、前日の転倒を感じさせない鋭い走りで川井がトップに立つと、オープニングラップだけで約4秒のリードを奪いました。
松木はポジションを下げ、2番手には濱村いぶき(#17)が浮上。さらに瀬尾柚姫(#8)や赤松樹愛(#14)、スタート直後は8番手と出遅れていたヒート1勝者の本田七海(#4)が続きました。
2周目、瀬尾が濱村を抜いて2番手にポジションアップ。さらに赤松をパスした本田が濱村に近づき、瀬尾と濱村と本田による三つ巴の2番手争い、ここから2秒ほど離れて赤松と箕浦未夢(#9)が5番手争いを繰り広げました。
3周目、本田は濱村、箕浦は赤松をパス。さらに本田は、翌周に瀬尾の攻略にも成功して2番手に浮上しました。

この段階で、トップの川井は2番手の本田に対して約5秒のリード。しかし翌周以降、本田が少しずつその差を削り取っていきました。一方、3番手の瀬尾は5周目以降に本田から1周につき2秒ほど遅れ、その背後には濱村が接近。
7周目からは瀬尾と濱村が僅差の3番手争いを繰り広げました。また、この2台から大きく遅れた5番手の箕浦には、スタート直後は11番手に沈んでいた楠本菜月(#5)が、急激に近づいてきました。
そしてラスト2周となった8周目には、こちらも接近戦となりました。レースは、川井が約2秒差で逃げ切って今季3勝目をマーク。本田が2位、最後まで順位を守った瀬尾が3位で表彰台に立ち、4位には濱村、5位には箕浦、6位には楠本が入りました。
今大会の結果、ポイントランキングでは川井が96点、本田が93点となり、接戦でシーズン後半を迎えます。

●ヒート2 優勝 川井麻央(#2)

土曜日のヒート1は自分のミスで転倒して、優勝できなかったのですが、勝てなくてもいろんな人たちが声をかけてくれて、チームのみんなが必死にカラダのケアやバイクを修理してくれました。
そのおかげでヒート2も走ることができ、最高のカタチでみんなに恩返しできました。チャンピオン目指してシーズン後半戦も頑張るので、応援お願いします!